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night and sundial

6月3日 (2012年) 記す

「【重要】金曜日から、facebookがユーザーの名前や写真を外部サイトへの広告などに使うことができるようになるそうです」といったデマはなぜ広がるのか

2012年5月末、Twitterなどで「Facebookで新しい広告がスタートするので、自分プライバシー情報を守りなさい」といった趣旨の情報が出まわりました。次の文面が最もRTされたようです。

【重要】金曜日から、facebookがユーザーの名前や写真を外部サイトへの広告などに使うことができるようになるそうです。初期設定では使用許可になっているので要注意! Homeアカウント設定→Facebook広告→第三者が表示する広告→「非公開」に変更すればOK

また、これと似ていますが、違う情報がブログなどにも掲載されました。おそらく最も読まれたのは次の記事でしょう

Facebookによると、Facebookを使っているユーザーの名前・顔写真を使って、第三者が広告を出せるようになる可能性があるようです。(ry) そこで、自分の情報を広告に利用できないようにする方法を紹介します。

Facebookで自分の名前と写真を広告に使えないようにする方法 - nanapi Web

みなさんすでにお気づきのように、これらはデマです。

先週末の金曜日、Facebookは何も発表していませんし、新規の広告メニューもリリースされていません。

ただ、たまたまのタイミングで、以前から案内されていた「Facebook広告をニュースフィードに表示する」仕組みが日本でも導入されたので、その件だと思い込んだ方もいらっしゃるようですが、これは米国では年頭に導入されていて目新しいものではなく、また個人情報の利用に関しても既存の右サイドに出るFacebook広告と同じで、ただ表示場所が変わっただけのものです。

どのあたりがデマっぽいのか?

上記のツイート、またWeb記事ともに、いかにもデマという雰囲気が漂っています。

  1. 「Facebookによると」とは書かれているが、ニュースソースが明確にされていない。Facebook自体の発表はおろか、海外ソーシャルニュースサイトなどへのリンクもない
  2. 対策として挙げられている設定項目の不自然
    • これは今回新たに設けられたものではない。以前からこの形であった項目で、いま急に指摘されているのは不自然におもえる
    • この設定項目は、今後導入する予定の広告についてのものだが、Facebookはこの詳細をこれまで明らかにしていなかったとおもうし、導入予定なども明確になっていないとおもう。もちろん米国で先行して導入されているといったこともない
  3. もしこれが事実なら、日本よりも海外のITニュースサイトが大騒ぎになっているはずだが、関連しそうなタームで検索しても、WebでもTwitterでもまったくそれっぽい情報がひっかからない
  4. 類似のサービス機能との比較がなく、一方的に断定している
    • 今回の記事と既存のFacebook広告(スポンサー広告)やスポンサー記事との関係がよくわからない
    • 同様の表示は、Faceboomではソーシャルプラグインによってすでに実現されているが言及されていない
    • 同様の広告は、Google+1Adsenseの組み合わせですでに実現しているが言及されていない
  5. 事態をことさらに大げさに表現している
    • Facebookがユーザーの名前や写真を広告に使うのは、次のヘルプにあるような限定されたケースのみで、今回の設定項目も実際に「非公開」か「友達のみ」の2択となっているが、そうではなく無制限に利用されてしまう印象を与える

Facebook広告に私の名前や写真が使用されることはありますか。

スターバックスに「いいね!」したなど、あなたプロフィール写真や名前を含む投稿アクティビティが広告やスポンサー記事に挿入されることがあります。あなたの名前は写真は、この情報をすでに見ることができる人だけに表示されます。

はいえ、米国は日本よりも時刻が遅れているため、米国時間の金曜夜とかに抜き打ちで発表されることがあるかもしれません。ということで全世界的に金曜日が終わるまで待ってみましたが、案の定というか新広告に関する発表も報道もありませんでした。

デマの検証

この手のプライバシーデマが広まるときには、過去の経験などから米国で出回ったデマ情報が直訳されて日本に入ってくることがままあるため、米国で類似のツイートがないか検索したところ、次のような文面を見つけました

ATTENTION: Friday, Facebook will become owner of the publishing rights of ALL your private photos. You need to make a simple change: go to 'account', 'account settings', 'facebook adverts'(along the top), 'ads shown by third parties', choose 'NO ONE' then SAVE. 2 seconds' job. And please Share share share. (for those who haven't done this yet.)

