「パンチドランク・ラブ」

パンチドランク・ラブ」 評論家受けする、不思議・佳作

パンチドランク・ラブ」とはどかんと一発食らわされたような、そんな一目ぼれのこと。


トイレ周辺小物の製造会社をやっているバリー・イーガン(アダム・サンドラー)の関心事は、バーコードひとつにつき、マイレージが貯まるという食品会社のキャンペーン。超安売りのプリンで相当数のマイルが稼げると、しこたま買い込んでみたり、道に捨てられていた壊れたオルガンを拾ってみたり、そんな毎日を過ごしている。
 彼にはなんと7人の姉がいて、たった一人の弟をけなすわ馬鹿にするわの言いたい放題。そのためか、バリーには子供のころからブチッと切れて周りのものを破壊する癖があった。
 そんなバリーが、事務所の隣の修理屋に車を運んできた女性、リナ(エミリー・ワトソン)と出会い、恋に落ちる。ところが以前利用したテレフォン・セックス・サービスが、恐喝をしかけてきた・・・・。


監督はポール・トーマス・アンダーソン。「マグノリア」「ブギーナイツ」で評価も高い監督である。彼がカンヌで最優秀監督賞を受賞したのがこの作品である。

簡単に言ってしまえば、評論家好きする作品だ。とても抽象的で、事象は語られるがその原因は語られない。感情移入というのも、登場人物たちがあまりに変人なので、どうもできないし、ようするに、なんというか、「行間」をわざと残してあるような、そんな作品なのである。

 バリーがいかに純粋で、おたっきーで、ストレスがたまっていて、そして恋に落ちて人生七色(なぜばら色ではないのか?この映画を見たらわかります)になって、自分の感情と「調和」(=ハーモニー・この映画のキーワードである)をするようになるのか、が淡々と、色を意識した澄んだ画面で描かれていく。

 これは、変人による、変人のための、虹色の恋物語だ。バリーのオルガンが、リナという伴侶を得て、和音も、不協和音も奏でられるようになるまで。バリーの青色が、リナという赤色を取り込んで、七色になるまで。
 そんな物語を、退屈と思うか、なんかいい感じ、と思うか、は見る人次第である。

結論
人によっては300円・人によっては0円・いちかばちかで200円!