もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

夢十夜 三、弟はキャラコを織る

下を見ない

山小屋の中は暗くランプの明かりだけである。居合わせた人とは話すこともこれと言って無く時間をもてあましている。ふと見ると防寒用に着込んだベストは細い糸で密に編みこまれていた。これ意外と暖かく重いのです・・・と独り言のように男の人に話しかけた。すると「織物は好きですか?」とたずねられたので、ええ好きですと答えると「弟は遠いところでキャラコを織っています」と言う。キャラコという布地がすぐには思い浮かばずに戸惑っていると、「その布は一日に2センチしか織り進まないのです。」と説明された。わたしは頷きながら遠い外国で色とりどりの糸を使って一日中織物をする孤独な人のことを思った。
その後、町に戻って布地を探した。キャラコはシンプルな織りの純白の布で機械でならば一日600メートルは織れそうなものだったのでキャラコにもいろいろあるのだろうか・・・と混乱した。しかし気を取り直して、一日2センチだけ仕事をしてそれ以外の時間は海で遊んでいるのかもしれないと思うことにした。

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