アンチファン
神戸地震から半年過ぎたころに、神戸学生青年センターの飛田館長から、韓国の歌手について問合せがあった。「アンチファンという歌手が、神戸で地震被害者を励ますためにライブしたいと言ってるけど、知ってるか？」というものだった。
当時Morris.は、アンチファンの名前すら知らなかったし、今みたいに、ネットで検索するなんて手段も無いに等しかった。それでもいろいろ調べたら、「松よ青い松よ」という歌で知られている、民衆運動圏のフォーク歌手らしいということがわかった。
結局、彼のライブは、95年8月3日の夜、Morris.亭のすぐ近くにあるマンション地下の「テアトル・ラモー」という私的な音楽スペースで開かれることになった。
生ギターの弾き語りと思っていたが、4人編成のちゃんとしたバンド編成で、ほとんどロックみたいな音楽に驚かされた。これはこの年の3月に発売された4枚目のアルバム(写真)でのセットだったらしい。エレキの大音量に負けない強靭な声に圧倒されてしまった。
ライブ後の焼肉屋での打上げにも参加し、拙い韓国語で話もしたが、吉実ちゃんの妹、圭美ちゃんとは、親しい間柄と聞いてびっくりしたことなども今では懐かしい。
その後、手に入れた1枚目と2枚目のアルバムを収録したCDで、彼の本領というべきフォーク系の歌を聞いて改めて彼の魅力を知らされたような気になったが、日本と同じく、フォークソング自体が、韓国ではあまり流行らなくなったようで、TVなどで彼の姿を見ることはめっきり少なくなった。
先日、ネットでKBSのアーカイブの「開かれた音楽会」で、ひさしぶりのアンチファンを見ることが出来た。あいかわらず精悍な歌い方で、「人は花より美しい」を熱唱する姿を見て、胸が熱くなった。
jauさんの話によると、この番組では結構出演する機会が多いとのことだった。
