焦げた霧

朝。周りの騒々しさのせいか、それともこの周りの異常さに体が起きたのか、、、?どちらともだろう。
目を瞑りつつもこの日常的ではない変化に耳を澄ませ、焦点の合わない眼を体と一緒に起こし上がる。空の模様を確かめようと窓の方を振り向く。
窓の向こうに雲が流れている。。。その瞬間に焦げた臭いが鼻を通って舌にのっかった。あれ?なんだろう?
どうやらおつむは、仁王立ちする体に何の命令も出来ないようで、ただ目だけは泳ぎ回ろうと活動する。だいぶ仁王立ちした体はアパートが高層ビルに掛かる雲の内ではなく、ましてはセントラルヒーティングの蒸気がパイプの隙間から漏れてもいない事を判断し、ようやく隣の建物から火の手が上がっているのに焦りだした。火事だ。
こんな寝起きがあってたまるか!と、いそいそと火の元を確認しようとするも、窓の向こう側にはただジーンズの焦げたような臭いの白い気体がモクモクと流れてゆくだけ。それと煙たそうに揺れる木が何やら美しく見える、、、それどころではない。9月1日の防災訓練を何年やったのか思い出せ!
外は絵の具を水に溶かしたような色だ。。。もちろん居心地は悪い。しかし、ご近所さんはあまり気にせずせっせ日常を過ごしている。
そばにいたファイヤーファイターは言う『わがアパートメントは安全だ』と。
確かに、ならば移り気の早い小生は『朝だし、コーヒーでも飲もう』と、1ブロック向こうの喫茶店へ行く。そしてお腹がすいてきた頃に帰宅すると、、、窓にはいつもの風景が。美しく思えた木はただの庭木に。
しかし臭いだけは今も消えてはいない。
まぁそうです。こんな朝は嫌だ!