レイモンド・カーヴァー『カーヴァーズ・ダズン』

Carver’s Dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選

Carver’s Dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選

連続で画像が出ないと悲しくなってしまいます。。。
あと、下の記事はミスったのですが、消せないです(汗
誰か削除お願いします。

さて、気を取り直して。

レイモンド・カーヴァーの「カーヴァーズ・ダズン」です。
実はこの本、半年以上前に部員の雪野くんに借りたのですが、半分ぐらいのところで止まっていたのを、今回読みきりました。遅くなってごめん、そしてありがとう。

タイトルから察しが付くと思いますが、この本はカーヴァーの初期から後期までの執筆作品の中から12個の作品を村上春樹が選んだ贅沢な本です。

一人の作家の作風の変化を追うという楽しみもできるし、単純に一冊の作品集としても楽しめます。

僕がこの本を読み通したのは、奇妙な好奇心からです。
レイモンド・カーヴァーという作家が織り成す作品世界が今まで読んできたものと微妙にずれているという違和感からです。そして、その着地点を見分けたかったからです。

彼がどういう作品を書き上げるかを、僕なりの言葉で説明すると次のようになります。
先日アップした「ドルジェル伯の舞踏会」が典型的な人物設定と適切な状況設定の元、複数人の心理の絡み合いを描く作品だとしたら、カーヴァーはどこにでもいそうな人物たちの、すぐそばであるかもしれない少しだけ奇妙な出来事における、心理のズレというか上滑りを描き出すのを得意としてます。

まさに我々の日常のリアルな心のやり取りを紙面に再現しているとでも言うのでしょうか。

だからこそ、なんでもない話が妙に心に残ったりします。

個人的にはこの本の中に収められている「足もとに流れる深い川」、「ぼくが電話をかけている場所」、「ささやかだけれど、役にたつこと」が好きです。

前二つは、登場人物の心のズレ具合が、最後の一つはそのズレの調和の仕方が共感できて好きです。

非現実であるはずの小説空間にこれだけの現実をこめれるのは、単純にすごいと脱帽します。

皆さんもいろいろな意味でお得なこの一冊をぜひ手に取ってみてください。以上、会長でした。

P.S.重ね重ね、雪野ほんまありがとう。次会ったら必ず返します。