製紙工場 見学

mosshaven2007-04-01




この土地を訪れた人なら 必ず目に留まる建物が 
この 製糸工場、パルプミル。  何本もの大きな
煙突から24時間休み無く煙を吐いている。 何処から
でも見えるこの煙を見れば その日の風向きがわかる。



何十年か前までは 問題でもあった公害 今では すっかり解決され
無公害、安心してながめることができる。

無公害ではあるが ほんの数年前までは 2000人もいた従業員が 
グロ―バリゼイションなどの理由で 今は150人 という厳しい状態。 
南米など暖かい気候の土地で植林した樹は カナダと比べて10分の一
位の速さで成長するし 中国などの 労働賃金とは 比べようも無い。 


木材の輸出のほうは 今もこの隣に存在する 工場で 製品化されることは
まれ、伐りだした丸太のままで 中国向けなどに 即船積みされるといった
状態にある。


この豊富な木材の生産地としては まことに寂しい限り、栄枯盛衰は世の習い
というが 4ー50年前 この林業に従事していた人々は カナダでもっとも 収入が高かったし、その多くの木材が日本にも輸出されておりその意味では 
この田舎町、日本と少なからぬえにしあり。


このまま、土地の工場で生産されることなく、大きな丸太積みのトラックが
日に何十台も走っているのを見るたびに このままでいいのか、この土地 
そしてカナダの林業の為にも何かしなければ、と 小さな木材業の主人が
相当前から考えていた 夢のような企画を グループで 立案、検討、 
ほんの少しずつではあるが 道が開け始めてきたところ。


昨日は その件で このパルプミルの見学となり、工場長が案内をして下さる
と言うことなので、 なかなか無いチャンス。  特別に 参加させて
いただく。  もうお一人の見学者は グループのお一人 深い見識家の
70代の女性である。 延々と広がる敷地(まるで空港)幸い 温かい日和
ではあるが、建物から建物までかなり歩き手もあり、又 手を貸すなどと
失礼なこともできず、日本だったら、多分車を使うのでは、と思ったが 
こちらは違う。(これからは何事も歳のせいにすべからず、と自分に戒め)


工場の オフィスは別棟、さすがこの地にふさわしいデザインで敷地内の静かな一角、ビルの反対側は川を挟んで 居留地区ではあるが住まいは無く自然林、
この川は海につながっている長い入り江なので おっとせいが現れたり、かもめや鷲、そして時には 対岸に熊が歩き回ったり、何ともいえぬシーンとした 
アンリアル(本来ならリアル)な窓景色を持つ オフィスなのである。


建物の中には 10年以上使用されぬ部分も大分あり、まるで巨大な遺骸を
見る思い。  過去 順風満帆に 広大な工場すべてに活気があふれて
いた頃を想像すると ちょっと心痛む風景でもある。


でも 世界のどんなところも そのまま 永遠に変わらぬ風景はない。  
今日は貴重な体験をさせてもらった一日。