ペーパームーン


下の「ある愛の詩」の主演ライアン・オニールが娘テータム・オニールと共演した映画。舞台は1935年のアメリカ。聖書を売る詐欺師と母親と死別した少女(もしかしたら彼の娘?)とのロードムービー。そのライアンとオニールの珍道中が主な展開だが、ともかくテータムの演技が素晴らしい。あのハスキーな声と天衣無縫な演技が感動を呼ぶ。この映画でテータムは10歳という史上最年少でオスカー助演女優賞を受賞。確かにこの映画の助演というよりも主演と言ってもいいのではないかと思われるほどだ。その後、子役として「がんばれベアーズ」(自分の好きな映画ベスト⑩に入る)など引っ張りだこだったらしいが、あまりいい映画にはめぐり逢えず、私生活でも結婚出産離婚等、そしてドラッグと父親と同じく、不幸な人生を歩んでいるようで哀しい。
 この映画、わざとモノクロで撮られていて、監督の意図が非常に伝わってくる。元の原作のタイトルは違っていたが、原作のお話にペーパームーンの前で写真撮影するシーン等を加え、1935年当時に流行っていた「IT'S ONLY PAPER MOON」という曲からとってこのタイトルにしたということだ。ここからも監督のセンスがうかがえる。またモノクロなのだが、映像はくっきりしており、特に背景までピントが合うような技術を使っているため、昔のモノクロ映画とは一線を画す。というわけで、自分にとっては好きな要素の詰まった映画なのだが、1つだけ、脚本のせいか?ラストシーンは撮影に入っても決まっていなかったらしく、まあ、悪くはないのだが、自分にとっては、なぜかもう一歩っていう感じだった。多くを期待し過ぎでそう思ったのかもしれない。A
1973年 ピーター・ボグダノヴィッチ監督