台風クラブ

台風クラブ [DVD]早世した相米慎二監督の代表作。前に紹介した『オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇』でも堂々第10位にランクされている。1985年。
東京近郊のある街の中学校が舞台になる。台風で一晩校舎に閉じ込められた中学生達の情動が描かれている。相米監督の特徴でもある長回し撮影は、虚構であることを忘れさせる生々しい現実感をもたらしていると感じた。しかし、娯楽作品として「おお」とか「うぉぉ」とか「ひー」とかを求める向きには不興であろう。なにしろこの映画で絡め取られているのは密やかな情動であって、派手な行動ではないから。
映画全体を覆う息苦しさや陰鬱さを味わうという、なんだか自虐的な見方がこの映画にはふさわしいかもしれない。私は世評の高さほどには楽しめなかった。「セーラー服と機関銃」(1981年)や「お引越し」(1993年)、「夏の庭 The Friends」(1994年)あたりの方が好きである。