センティネル丘の白い奴

 栃木のアルパカ牧場の毛狩りニュースが引き金になったのだろうか。何やら、巷ではアルパカが人気らしく、らばQはじめ、各所に関連エントリがあがっている。
 そういえば、手持ちにアルパカを撮影した写真が一枚だけあったなと、写真フォルダから引っ張り出してみた。後ろ向きではあるけれど、紛う方なき白アルパカである。

 さて、この写真をどこで撮影したのかというと、ここ


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 America's Stonehenge(Americanじゃないところが渋いと思う)として親しまれている、ニューハンプシャー州セイラムのミステリイ丘と呼ばれるストーンヘンジの入り口近くに、何故かアルパカ小屋がある。のみならず、駐車場入り口の看板でも、このアルパカ君が存在感たっぷりにアピールしていたりするのだった。

 ストーンヘンジというと、イギリスはソールズベリーの環状列石が有名だが、こちらの方は巨大な石が環状に並べられているわけではなく、丘の頂きにある石組の構造物を中心に、30エーカーという広範囲に石積みが散在する遺跡である。
 H・P・ラヴクラフトのファンならば、どこかで耳に(或いは目に)したことがあるに違いない。
 発表当時は英米のSFファンにも大きな衝撃を与え、低予算映画監督として有名なロジャー・コーマンによって映像化もされた『ダンウィッチの怪』。その舞台のひとつ、太古の神を祀る祭壇と思しきテーブル状の岩が並ぶセンティネル丘のモチーフと言われるのが、ニューハンプシャーのミステリイ丘なのだ*1東京創元社の文庫版全集5巻の後書に写真が掲載されている「生贄のテーブル」がここにある。*2

*1:但し、時期的な疑義がある。調査中。

*2:なお、『ラヴクラフト全集5』の後書において、大瀧啓裕氏がL・スプレイグ・ディ・キャンプの何かの文章から、おそらくはマサチューセッツ州の同名の町のつもりで「セイレム北部に位置するミステリイ丘」と書いてしまっているが、これはニューハンプシャー州のノースセイレム(地名)の誤りだ。