怪しい来客簿 (文春文庫)作者: 色川武大出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1989/10/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 29回この商品を含むブログ (45件) を見る

●一ヶ所に淀まないこと。あせって一足飛びに変化しようとしないこと。他人とちがうバランスのとりかたをすること。

●劣等感はまた多くの場合感受性を発達させる。

●文学の造詣は必ずしも深くはなかったが、明瞭にならない何かが語りたいはずであった。

●洗練される前の生まのもの、雑多なものの中から核心をとりだす術は同じ年頃のものと比較してはるかに心得ている。なにしろ十歳前後の頃から雑踏の中で埃を浴びてそれ一本で生きてきたのである。

●大滝が”意味”から”存在”に関心を示しだしたように、私も、”存在”だけの不安を”意味”でおぎなおうとしていた。私達は等しくはなかったが、結果的に一心同体といってもいいほど接近しあっていた。