銃のない社会の良さを実感してもらう

(日経「春秋」2014/10/25付) お子さんのいる家庭などでは、仮装の準備もこの週末が山場かもしれない。毎年10月31日の「ハロウィーン」というお祭りが日本でも急速に普及した。日本記念日協会は今年のハロウィーンの市場規模を前年比9%増の1100億円と見込む。バレンタインデーを初めて上回りそうだというから、勢いのほどが分かる。22年前には今より知名度は低く、「米国では子供が仮装しお菓子をねだって回る日らしい」という程度の理解だったと思う。この年、米国留学中の服部剛丈君(当時16歳)が、ハロウィーンのパーティー会場と間違えて1軒の民家に近づき、住民に銃で射殺された。両親は銃を許す米国そのものを変えようと活動を始める。その一環で日本に留学生を招待し続けた。銃のない社会の良さを実感してもらうためだ。かつてはデートと美食の日だった日本のクリスマスだが、最近は家族や友人と親交を深める日に落ち着きつつある。ハロウィーンも、異文化の仮装を楽しみつつ、銃で消えた若い命の多さに思いをはせる日へと育てられないだろうか。
(JN) 異文化を知り、それを認める社会が、日本であろう。日本は、他国の良いものを自国の文化と融合して、より形にして行く力を持っているはずだ。それが、技術発展でもあったし、12か月のカレンダーの中に他国の文化を盛り込んでいる。更に、日本での良いものは、輸出もすべきであり、「銃のない社会」は正にそれだ。但し、それぞれのあり方は、それぞれの文化のもとにあるので、「銃のない社会」だけを輸出することをしても、受け入れはされない。そのために、諸国は、お互いに異文化を知り、認める社会づくりが必要なのである。そして、日本人はそのために、世界中に人の受入と輩出をすべきなのである。それでは、まずはハロウィーンを楽しみに、31日は出かけよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO78878930V21C14A0MM8000/