八日目の蝉


襟裳岬のキャンプに行った。浦幌というところに大黒座という映画館があることを知り、そこが目的地だったともいえる。上映していた映画がこの映画だったので見たのだが、あまりに素晴らしく驚く。自分にとっては非の打ち所がない映画だった。脚本(原作)映像、音楽、配役、出演者、ロケ地、ともかくよくできていた。子役もよく、これは監督のおかげだろうが、生き生きしていた。娘役(大人になって)の幼い頃を少しずつ思い出して行く過程が、現在と過去を交互に見せながら、四国の景色と昔ながらの夏の風物詩とともに蘇って行く様子が見事に描かれていて感心した。また、エンジェルホーム(駆け込み寺)や昔の写真館など興味深いモチーフがたくさんあり面白かった。なにしろテーマが重く最初の実の母と誘拐した母が裁判で語る場面は怖かった。切ない映画ではあった。誘拐犯をした女優の笑顔が素晴らしく、子役とのからみも泣かせた。瀬戸内海の景色も美しく見事だった。監督は成島出という人らしく50歳らしい。また新しい映画も見てみたい。今年今まで見た最高の映画!A
2011年 成島出監督