順位戦で深浦康市八段・畠山鎮六段が昇級

13日に行われた順位戦B級1組・B級2組の対局で、深浦康市八段がB級1組からA級へ、畠山鎮六段がB級2組からB級1組への昇級を決めました。一方、青野照市九段がB級1組からB級2組へ降級することが決まりました。

B級1組の上位は以下のようになっています。(昇級2名、降級2名、かっこ内は前年度の順位)

  • 1. 8勝2敗(01) 深浦康市八段(昇級決定)
  • 2. 7勝3敗(05) 中川大輔七段
  • 3. 7勝4敗(03) 阿部隆八段
  • 4. 6勝4敗(11) 堀口一史座七段
  • 5. 6勝4敗(12) 木村一基七段

深浦八段は2戦を残してA級への返り咲きを決めました。前期の降級自体が意外でしたから、A級にいるべき棋士だということでしょう。残りの1枠は中川七段が自力。阿部八段は最終節が空き番なので、次の対木村七段戦に勝ってのキャンセル待ちを狙います。堀口七段と木村七段は最終日に直接対決がありますが、順位の関係で昇級は厳しそうな情勢です。

下位は以下のようになっています。

  • 7. 4勝6敗(02) 高橋道雄九段
  • 8. 4勝6敗(04) 先崎学八段
  • 9. 4勝6敗(09) 行方尚史七段
  • 10. 4勝6敗(10) 北浜健介七段
  • 11. 4勝7敗(06) 島朗八段
  • 12. 2勝8敗(07) 青野照市九段(降級決定)

青野九段は残り2戦で連勝すれば4勝まで星をのばせますが、次戦に行方-北浜戦が組まれているためにどちらかは5勝となるので、青野九段は4勝では残留できません。残り1枠はこれまで島八段が有力でしたが、ここで2連勝と踏みとどまり、最終日の対高橋戦を勝てば自力での残留があるところまでこぎ着けました。4勝のまま星をのばせなかった棋士が降級することになるでしょう。行方-北浜戦の敗者が降級すると予想しておきます。

B級2組の上位は以下のようになっています。(昇級2名、降級点4名、かっこ内は前年度の順位、「*」は今期当初の時点で降級点を持っていたことを示す。)

  • 1. 8勝0敗(05) 畠山鎮六段(昇級決定)
  • 2. 6勝2敗(12) 屋敷伸之九段
  • 3. 6勝2敗(18) 森雞二九段
  • 4. 5勝3敗(06) 南芳一九段
  • 5. 5勝3敗(08) 内藤國雄九段
  • 6. 5勝3敗(09) 杉本昌隆六段
  • 7. 5勝3敗(10) 浦野真彦七段
  • 8. 5勝3敗(21) 桐山清澄九段*

畠山鎮六段は8連勝で昇級決定。4月からは七段に昇段します(3月までにあと6勝できればその時点で昇段します)。2敗でそれに続くのは屋敷九段と森九段。最終日に直接対決があるので、そこでの勝者がそのまま昇級する可能性が高そうです。もしどちらも2敗を維持できないと、3敗棋士にチャンスが回ってくることになります。桐山九段は順位の関係で昇級がなくなりましたが、あと1勝で降級点を消せますからそこにも注目です。

下位は以下のようになっています。

  • 17. 3勝5敗(01) 田中寅彦九段
  • 17. 3勝5敗(07) 泉正樹七段
  • 18. 3勝5敗(11) 西川慶二七段*
  • 19. 2勝6敗(02) 中村修八段
  • 20. 2勝6敗(03) 土佐浩司七段
  • 21. 2勝6敗(13) 富岡英作八段*
  • 22. 2勝6敗(15) 神谷広志七段
  • 23. 1勝7敗(23) 脇謙二八段*

脇八段の残留の見込みはほとんどありません。ボーダーラインは3勝になりそうです。

日本と韓国で将棋交流

日本将棋連盟では文化庁の委嘱事業として、文化芸術分野における海外との共同活動を通じた国際交流の推進事業「日韓将棋文化交流事業」を実施することとなりました。

1月19日から23日にソウルで行われます。韓国将棋(チャンギ)のプロの現状は知りませんが、各国の将棋との交流は海外への将棋普及の第一歩。このような取り組みは今後も継続してほしいと思います。

日本将棋連盟出版部福袋

恒例の「出版部福袋」が今年も発売されます。価格は書籍1冊あたり1,000円+送料380円。特典としてオリジナル絵馬が付いてきます。

今年の注目は、対象書籍に将棋NENKAN1.0 CD-ROM版が含まれたことでしょう(ただし棋譜データは付属していません)。購入しようか迷っていた方にとってはお得な買い物だと思います。

激指が岩根忍女流初段に勝利

コンピュータ将棋や囲碁の掲示板の書き込みで知ったのですが、1月3日付の岩手日報の朝刊に「コンピューターと手合わせ」という名前の企画で▲激指 対△岩根忍女流初段の対局の記事が出ています。昨年10月16日にコンピュータ対プロ棋士の対局を制限(続)でお伝えした中の共同通信が1000万円で対局できるようにしたという話に出てきた企画ですね。

ほかにどの新聞に出ているのかわからないのですが、一部の地方紙にのみ掲載されているようで、全体の読者数が少ないためかこの将棋はほとんど話題になっていません。来月の将棋世界あたりには掲載されるのでしょうか。このまま埋もれてしまうにはもったいないと思うのですが……。

この将棋は激指の居飛車に岩根女流初段が矢倉流中飛車をぶつける序盤となりました。激指の定跡がうまく対応できなかった感じで、序盤は後手の作戦勝ちだと思います。

ここから一度は千日手模様となりましたが、後手が人間らしく打開して、馬を作り飛をさばいて優勢に。さらに端を攻めた次の局面で……

△9七馬が好手。この手を激指は読めておらず、指された瞬間に形勢判断が優勢から不利に転落したそうです。そこから、今度は先手が端から反撃しますが、後手は丁寧に受け止めようと相手をしすぎたのか悪手を指してしまいます。

記事によれば、この手がミスだそうです。▲同角から後に▲6六角打と重ねられて端を破られ、さらに▲5三歩成であっさりと挟撃形を作られてしまいました。岩根女流初段は中盤まで良い形を作ったものの、寄せに入ってからぽっきりと折れてしまった印象で、プレッシャーがあったのかなと思わされました。