BINTA

BOOTSFIGHT IN THE AIR

「アニメーション制作進行くろみちゃん」

バンダイチャンネル見放題。40 分前後の OVA 2 本。観たいものが無くなったので、てきとうになんとなく選んだ。SHIROBAKO を語る際によく引き合いに出される作品であり、気になってはいたので、観ておこうかと。
貧弱アニメ制作会社 スタジオプチ に入社早々、いきなり制作デスクに任命されたアニメ学校出の女・大黒みき子 と、際どすぎるスケジュールの中で四苦八苦する原画マンたちのドラマ。
基本的にハイテンションのコメディノリで、キャラのデフォルメ化、劇画化など絵の変化や動きも激しい。そういった作品のタッチの違いはあるけども、話は SHIROBAKO の本筋、宮森 のドタバタな苦難と似たようなもので、おもしろかった。車が飛ぶわけn・・・飛んだー、などもあったり。
SHIROBAKO が、企画、各種打ち合わせ、作画、背景、色付け音付け、キャスト決め、アフレコ、編集処理、試写、完パケ納品まで、アニメ制作全体を題材としているのに対して、こちらは主に、制作進行と作画監督原画マンとのやりとりのみ。スケジュールのやばさは SHIROBAKO 以上、というか現実では無理だろう。キャラクターの個性も現実離れしているような・・・、でも実際アニメーターってこういう変人揃いなのかな、と思ったり。SHIROBAKO が世知辛いリアリティと甘いファンタジーの折衷なら、この作品は、白昼夢と悪夢のサンドイッチ。所々で現実的な数字や「打ち切り」など切実な言葉が出てくるのが怖い。
アニメをつくるって本当に大変な、すごいことなんだな。

「ふしぎの海のナディア」

バンダイチャンネル見放題。全 39 話。1990 年放送作品。
本放送時から何度か、再放送や家族が録っていたビデオなどでなんとなく観たことがあったけど、観逃してしまった回があったり、学力的な問題やアニメを観る目がなかったために理解できなかったりで、最後まで全話を通して観るということが、これまで一度もなかった。今年、奇しくも エヴァ イヤーの 2015 年、この半年でアニメ理解力の向上も多少あった・・・だろうということで、改めて真剣に観てみた。エヴァ に繋がるポイントにも注目して観た。
39 話、観終えるのに二週間ほどかかった。なかなか本題が見えてこない序盤がちょっとしんどい。過去にも 5 話前後で挫折した気がする。ガーゴイル、ネオアトランティス が出てくれば本題が転がり始めるけども、それはそれで難しい言葉や 90 年代ガイナックス的観念・思想みたいな独特の物語の調子も本領発揮しだすので、そのあたりも挫折ポイントだった。が、今回は、さすがに エヴァ 〜 新劇ヱヴァ まで通過し、その間にもほかの庵野作品や、その他色々数々の映画やアニメを観たおかげか、ほとんど淀みなく滞りなく話もキャラもしっかり理解できた。
作風としては、コメディ基調。それも、企画・制作の時代ゆえか 80 年代テイストがまだ色濃い。海外カートゥーン作品譲りっぽいドタバタな演出は 70 年代っぽくもあるのか。それに加えて、ナディア と ジャン の恋愛関係をわりとわかりやすく、ちょっと鬱陶しいくらいに物語に絡めているのが意外だった。エヴァ ではそっち方面はやや避け気味だったり暗喩的だったりしたので。
20 話あたりからの所謂 島編 もそれなりにおもしろかった。作画の乱れや問題作「いとしのナディア」の回およびそのスタッフクレジットも、なんというか、海洋冒険ロマン、または夢見心地的奇譚の一要素として全然「有り」なものとして楽しめた。こういう前例のおかげで「有り」に成り得た後世の作品もたくさんあると思う。
終盤 4 話は今回初めて観た。たぶん。超重要なエピソードが短時間にガンガン出てくる。高速伏線回収も行われる。グランディス 一味も グラタン もしっかりと活かして決着させ、死なすべきひとは死なす、生かすべきひとはご都合主義的にでも生かす。あまり奇を衒ったところのない、わかりやすい終わらせ方で、良かった。エピローグまで入れてくれるサービスぶりには、満腹ごちそうさん
エヴァ TV 版も、決着やエピローグはともかくとして、これぐらい伏線回収できていたら物議を醸すようなことはなかったのかな。ただ、反面それでは社会現象化するまでのブームになったかどうか。といったような論議は過去 20 年散々なされているんだろうな。
・・・といったようなことを考える終幕だった。

エヴァ との繋がりは、終盤に出てくる「アダム」を除けば、直接的な接点として観られる事柄は意外に無いもんなんだな、と思った。
細かい点で言えば、清川元夢 繋がりだったりとか、グランディス や サンソン、ハンソン、エレクトラ、ネモ が各々説く各種「大人と子供」に関する台詞だったりだとか、最終話、ネオ皇帝 の真の姿と動きの件だったりとか、音楽とか、相通ずる事はたくさん見受けられたけれど、同じ監督、スタッフの作品ならそれくらいの共通項が出るのはままあること。
ただ、この ナディア をちゃんと観たことがある人とそうでない人とで、エヴァ の世界観の捉え方は全然違うものになると思った。エヴァエヴァ、ナディア は ナディア と、別個の作品として割り切って考えるべきなんだろうけど、二つを紐付けて考える方が、話としてはおもしろいよなー、と。

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」

バンダイチャンネル にて期間限定見放題になっていたので観た。
マトリックス」に先にはまった身としては、あーなるほどーマトリックス、実写でよく真似たもんだなー、という感じのおもしろがり方ができる程度だった。合わない作品ではなかったけど、はまりもしない。マトリックス でいい。
あと、Production I.G ということで、原画に 安藤真裕、動画に 関口可奈味、の名前がクレジットされており、のちに両者が関わった「CANAAN」の世界観などを思うに、P.A.WORKS にも繋がる作品だったのかな、と。