なぜエルラン中将は裏切ったのか

今朝の通勤中にトイレに駆け込んだときにふと思い浮かんだ疑問。
はてな」で聞いてみようかと思ったが、なんか過去の質問をみるとそれっぽいのはないのでやめておく。

エルラン中将はTVシリーズのガンダムにでてくる端役で、連邦軍の高官。レビル将軍の側近だったが、オデッサ作戦のときにマ=クベに内通して情報を漏らしていた人物。わからんのは、連邦軍の高官が無能なのはともかく、なぜ利敵行為をしなけりゃならんのだろう、という点。

一年戦争後にできたアナハイムみたいな商売人とかだったら、新しい顧客獲得のためにジオンに味方するのもわかるし、シーマとかのレベルの士官ならば、ちょっとした対偶の差だの、人間関係だの、アイナと添い遂げるだの、サボテンが花をつけている等の理由で敵に寝返ってしまうっていうのも手かもしれない。だが、彼は軍の階級でもほぼ頂点に近い中将である。(宇宙世紀連邦軍で、公式に大将だった人物を知らない)

連邦とジオンでは戦争目的が異なっており、ジオンは連邦政府を完全にたたきつぶして地球を丸ごと支配しようとは思っていなかったはず。両国では国力が全然違うので、どんなにエルランが頑張ってジオンが戦争に勝っても連邦軍が完全になくなることはなく、彼は依然として連邦軍の高官で有り続けたはず。で、ジオンが戦勝した場合、彼の権限や対偶は現在よりも悪化することは間違いないだろう。それを望む人間がいるとはおもえない。

そりゃ、ジオンを戦争に勝たせることで、戦いに敗れたレビルに責任をとらせて、自らが戦後再編されるであろう連邦軍の総帥となろうという意思があったのかもしれないが、そこまで遠大な計画があるようには見えない。簡単に露見したし。……そこまでの読みがあったのかなあ。他に理由が思い当たらないんだよなあ。

あとは、「公的な」理由が合っての場合か。例えばもともとエルラン中将はジオン主義者であって、スペースコロニー居住者の地位向上を願っており、この戦争でジオンが勝つことが、これまで虐げられてきたコロニー市民のためになると思い、行動していた、という可能性もなくはない。さすがに地球人のくせにギレン主義者であるはずはなかろうが、良心的な平等主義者であったのかもしれない。
この戦争に連邦が勝った場合には、ジオンを完全に支配下に併合する形になることは見えていただろうし、その場合に宇宙居住民に対して行われる政策が苛烈なものになるであろうことまで予測をし、オデッサ作戦という地球連邦軍起死回生の作戦を失敗させることで、両者を再び和平のテーブルにつかせ、戦争の早期終結と、連邦がジオンの独立を承認するという幸福な結末をもたらそうとしていたのかもしれない。そうなれば、連邦軍は公式な敵を持ち続けることで内部分裂せずにすみ、ジオンも学徒動員して戦争を継続したりせず、ララァもスレッガーも死なずに済んだし、ティターンズアクシズデラーズフリートも生まれなかったかもしれない。
そう、エルランが裏切りに成功し、連邦軍オデッサ攻略に失敗すれば、そんなバラ色の世界が待っていたかもしれないのだ。なんだ、エルランって自分の身の危険も、軍での地位も顧みず、世界平和のことを鑑み、戦争の早期終結を願ったいいヤツじゃないか。


……いや、話の都合上、ってのはわかんないではないんだけど。