202時間目におけるネギの突きの理論

アセティック・シルバーさんのネギま!感想クリップの中で、
「ネギが拳を打ち込むシーンは力が入らなそうに見えるけど、これも中国拳法関係なのかな?だれか調べたりしたら面白いかも。」
とあったので調べてみた。調べてみたというよりは、個人的な主観を踏まえて考えてみたの方が正しいかな。確か、どこかの掲示板でも「力が入らないのでは?」みたいな書き込みがあった気がする。
間違ってる点があるかもしれないけど「貴様は中国武術を嘗めたッッ」とか言わないでね。
ちなみに今回ネギが使った攻撃は、形意拳の崩拳。『ネギま!』読者にはお馴染みの技。


まず、力が入らないように見える一番の原因としては、インパクトの直前に両足が地面から離れてるからであろう。攻撃を繰り出す際に足が地面から離れてたら、打撃力を作り出すための踏み切り・踏み込みは不可能だし、そんな状態から上半身だけで十分な打撃力を作ることも難しいだろう。
対照的に201時間目のラカンの葱拳なんかは両足がしっかり地について、しっかりと踏み込めてというか踏ん張れていて、高威力の突きを繰り出せているというのが一見して直感的に分かると思う。


で、ネギが実際にどうやって突きを繰り出したのかを細かく見ると、理論的には決して力が入らないというわけではないということがわかるハズ。
普通、形意拳なら左(右)足で踏み切り*1、右(左)足を前に出しつつ右(左)拳の突き、右(左)足の踏み込みの順で終わる。フェイトをぶっ飛ばした時のくーふぇなんかそうだよね。それとタカミチに雷華崩拳を使ったときのネギも。
202時間目のネギは最初に左足で踏み切り右足を前に出しながら、右拳で突きを繰り出している。よって、きちんと踏み切れているわけだから突きに必要な力は入っている。そして、右足の踏み込み。
面白いのは突きを繰り出したとほぼ同時の右足の踏み込みでそのまま踏み切っちゃって、ジャンプするかの如く*2そのままラカンに突っ込んだこと。*3


どうしてネギがこんなことをしたかと言うと、突進力を加えるというのは勿論だが体重を拳に限界まで乗せるためからだと思われる。
物理的に考えて、インパクトの瞬間に両足が地面についている限り体重は拳だけでなく足にもかかって分散される。だから分散するのを可能な限り防ぐために跳んでいるというわけ。そして体重が限界まで乗った拳が当たった後に(ほぼ同時に近いが)、左足で最後の踏み込みを行っている。


なんかちゃんと説明できてないような気もするが結果を一言でまとめると、通常の突きより大きな体重を加えているだけ。


順序をまとめると
通常の崩拳:左足で踏み切り→右足を前に出しながら右拳で突きを繰り出す→インパクト→右足で踏み込み
今回のネギの突き:左足で踏み切り→右足を前に出しながら右拳で突きを繰り出す→右足で踏み込み〜踏み切りで跳躍→インパクト→左足で踏み込み
こんな感じ。
この順序を見たら分かるけど、今までの崩拳だって、インパクトの瞬間は片足が浮いている状態だった。インパクトの瞬間・直前に地に足がついてないってのは素人目には弱そうな気がするけどそんなことはないのである。
今まで、拳が当たった瞬間あるいは直前の足元がどうなっているのかの詳しい描写がなかったから今回のような疑問が出てきたのだと思う。最後の踏み込みが描かれてる場合は、既に相手は吹っ飛んでたから。


現実的に考えて、真正面からバカ正直に体ごと突っ込むようなネギの突きを実戦で使うことは危険すぎて不可能に近い。技術的な面でも踏み込みと突きを繰り出すタイミングが通常とはかなり違うだろうし、跳躍の距離を見誤ったり空中でバランスを崩したりすると逆に威力が落ちそうだし。
だが、ネギのように最後に踏み込む足を変えてまで威力を高めるなんてのはともかくとして、インパクトの瞬間にどちらかの足を僅かに浮かすような感覚で、その足にかかっていた分の体重の幾らかを拳に乗せて攻撃するという手法は上述の崩拳以外にも各種中国拳法には結構あるんじゃないか?というかそれが基本だよね?多分。俺は別に拳法家じゃないし詳しいことは知らんけど、(最後の踏み込みを含めて)それが発勁の一種だよね?



しかし、魔力供給で爆発的なパワーを生み出せる世界で、小柄なネギが危険を冒してまで体重を限界まで乗せる意味がどれほどあるかはわからないような。魔力供給で体重が増えるってわけでもないんだし。
それにこの打撃の理論では、若干下方向に向かって打つのが最善だろう。ネギは少し上方向に打っている。身長差を考えればしょうがないけど。金的狙うのもアレだし。

*1:踏み切るというより軸足にするという感覚に近いかも

*2:するかの如くというより、実際に水平方向にジャンプしていると言っても過言ではない。

*3:印刷の関係上わかりづらいので、足に関しては逆なのかもしれない。その場合は、最初に右足で踏み切って、右拳による突きを繰り出してそのまま突っ込んでいることになると思う。不自然だからそんなことはないと思うが。