これが原文とみていいでしょう。このツイートで検索をかければ情報の出どころがわかるはず、とTwitterのリアルタイム検索を駆使してみたのですが、意外なことにまったくひっかかりません。これはどうしたことか?

そこでツイッター検索からWeb検索に切り替えてみたところ、そのまんまのQ&Aを見つけました。

facebook- hoax or truth ? :s? | Yahoo Answers

ATTENTION: Friday, Facebook will ...... (ry

hoax or truth ?

1 year ago

Best Answer - Chosen by Voters

It is a hoax.

...

Source(s): http://www.hoax-slayer.com/facebook-owns-your-pictures-warning.shtml

はい。hoax(デマ)だそうです。

とはいえ、Q&Aサイトでデマと書いてあったからデマとは限りません。回答中のソースを含めて詳細な検討必要……ありませんよね? このQ&Aの投稿日をもう一度御覧ください。

1 year ago

そうなんです。ツイート中の「金曜日」は、1年以上前の金曜日なんですよ。ソースのリンクをたどってみると、こちらもこうなってます。

First published: 29th April 2011

いくらなんでも、1年前に米国でデマ認定されているツイートが、13カ月後に日本で有効になるってことはないですよね。あまりの結果に脱力しますが、つまり私達は、1年以上前に米国で出回ったデマに1年遅れで引っかかって、数百人のひとたちが、Facebookの設定項目を変更して、これで安心と胸をなでおろしていたのです。ネットリテラシーってなんだろう? そんな気にもなるのかなんて考えたりするけど……

ウソをウソと(ry

今回のこのデマを前に考えこんでしまうのは、ほとんど誰もこの情報がデマではないかというツッコミを入れていないところです。

これと似た経験は、実は何度もあります。上記で過去の経験としてリンクしたものもそうですし、Twitterが電話帳による友達検索を導入した際や、mixiアプリで個人情報漏洩する騒動もありました。

プライバシー絡みのデマは、情報があからさまに正確性を欠いていようがおかまいなく実に驚くべき速さで広がり、訂正情報を後から流しても決して追いつきません。よく「Twitterは後から訂正がRTされるのでデマに強い」などと言われますが、ことプライバシーデマに関してはその限りではありません。

プライバシーデマは、経験的におおよそこういう構造になっているようです

  1. プライバシーまたは個人情報利用に関するものである
  2. 一般には目につかない、設定メニューの奥の奥にある設定項目が問題にされる
  3. その設定項目は、実際には限定的な状況で限定的に利用することを前提としたものなのだが、そうではなく一般的に広く利用されるという前提ではなしがはじままる
  4. 場合によっては、似てはいるがまったく違う別の機能やサービスと混同して語られる
  5. 必ずわかりやすくリスクが増大するほうに混同される
  6. デフォルトのままだと危険なので、オフにしろという対策が付随する
  7. 類似サービスや類似機能との比較、オフにしないときのリスクの詳細などは検討されない

日頃は冷静にウソをウソと見抜けるひとであっても、話がいざプライバシーや個人情報となるとそうともいかないということも多々あるようです。とくに、ソーシャルメディア参加者がみな自分のプライバシー情報を提供し合うことを前提としたサービスであるため、そこでのプライバシー情報の扱いはとても複雑でわかりにくいものになりがちです。

しかし、わかりにくいものであるからといって、ただリツイートに従って常に安全側に倒し続けていくというのもいかがなものかという気はします。「正しく怖がる」ことは難しいというのは去年の震災以降よく言われることですが、プライバシーについても同様だなあという印象を強くするこのごろです。

TakahashiMasakiTakahashiMasaki 2012/06/04 03:18 「リクスが」←「リスク」?

