フィッシャーの話 さらに続き

7月16日7月18日の続き。しつこくまだ続けます。

これだけでは、実際にこの二つの事件に関連があったかどうかはわからない。しかし、米国メディアがこの二つの事件を関連づけて報じているということは同じくらい重要である。

そういうことなんだろうなと思います。

振り飛車ワールド '04 第3巻

この「振り飛車ワールド」シリーズもすっかり定着した感があります。個々の記事を見ると単行本にできる水準に達していないものもありますが、それをうまく組み合わせて隔月刊誌のような体裁にしたのが妙手でした。

多数の記事がある中で、平均的な質がもっとも高いと思うのは千葉幸生五段の講座です。しかし、私にとってはそれだけだと購入するには足りません。それではどうして「'04 第3巻」を買ったのか。その理由はこの巻頭インタビューです。

ここで登場したのは三浦弘行八段。羽生七冠独占を崩したという実績を除けば、A級の中では地味な棋士というイメージを持つ方が多いと思います。しかし、もう少し詳しい方は三浦八段が千日手王と呼ばれていることをご存じと思います。そのあたりには独特の大局観があるのではないか。私の興味は主にそこにありました。そして、インタビュアーの比江嶋麻衣子女流1級は、きちんとポイントを押さえてくれていたので購入したというわけです。

三浦
「私の場合、先手でも千日手にすることがありますけど、要するに無理に打開してというようなことはあまりしたくないんです。確かに先手番で千日手にするのは気分的にも良いものじゃないですけど、無理だな、ギリギリだなと分かってて仕掛けるのはやりたくない」
――
なるほどすごく純粋さを感じます。
三浦
「相手が間違ってくれないと勝てないというのがね」
――
それは確かに気持ち悪いですね。
三浦
「やっぱり自分を信じたければ、千日手でもいい」

このあたり、私は非常に共感を覚えます。千日手というのは勝ち負けの中間の結果であって、それ以上でもそれ以下でもない。自分が勝てないと思えば引き分けを目指すのが真摯な態度だと考えます。

私の場合もう少し興味があるのが、千日手にするかどうかを考える際に、局面以外のものを判断材料にしているのかどうか。例えば、相手が強くないと思えば無理して打開せずにもう一局指した方が最終的に勝てる可能性が高まるということもあるかもしれませんし、持時間が自分の方が多ければ指し直してもいいかと思うかもしれません。インタビュー中では対戦相手は意識しないというようなことは出ていましたが、実際のところどうなのかは今ひとつはっきりしませんでした。

とはいえ、全体として三浦八段の現代的な考え方が色濃く出たインタビューでした。

ただ、インタビュー中の三浦八段の写真はもう少しましなものがなかったのかという気はします。証明写真を失敗するとこんな感じになるなあと思いました。

それから、このシリーズのメイン企画の「所司一門のガチンコ指定局面戦」第三局の観戦記を書いた後藤元気氏の文章は面白かったと思います。今後、顔を合わせる機会の少ない棋士を書くときにどうなるのか期待します。

将棋棋士リスト更新

五十音順将棋棋士一覧をようやく更新しました。もう少し更新を楽にするようシステムを考えた方がよいように思いました。

やると書いて、そのまま手を付けていないことがいくつもあるので、少しずつ消化していきたいと思います。