違いを克服して優れた結論を見つけ出す

(日経「春秋」2014/10/24付) 東京・神田の古書店街は奥が深い。未発表原稿や日記など貴重な史料が発見される。先日も哲学者ヘーゲルが書き込みをした自身の最初の著作が見つかった。メモからは当時の様子が窺(うかが)えるという。見つかった著書に早くもこのアイデアが登場しているそうだ。正反対で相いれない。そこで折り合いをつけ、違いを克服して優れた結論を見つけ出す。考えてみれば、現代でもこんな課題はあちこちにある。地方創生や法人減税を掲げ、成長戦略を進めるアベノミクス。一方で消費増税財政再建も促す。あちら立てれば、こちら立たず。なんとか解決策を見つけたが、決める役割の政治は、2閣僚辞任などタガの緩みが目立つ。中国の成長鈍化、欧州のデフレ懸念など国際環境も厳しさを増す。かといって、難問を前に腕組みしているだけでは、日本経済は再び沈み始める。
(JN) 矛盾に満ちた現実を非て逸する過程において、それを高い段階に進めて統合的発展をすることが現実に叶うのであろうか。低いレベルの政治活動で、更なる高レベルは期待できず、低レベルでの足の掬い合う活動が高い段階に展開するとはどうも想像できない。「どうしよう、何をしよう」ではなく、止揚しなくてはならない。その方法と過程には手本はない。でも、実は手本はなくとも、問題点はいくつも出ている。多分をこの日本の危機的状況を少しでも改善して行くためには、それを行おうとする者が、自分たちの既得権を放棄し、無理だろうという事を実行しなければならない。私たちは、圧力団体や自分の欲のために実行しない時代を終わりにして、高い段階に政治家がまず登って欲しい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO78818170U4A021C1MM8000/