2012年 第19戦 アメリカGP

再びアメリカ時間へようこそ。


ハミルトンがたぐいまれな才能を再び証明してみせた。終盤戦に入ってから圧倒的なパフォーマンスを見せるレッドブルベッテルに対し、予選であと一歩のところまで詰め寄り、決勝では二台のレッドブルオーバーテイクして優勝をもぎ取った。痛快。アメリカGPの成功はハミルトンのおかげと言っても過言ではない。波に乗ったベッテルを止められる唯一のドライバーだけに、来期の移籍がどう出るかは不安なところだ。

マッサはセカンドドライバーとしてこれ以上ない働きをした。予選でアロンソを上回り、ギアボックスの封印を故意に破るという戦略的5グリッド降格を受け入れながら、優れたレースペースを発揮してアロンソの後方4位でフィニッシュした。本来の位置からスタートすれば、ベッテルやハミルトンに匹敵したとは言わないが、その可能性は感じられる見事な走りだった。

アロンソは、またしてもフェラーリのアップデートが不発したようで、レッドブルとハミルトンの戦いを遥か後方から眺めるよりほかはなかった。マッサの献身と、見事なスタートダッシュにより、辛うじて表彰台を獲得、最終戦に望みをつなげた。

目下、最速のクルマを持っていると思われるベッテルレッドブルだが、スタートで1-2体制を築きながらハミルトンに敗れ去った。ウェバーはまたしてもオルタネータトラブルによりリタイヤ。ベッテルはスタートからずっとクリーンエアを走りながら終盤にハミルトンにかわされ、カーティケヤンに八つ当たり。やれやれ。

ザウバーは、両ドライバーともFP3では37秒台を出せていて、予選では38秒台しか出せないというのは、あまりにもお粗末なセッティングと言わざるを得ない。ここは既に19戦目なんだが……最終戦では、最低でも13点を稼がなければメルセデス逆転はならないが、この体たらくでは期待も持てない。ちなみに13点というのは、一人が表彰台に乗るか、ダブル入賞が必須ということを意味する。……すごく、無理っぽいです。

さて、物議を醸したフェラーリのグリッド操作だが、個人的には嫌いではない。コースコンディションと彼我の戦力差を考慮したおもしろい戦略だった。
両ドライバーとも明らかに不利な偶数グリッドで、さらにチャンピオンシップを争うベッテルがポールという状況を考えれば、なりふり構っていられないだろうし、なりふりを構うべきではない。もちろんマッサ降格により(偶数→奇数への移動とアロンソ+1も加味すれば、机上的にはトントンだが)コンストラクターズポイントにおけるリスクは負っていたわけだが、マッサの見事な走りが完璧な結果を呼び寄せた。ちょっとうまくいきすぎだった。

そんなわけで最終戦は、ベッテルが4位(12点)以上ならアロンソの順位に関わらずチャンピオン決定、逆にアロンソは3位(15点)以上でないとベッテルの結果に関わらずOUT。
クルマの性能差も明らかであり、通常のレースであればもう無理だろうという状況だが、雨予報もあることだし、とにかく最後の大番狂わせを期待して、今週末を待ちましょう。