Fonts & Encodings(([asin:0596102429:detail]))

オライリー・ジャパン社より Yannis Haralambous. Fontes et Codages. O'Reilly. 2004.の英訳、Fonts & Encodings.をご恵贈いただく。ありがとうございます。

もろ式: 読書日記: ecritureをたどってみたらでも述べたように、この本には私の“Surface or Essence: Beyond the Coded Character Set Model.”という論文を引いていただいている。仏語版の時にはどういう文脈で引かれているのかわからなかったが、英語版でようやく読めるようになった。その部分だけ超訳してみよう:

グリフと文字(character)の問題はたいへん複雑であるため、コンピュータの専門家の範疇を越えており、哲学者の関心を呼ぶまでになっている。例えば、仏教文献の漢字について研究している日本の哲学者である師茂樹は、“Surface or Essence: Beyond the Coded Character Set Model.”という論文の中で、Unicodeの〔文字に対する〕アプローチはアリストテレスの本質主義的であり、ジャック・デリダエクリチュール論に基づいたアプローチへととってかわるべきではないかと述べている。(p. 55)

上の文章の直後に“Let's be pragmatic!”という一言があるのが多少気になるが、「哲学的」な議論を受け取ってくれたのは素直にうれしい。しかし私は「哲学者 philosopher」ですか (^_^;; そんな風に言われるのは初めてなので、気恥ずかしい。

誤解の無いように言っておくと、千頁を越える大著である本書は大部分が技術的な内容で、「哲学的」な議論はほんの数ページである。フォント処理技術に関する極めて網羅性の高い本であり、資料的価値は非常に高いと思われる。DTP屋さんとかは必須かもしれない。

# Amazonの画像では緑っぽいのに、もらったやつは赤いのはなぜ?