アニメ版『魔法先生ネギま!』は駄作であるはずがない

明日菜のマジックキャンセルについて書こうとしてるんだが、明日菜に対してもしくは明日菜の近くで魔法が使用されてる回数が意外なまでに多かったので、どうまとめようかとちょっと困惑したがちょうどいい例えがあった。
ハウルの動く城』だが大ヒットしたし先日の金曜ロードショーで放送したばかりなのでご覧になった人も多いだろう。その中の登場人物ソフィーにかけられた呪いを思い出して欲しい。あの呪いはソフィーが心を開いたときには若返り、心を閉ざしている状態では年寄りの姿になるというものだった。ただし劇中ではそういった説明はされてはいない。ソフィーの変化を観客に読み取らせるために敢えて説明を省いたのである。そしてそれは明日菜のマジックキャンセルも同じである。
マジックキャンセルが発動したりしなかったりするのを「ご都合主義・矛盾だらけ」と非難してはいけない。マジックキャンセルは明日菜の心理状態によって発動する場合とそうでない場合があるのである。マジックキャンセルは明日菜の心理を読み解くための重要な能力なのだ。


では、明日菜のマジックキャンセルについて発動したときとそうでなかったときの様子を重要な場面に絞って説明しよう。
まずは初めてネギの杖に乗せてもらったときである。勿論、失敗した。この時のネギは明日菜の新聞配達を手伝おうとしていた。明日菜の性格からして手伝ってもらうことを無意識に拒否したことは明白だろう。学園長の好意を受け取らずに修学旅行の費用もちゃんと働いて払おうとするような性格である。
次は修学旅行編で木乃香を助けるために刹那と一緒に杖に乗ったときだ。これは見事に成功している。ネギとエヴァとの戦いに駆けつけて「私が来たくて来たんだから迷惑でもなんでもないの」と言うほど他人を助けようとする気持ちは大きい。誰かを助けるためなら魔法も受け入れるということだ。
そして子ども時代。ナギの風楯の失敗。これについては最後に書く。
魔族に襲われたときは魔族の攻撃は消されるも、ネギの魔法は成功し杖に乗って飛べた。魔族の攻撃は明らかに敵意のあるもので消されたのは当然。ネギの魔法については皮肉にも明日菜が諦めて死(全て)を受け入れようとしたために成功したのである。また杖で飛べてるのはネギの言葉によって初めて人前で弱さを見せ助けを求めているからである。
魔将軍との戦いでは白き雷が消された。これは明日菜の意識がなくて魔将軍が力を操っていたと思われる。そして意識を取り戻した後はネギの魔族浄化の魔法を受け入れているためマジックキャンセルは発動しなかったのである。
自分を救って欲しいという願いを周りに発して、みんなの好意と魔法を受け入れることができたから別れ際に「もうひとりぼっちは嫌なの」と泣いてしまう。でも「もうひとりぼっちは嫌なの」と言えること自体が明日菜がもうひとりぼっちではないことを裏付けている。それとこの言葉はナギと一緒に生活しているときはひとりぼっちだったことを表している。自分の弱さをナギに見せることが出来なかったからナギの好意と魔法を受け入れられず、ナギの風楯は消されたのだ。


これだけ書けばマジックキャンセルは矛盾だらけなんかじゃないということは理解してもらえるだろう。ただし例外がひとつだけある。修学旅行でフェイトの水妖陣をまともに受けているのだ。原作では「明日菜に本来の能力を発揮できなかった」と説明されてるがアニメでは普通に捕まっているんだよな。まさかアニメでは本来の能力を発揮したら対象を絞め殺したりするぐらいの力があったりするのだろうか。フェイトの「殺しはしない…けれど」というセリフがアニメではなかったし。