『密告を促す制度は日本になじまない?』

『密告を促す制度は日本になじまない』
 「いち早く当局に伝えれば罰を軽くしてもらえる」そんな制度は、わが国にはなじまないと思いきや、「天声人語」(朝日/16/6/15)は実情を示す。「同業者を裏で売る文化は自国にはない。そう信じたい人が多いようだが、そうではなかった。公正取引委員会の課徴金減免制度だ。10年前に導入された。これまでは申告企業が望めば社名は隠せたが、今月から一律に公表されることになった。公表された社名を見て驚いた。大手も中小も名門も新興も関東も関西も何でもある。実は日本になじみやすい制度だったようである。」
 人身売買ではないが、仲間売るということは如何なるものか。正義のために友を売る。その正義とは、誰かにとって正義であり、誰かにとっては正義に非ず。義がたたないのではないか。でも密告が無ければ、隠れた不正を暴くことができない。そもそも、なかなか内部の不正を知らせることは、自分の身を考えると、その天秤棒は恐れながらに傾くようだ。それがまた、自分の組織を守ると思うのである。なじむ、なじまないの問題ではなかった。(JN)