2017年ベストアルバム

 今年は後半になって「チャットモンチーが来年で解散」というニュースと、「ふくろうずが突然解散」というニュースが飛び込んできて、「これから邦楽は何聴いていけばいいの?」ムードになっている状況ですが、それでも時代はまわるということで2017年のベストアルバムを去年に引き続き8枚。
 文句なしの出来はThe Nationalで、他は好みでという感じ。一応、今年見つけたのは、Low RoarとOh Wonderですが、Oh Wonderは2nd、Low Roarは3rdアルバムなんですよね。今まで完全に見逃していたということ。本当に年々シーンを追えなくなっている気がする。


1位 The National/Sleep Well Beast

B0716RP8ZHSLEEP WELL BEAST [CD]
THE NATIONAL
4AD 2017-09-07

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 The Nationalは3枚目の「Alligator」から聴いていますが、今までの彼らの総決算的な作品でもあり、10年代の新しいロックを切り拓く傑作。なんといっても2曲目の"Day I Die"を聴いてほしいわけですが、複雑なドラムの鋭い切込みを入れていくギター、近年のロックで追求されていたウワモノにもなるようなドラムと装飾的なギターが高いレベルで誘導している文句なしの名曲だと思います。
 他の曲もレベルが高く、アルバムトータルでも飽きるところがありません。



2位 橋本絵莉子波多野裕文/橋本絵莉子波多野裕文

B06ZXR5KWC橋本絵莉子波多野裕文
橋本絵莉子波多野裕文
KRE 2017-06-20

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 チャットモンチー橋本絵莉子People In The Box波多野裕文によるデュオ。橋下絵莉子が「自分以外の人の作った曲を歌いたい」という思いからスタートした企画で、基本的に橋本絵莉子の歌詞に波多野裕文が曲をつけるという形で楽曲は作成されているらしいです。
 最初は悪くはないものの、もっと橋本絵莉子のボーカルを活かすようなジェットコースター的展開もあっていいんじゃないかと思ってたのですが、聴けば聴くほど「これでよかった」と思うようになりました。橋本絵莉子のやや不思議な歌詞がちょうどよい音に包まれている感じです。特に"トークトーク"は今年の邦楽でNo.1の曲ですね。


3位 Oh Wonder/Ultralife

B06Y3Y4YFHULTRALIFE
OH WONDER
ISLAN 2017-07-13

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 Oh Wonderはイギリスの男女デュオでこれが2ndアルバム。今作で初めて知りましたが、男女デュオ好きとしてはこれは素直に良いと思います。とりあえずこのOh Wonderの売りはポップセンスとメロディの良さ。エレクトロポップなのですが比較的起伏のあるメロディでどの曲にもしっかりとした見せ場のようなものがあります。
 自分が大好きなSlow Clubに比べると女性ボーカルの迫力や音楽へのオタク的なこだわりという点では劣るかもしれませんが、センスありますし、こちらのほうが一般的な人気は出そう。


4位 ふくろうず/びゅーてぃふる

B071JBW7DSびゅーてぃふる
ふくろうず
徳間ジャパンコミュニケーションズ 2017-09-05

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 去年に引きつづきのフルアルバムのリリースで、レコード会社移籍後順調だなと思っていたのですが、これがラストアルバムとなってしまいました。1曲目、2曲目にそれぞれシングル曲的な"びゅーてぃふる"と"デイドリーム"を持ってきていて、いよいよ売るための作戦を考えてきたのか思っていたんですけどね…。
 当初はアルバムの前半に比べると後半が弱いかなと思っていたのですが、だんだんラストの"サンライズ・サンセット"の♪また君に会えたなら/なにしようか?/一緒に暮らそう?/猫も飼おう!/幸せでしょ?♪の部分が大好きになりました。


5位 Syrup16g/delaidback

B0765TZZGBdelaidback
syrup16g
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT 2017-11-07

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 Syrup16gのアルバムは今までライブなどで演奏されていなかったもののCD化されていなかった楽曲を集めたもの。
 冒頭の"光のような"から、いかにもシロップな歌詞とサビ。♪中央線が止まっても/最終に乗り遅れても/この人生は終わらない♪とか歌詞だけでシロップだとわかるような感じですよね。次の"透明な日"の♪停留所に/年老いた老人が 独りで/寝ているように 待っていた/ああ そのバスは今日も来ませんか♪という部分なんかもいかにもな歌詞だと思います。
 未発表曲を集めたアルバムというとコアなファン向けのように思えますが、名曲の"赤いカラス"も入っていますし、普通のアルバム収録曲と遜色ない出来です(むしろ粒が揃っているといえるかも)。


6位 Stars/There Is No Love In Fluorescent Light

B074XLZDV2There Is No Love in..
Stars
Last Gang Records 2017-10-12

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 Stars、9枚目のアルバム。前作の「No One Is Lost」が2014年なので3年ぶり。今回のアルバムは「とてもStarsらしい」アルバム。特に目新しいことはまったくないんですが、Starsファンであれば、安心して聴けるような内容になっています。
 まあStarsの過去のアルバムの中で特に上位に入る出来というものではないですが、ラストの"Wanderers"のストリングスの使い方などはいいですし、ファンを裏切らない内容です。


7位 Low Roar/Once In A Long, Long While...

B06VSLBHJYOnce in a Long, Long While
Low Roar
Nevado Music 2017-04-13

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 Low Roarはアイスランド出身の二人組ユニットでこれが3rdアルバム。アイスランドといえば、何と言ってもビョークSigur Rosで、最近ではアウスゲイルなんかがでてきているわけですが、このLow Roarの音楽もそういったアイスランドのアーティストの流れの中にあります。エレクトロニカと生楽器の融合、浮遊感を感じさせるようなメロディやアレンジ、少し神秘的な世界観など、多くのものが共通しています。
 ただ、このLow Roarは今まで上げたアーティストに比べるとややポップ寄り。例えば、冒頭の"Don't Be So Serious"も、基本的にはダークな雰囲気の曲なのですが、サビの部分のアレンジがほんの少しポップによっていて、気持よく抜けていく感じがあります


8位 Jens Lekman/Life Will See You Now

B01N7L5OPPLife Will See You Now
Jens Lekman
Secretly Canadian 2017-02-16

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 スウェーデン出身のシンガーソングライター、Jens Lekmanの4枚目のアルバム。前前作が2007年、前作が2012年なのでここ最近は5年毎にアルバムを出してます。Jens Lekmanといえば、デビュー当時の"Rocky Dennis' Farewell Song"における、優しい歌声とメロディ、北欧ならではのポップさなどが魅力的でした。ただ、その後、優しい歌声とメロディは健在でしたが北欧的なポップさはやや後退していたと思います。
 しかし、それが今作では帰ってきた感じです。1曲目の"To Know Your Mission"も非常にシンプルな音で始まりながら、非常にポップなできで、しかも優しい歌声とメロディの良さは相変わらずで、気持ちよく聴けるアルバムになっています。