風日好 このページをアンテナに追加

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2018-08-30

 観光の横道(終わりの始まり)

 

 総裁選対立候補が「正直、公正」をキャッチフレーズにしようとしたところ、「個人攻撃はまずい」という声が党内から(支持者からも)あがったようで、「正直の反対は、嘘つきにゴマカシ。公正の反対は、身内優先にお友達優遇。誰のことか、すぐ分かってしまうじゃないか。不愉快だ」。

 といわれて「正直、公正」を撤回しそうになったのですが、諸般の事情忖度したのか、結局撤回を撤回するという、何が何やら。

 

 「リテラ」(→ここ)によれば、Twitter上には、「正直、公正」を撤回するのならと、「#石破氏の新キャッチフレーズ」なるハッシュタグが登場し、次のような新フレーズが提案されて、いわゆる大喜利状態となったそうです。

 「憲法違反はしません!」 「お友だちを優遇しません」 「国民を“こんな人達”と呼びません!」 「強行採決を繰り返しません」 「災害時に宴会はしません」 「自分のフェイスブックへの差別的書き込みを放置しません」 「ネトウヨ作家をNHK経営委員にしません」 「ヤクザに汚れ仕事は依頼しません!!」 「公文書改竄せずに保存しておきます!」 「聞かれたことに答えます」 「約束を守ります」 「自由と民主主義」

 さらに、こんなのも。

 〈自由、民主主義、寛容、報道の自由、地方分権、開かれた政治、国民第一、弱者にやさしい政治、格差是正、公金の適正支出、討論・対話重視、誠実、三権分立、権力を私物化しない…

 ダメだ。何を言っても安倍への個人攻撃になってしまう。〉

 

 「リテラ」は、次のようにコメントしています。

 「このままではマスコミや市民が「ウソで国民をごまかす政治はやめろ」「えこひいきのない公正な政治を求める」と、民主主義国家としてごく当然ことを言っただけで、誰もが「安倍首相への個人攻撃」なるレッテルを貼られ、政権から弾圧されてしまう。」〜 「冗談ではなく、こんなディストピアめいた状況が、安倍首相のもとで現実化しているのである。」

 

 今回の事態で明らかになったのは、しかし、アベ首相が、 「さんざんウソやごまかしを重ね、果ては国民の疑問に答えずに逆ギレを繰り返しながら遁走を続けるという」、「正直、公正」とはとてもいえない人物だ、と、少なからぬ国民が批判している、というだけのことではありません。

  「そもそも「正直、公正」って、別に政治家として当たり前の志だろう。それを自民党は「安倍首相への個人攻撃」になると騒いでいるのだから、コレ、裏を返せば、安倍首相は「正直、公正」ではなく「嘘つき、不正」と自民党が認めてしまったということではないのか(笑)」。

 

 『永続敗戦論』(文庫版=「講談社+α文庫」)で衝撃を与えた白井聡氏は、『国体論ー菊と星条旗(「集英社新書」)で、「国体の反復」という図式を提示されました。かつての「国体」は、いわゆる明治維新に始まり、77年後、1945年にこの国を徹底的に破滅させて終わりましたが、にもかかわらず、戦後、姿を変えた第二の国体が、同じ轍を踏んで進行中だ、と白井氏はいうのです。

 ここでは氏の議論に立ち入ることはしませんが、仮にその図式を借りるなら、今年は戦後73年め、第一の国体でいえば1941年に当たります。中国侵略の泥沼が抜き差しならないまま遂にナチス・ドイツと組んで米英と開戦する年、明確な「終わりの始まり」の年です。(そういえば、6月の首脳会談で、トランプがアベに、「真珠湾を忘れていないぞ」といったと、アメリカでは報道されています。こちらの政府ややっきになって否定していますが)。

 それまでは、援蒋ルートを断ち切れば国民党政府は手をあげる筈だとか、ヨーロッパ戦線ではドイツが圧勝するだろうとか、アメリカは参戦しないだろうとか、南方を押さえれば石油も資源も心配ないだろうとか、その他の夢想がまだあったのですが、あの年になると、もはや夢想は消え、いよいよ諸矛盾が煮詰まって、どうにもならなくなっていました。御前会議で、国体を案じる天皇から、「勝てるのか」と聞かれても、居並ぶ歴々は、「初戦は暴れてみせますが」としかいえなくなったのです。

 「東条首相はこの国を破滅に導く。しかし他に人なく、他に道はない」。当時の為政者たち自身がそう思い知った、終わりの始まりの年、明治から73年めの1941年。

 そして戦後73年めの今年、「首相は不正直、不公正でどうしようもない。しかし他に人なく、他に道はない」、と当の自民党諸氏が認めたのでした。

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