もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

思い出し笑い

この絵を誰かに見せようと思って描いている時間がとても好きだ。これを誰かが見て、どんな顔をするだろう、どう思うだろうと思うと心が躍る。
その昔妹に見てもらおうとチラシの裏にボールペンでマンガを描いた。内容は、妹がその時はまっていた「創竜伝」という小説を勝手にパロディー化したものだった。小説の中に出てくる美形四兄弟に、やまなしいみなしおちなしみたいなことさせたり、美形四兄弟の幼馴染的優等生お嬢様に超ミニスカートのセーラームーンの衣装を着せて、あんなことやこんなことを言わせて空を飛ばせたり・・・というものだった。
わたしが毎日せっせと一時間くらいかけて描いても、妹が読むのはほんの一瞬で、感想は「もうっ。またこんなの描いて!」と一言だけ。だけど嬉しかった。見てもらえるのが嬉しくて怒るのがおかしくて…今でもあの笑いをこらえて呆れる妹の一瞬の表情を思い出すと自然に口元が緩んでしまう。
マンガを描きながら、窓から見える景色は春だった。日ごとに緑が濃くなっていくのに、わたしの心の中は冷たく緊張していた。春とともにわたしはスタートをきれなかった。
ここ数日、あの頃を思い出しながらマウスを握ってペイントで絵を描いていた。多分こんなふうに描いている時間も、いつか思い出し笑いにかわるのだろうな、と思いながら。


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