内田明美子内田明美子 2012/06/04 15:40 Facebookはこの5月、ユーザーのweb上にあるアドレス帳や送受信履歴からメールアドレスをごそっとインポートしたうえで、一斉送信で「Facebookで???さんの写真をチェック!」とか「友達を増やしませんか」というようなお誘いメールを送りつけるという行為を繰り返しています。
私も、「<私>さんの写真をチェック」を一斉送信されてたいへんショックを受けたユーザーの一人です。
アドレスのインポートにはメールパスワードが必要であり、これをやられたユーザーは「友達検索しましょう」などと言われてパスワードを入力したという覚えがあるので、そこに自分の非があったことは認めざるを得ない。アドレスインポートも、インポートしたアドレスを「友達を増やすお手伝い」に使う可能性があることも、よくみるとちゃんと説明されているので文句は言えない。
しかし、心情的には迷惑であり、起こっており、二度と失敗しないようよくよく気を付けないとという気持ちになりました。
こういったメールを送られてしまったり受け取ったりした人が多いタイミングだったために、このデマも「それくらいのこともやりかねないだろう」と受け入れられたのではないでしょうか。
私もすんなり信じて設定変更しました。

fsに友達がいないfsに友達がいない 2012/06/04 16:12 正確なタイミングは微妙だけど仕様が変わったのは事実で、それはこの記事にもある通り、
以前表示されなかった自分のプロフが想定されないタイミングで他者の画面の広告に表示されるようになったので、
最初のtweetは事実。設定方法はユーザーとしての選択肢。
それに対して関係の無い似た情報を被せてデマ扱いしたり、「他サービスでは」と関係ない比較を長々とした文章で出すこの記事の手法こそ典型的デマ、
出会い広告満載のFacebook は信頼のできるサービスではないのは明らかなのでリスク回避の手法は若干オーバーでも否定すべきではない。
因みに自分はプロフ画像削除で処理。
何をもって個人情報とするかは微妙だけど漠然としたいいねが詐欺商品だった場合、
購入者から訴訟される可能性があり実名ベースでリアル友人登録してたら社会的に葬られる可能性が増したと言えるのが今回の舵取り、

ご質問ご質問 2012/06/05 14:08 若干分かりづらかったのですが、ここでの「デマ」というのは、facebookユーザーが広告に利用されるということに関してではなくて、この金曜から利用され始めるというタイミングに関してのみでしょうか? FBの広告欄に「いいね」を押した人の名前と写真が使われているを見たことがあるものですから。つまり、すでにユーザーは利用されているのであるが、それはこの金曜よりもずっと前(少なくとも一年以上前)からだ、というのが趣旨でしょうか?

mohrimohri 2012/06/05 14:56 >ご質問さん
金曜日に「外部サイト」というのが明確に間違いです。Facebookは外部サイトに表示される広告をまだ提供していません(この設定項目にあるように今後のこととして考えてはいるようですが)

おっしゃるようにFacebookのサイト内では、いいね!したユーザーの名前と顔写真が「●●さんもいいね!しています」といって表示されるスポンサー広告はかなり以前から表示されています。あるいは外部サイトでもFacebookページのソーシャルプラグインでは、すでに名前と顔写真が表示されます。ただ、これらは「第三者が表示する広告」の設定とは関係ありませんので、設定の説明としても不完全です。そういう意味では、その下の「友達と広告」の説明であれば、よかったのかもしれません

mohrimohri 2012/06/05 14:58 id:TakahashiMasaki さん
ご指摘ありがとうございます。修正しました

ご質問ご質問 2012/06/05 15:06 >mohriさま
ご説明ありがとうございました。ようやく理解いたしました。

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