『直接民主制は古代から続く民主主義の一つのかたちだが』

直接民主制は古代から続く民主主義の一つのかたちだが』
 (16/06/25)今日は各紙、英国のEU離脱への意見を挙げている。「春秋」は「世界史のなかでナチスほど『民意』をよく問うた政権はなかった――。かの独裁者は国民投票の特質を知り抜いていたのだろう。いまキャメロン首相は、取り扱いの難しいそういう危険物を持ち出した非をつくづく悔いているかもしれない。魔物のような「民意」を恨んでも遅い」と。「天声人語」は「これで自由が得られたのだろうか。英国は実利より、一時の快感を選んだのか。国家の「誇り」を取り戻す代わりに英国と欧州、そして世界にもたらされる混乱。それを考えると、めまいがする」と。「余録」は「各国の国民性の逆を突くあてこすりのブリュッセルのみやげ物に『完全な欧州人になるには』という絵はがきに料理上手の英国人とある。その英国人が『完全な欧州』から退出する。2度の大戦を経て築かれた物や金、人が自由に行き来する国際秩序が草の根の不満の標的となる今日である。政治はこれに対処できるのか。もうこの先『料理上手』と呼ばれまい英国人からの問いだ」と。「筆洗」は「『太陽の沈まぬ国』と言われた大英帝国。闇の中で英国人が何をするか、神が信用なさらぬからだ。EUからの離脱と、国内の分断。『英国人は何をしたのか、闇の中に入ってしまったか』。そう自問する英国人も多かろう」と。
 国民投票というものは、一見、民意を最大限に得るものであるようだが、果たしてそうなのだろうか。ナチスは、これを上手に利用したというが、私たち国民は最も容易く操作されるのか。今回の英国の国民が操作されたのであろうかは知らぬが、私たちは所属する組織の合理的な在り方よりも、個人個人の面子を優先する場合がある。今回の国民投票とその国民の選択についての評価が出るのは、数十年後になるだろう。その評価を良いものにするためには、今後、これを機にすべきことの説明を受けて、既に考えているであろうか。大丈夫であろうが、国民投票は、その投票の意味を理解できていない者が多いであろうから、そこが問題である。(JN)