おいおいっ!軽く流すなよ!>「サンデーフロントライン」

 まず、一言
それってスッゲェ大問題だと思うんだけど、軽く流してどうすんだよ!>「サンデーフロントライン

 さて、本日の「サンデーフロントライン」の中で「裁判員制度」についての特集をしていた。
タイトルは「独占証言『死刑』に揺れた心 〜強盗殺人 裁判員の告白〜」で
「死刑か無期か」の選択を迫られる裁判員の心理についてであったが、その中で「問題点」として取り上げて起きながら肝心な所を深く追求しようとしなかった。

 その問題とは、「弁解録取書」「検事調書」「警察の取調調書」の中の「弁解録取書」の扱いである。
検察は「強盗殺人」だとして起訴し、被告は公判において「金目的ではなかった」つまり「強盗殺人」ではなかったと証言したそうだ。
被告の証言に対して検察は「弁解録取書」「検事調書」「警察の取調調書」と三回「金目当てだった」と供述したとして、法廷で「弁解録取書」を読み上げたという。
当然、被告の法廷での証言と「弁解録取書」は食い違っており、「検事調書」とも食い違っている。
裁判員らは判決で「調書等について取り調べ状況が明らかと言えないことから過度に信用することは出来ない」と述べたそうだ。

 しかし、法政大学教授木谷明氏(元東京高裁裁判長)は「この供述調書を判決は『過大に重視すべきでない』と言うようなことを言っていますが、この調書なくして判決のような認定は出来ない筈です。結局、この調書が決め手となってああ言う認定がなされた」
「弁解録取と言うのは、その逮捕された事実について本人に言い分があるかどうかを聞くと言うだけの手続きですから、黙秘権も告げないんですね。黙秘権も告げないで弁解があったら言いなさいとそれだけの手続きなんです。その中でその前提となる強盗殺人の事実について黙秘権も告げずに供述を取ってしまう。これは明らかに違法です。」と述べている。

 死体遺棄の容疑での逮捕時の「弁解録取書」に「被害者を殺害し、お金を引き出し、借金の返済をしようと考えていた」などと書かれていること自体あり得ない話だ。
 「弁解録取書」は例え署名捺印してあっても証拠として採用すべきものではない。まして、逮捕容疑と関係無い内容の書かれた「弁解録取書」には全く証拠能力がない。

 刑訴法322条(被告人の供述書・供述録取書の証拠能力)1項には
但し,被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は,その承認が自白でない場合においても,第319条の規定に準じ,任意にされたものでない疑いがあると認めるときは,これを証拠とすることができない.
との但し書きがある。

 黙秘権の告知もない「弁解録取書」で、逮捕容疑と違う内容の書かれた文書を公判で証拠能力のある「調書」の如く読み上げるとは言語道断である。
 その行為を何故、被告の弁護士や裁判官が認めてしまったのか?責めは当然、弁護士にあるが裁判員裁判である、裁判員が誤解をしないように検察官の朗読を止めさせるか、裁判員に「今読み上げられた弁解録取書には証拠能力は全くありません」と教えるべきだろう。

 以上のような裁判員裁判で「強盗殺人」で「有罪」とされ、「無期懲役」の判決が下された裁判は無効だ。
明らかに「違法(憲法と刑訴法に抵触している)」な裁判だ。(「無期懲役」となったのは検察の求刑が「死刑」ではなく「無期懲役」だったからだ)

 取材を担当したのは元読売新聞社員でジャーナリストの大谷昭宏氏、過激な発言で有名な大谷氏としては珍しい、普段なら「針小棒大」に騒ぐのに今回は大人しい。
この裁判の「問題点」が非常に大きな問題であることに気付いていないのだろう。

 もしかしたら、今の裁判官、検察官、弁護士は「いろは」も知らないのではなかろうか?
まさか、そんなことは無いと思いたいが、「いろは」も知らない裁判官と一緒に仕事をさせられる「裁判員」などまっぴらゴメンだ!