Hatena::ブログ(Diary)

桃谷薫の徒然日記

2012-07-14

レビュー 映画「ヘルタースケルター」

たぶん原作を知らないでこの映画を見た人は「沢尻エリカの濡れ場すごいな」「全身整形のスターが行き詰まっちゃって奇行に走っておしまいね」程度の感想しか持たなかったと思う。確かに沢尻エリカはきれいだった。濡れ場もきちんと演じた。…この「演じた」感が残ってしまったのが残念なところ。

りりこは全身全霊で生きていた。「焦燥感」。この映画に最も欠けていたのはこの単語だろう。りりこは常にぎりぎりのところで怒り、笑い、泣いていた。沢尻エリカに鼻水たらして泣くことを要求するのは無理なことだったのだろうか。そして実は責任は沢尻エリカにはない。蜷川実花監督である。原作にとらわれすぎたか原作の持つ疾走感を描ききれなかったのか、「さくらん」にくらべ実に歯切れの悪い作品となってしまった。りりこの持つ焦燥感あってのこずえの透明感ある存在のインパクトなのにただ若い後輩に対する嫉妬心くらいにしか描かれてなかった。「無理に無理をしてつくりあげた」りりこに対してのナチュラルな、無垢なそれ故に罪深いこずえの美しさ、その対比がなかった。窪塚洋介演じる御曹司との関係もそうだ。りりこは白馬の王子様として彼を求めていたのにそれを裏切られたときのショック、そこの表現も浅かった。私は原作に並々ならぬ思い入れがあったので辛口の感想となってしまったが観客が求めたのは「美しい絵を見たい」それだけではなかったのは間違いない。追記ながら岡崎京子が好きなスージーアンドザバンシーズのヘルタースケルターを使うことはできなかったのだろうか、そこも惜しい。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/momoyakaori/20120714/1342277214