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2006年04月29日

[][] 日経将棋プロ制度に関する記事

日本経済新聞4月29日付朝刊文化面に「揺れる棋士制度、将棋連盟が改革案 財政難打開へ妙手探る」という見出しの記事が出ています。現在ウェブ上では公開されていませんが、何日か経ったら将棋王国アップロードされるかもしれません。

名人戦問題がなければ、プロ編入制度や順位戦制度などの改革問題が一番の話題となっていたはずでした。話題性が減ったとしてもその重要性は変わるものではありません。その意味で、ここでこの内容を持ってきたところにセンスを感じます。さわやか日記4月29日(土)16時47分18秒付では「それにしても良く取材して、本質に迫っている点が多いのには感心します。やっぱり日経の神谷記者は大したもんだ。*」と書かれており、その点に関しては私も同感です。

プロ編入制度の検討については、以前報道されたとおりの内容が書かれています。注目されるのは、順位戦制度などプロ制度全体についても言及されていることです。

最下級のC級2組には、毎年四人の新四段が加わり、今年度のリーグ戦には四十七人が参加するが、C級1組に参加できるのは、わずか三人。新陳代謝が阻害されているといわれ、昇級者・降級者の人数見直しや下位クラスの人数制限などが議論されそうだ。

順位戦最下級のC級2組から降級した棋士などが所属するフリークラスのあり方も課題だ。順位戦以外の公式戦には参加でき、成績が振るわなくても引退に追い込まれるまで通常十年の猶予がある。だが、抜本的な見直しは避けられない。

新陳代謝を活発にすることは重要だと思います。見ていると、降級点3回で落ちることになるC級2組と降級点制度が使われる中で最も上のB級2組で、床が厚い印象を受けます。ただ、上の書き方だと引退棋士を増やすと言いたげですが、私は現役棋士の人数は減らさなくても良いと考えています。そのかわり、現役であっても成績が振るわなければ生活に十分な対局料をもらえないようにしておけば、チャンスはそれほど減らすことなく棋士に支払われるお金の総計は同じようにできるはずです。この背景にあるのは、下位においては成績がそれほど変わらないならば報酬もそれほど変わらないようにした方がよいという考え方です。大きな段差を作るよりも、なだらかに広く薄くということで。

連盟は制度改革委員会の発足に先立ち、公式戦の主催各社にアンケートを実施。その結果、順位戦以外の棋戦でも、成績不振者の出場を制限すべきとの意見が相次いだ。

新聞社の主催する棋戦では、新聞に掲載されない対局が多数行われています。そして、そういった対局でも対局者に同様の対局料が支払われています。新聞社にとって見ればそういった対局は(少なくとも直接的には)新聞社に利益をもたらさないのでできればやめてしまいたい、そう考えることは自然な成り行きと言えます。とはいっても、新聞に掲載されない対局でも好局が見られることは確かで、対局数の減少はファンの目から見れば不利益です。一局あたりの対局料に下限があるからこうなるのであって、それをなくせば対局数自体は維持したまま続けられるのではないでしょうか。

どのような案が出るにしても、財政的に苦しい状況が続く限りは、下位の棋士が十分な報酬を受けられなくなることは将来的に仕方ないと思われます。ただ、それが連盟内の政治的に実現可能となるためには、対局以外の部分で稼げるようになることが求められそうです。それをどうするかが構造的な課題となっているわけです。この点については書き出すと長くなるので、いつかきちんと書きたいと思いながら月日が経っている状況です。

記事の終わりでは、日本将棋連盟経営にプロ棋士以外の人間が関わるようにした方がよいという意見が棋士の間にもあることが紹介されています。もし名人戦問題が原因で理事会が総辞職というようなことになったとすると、今度はそうするしかないとは思いますが、では誰が引き受けてくれるのかという難しい問題があります。再建に成功しても多額の報酬がもらえる仕事ではありませんし、改革しようとすれば抵抗されるのは目に見えていますし、社団法人という性格から理事に与えられた権限はそれほど大きくはありませんし。それでもやると言う人がいるといいですね。

[] 名人戦契約問題についていろいろ(14)

今日リンクはこれだけです。

今日は米長邦雄ホームページ更新されました。まじめな話の「名人戦契約 その2」と「名人戦契約 その3」がこの話題に関わる今回の更新分です。普段は1つずつの更新なのですが、今回2つに分けて更新した理由は読んでみてもよくわかりませんでした。

「その2」では28日に大阪で行われた棋士会について書かれています。「文書の作成、口頭での伝え方、大変未熟でした。反省しております。*」と書かれているのは、このような内容の言葉が棋士会の中であったという意味だと思うのですが、いつものようにその書き方はあいまいです。

「その3」では日本将棋連盟と毎日新聞社とのやりとりに関する感想のようなものが書かれています。

白紙撤回が条件。これは、これからの約4年間は自動延長を決定してからという意味なのでしょうか。それとも来年4月1日以降はとりあえず自動延長は一時停止は分った。しかし失礼な切り出し方だから、もう一度文書を改め、口頭の説明ももきちんと礼を失しないようにしなさい。という事なのでしょうか。

将棋指しの頭では分らないのです。

まじめな私

わからなかったらここに書く前に直接質問したらいいのではないかと思いますけれども。このように書くこと自体が毎日新聞社の説明が不十分であることが難航の一因だと主張しているように見られて、またこじれる原因を作る結果にならないでしょうか。私としては、毎日新聞社は日本将棋連盟とは比べものにならないほど意見をきっちり述べていると思います。

[] 有吉道夫九段が旭日双光章を受章

本日更新米長邦雄ホームページによると、有吉道夫九段が春の叙勲で旭日双光章を受章したそうです。公式な受章者名簿は内閣府の日本の勲章・褒章(賞勲局)に掲載されるようですが、まだ準備中とのことです。

5月2日追記:

[] 松尾歩五段が六段に昇段

4月21日に行われた竜王戦3組準決勝で松尾歩五段が勝ち、2組への昇級を決めました。これは松尾五段にとって2年連続の昇級です。これにより、「2組昇級」と「2年連続昇級」の2つの理由で五段から六段へ昇段となりました。

今年度から竜王戦の昇段規定が改定され、竜王戦での活躍が昇段に結びつきやすくなりました。この規定が本格運用されてから初の昇段者となりました。

[] 瀬川晶司四段、相手の二歩でプロ入り3勝目

26日に行われた棋聖戦一次予選1回戦で瀬川晶司四段が室岡克彦七段に勝ちました。この勝ちは室岡七段の二歩によるものだったそうです。どんな将棋だったかは棋譜が出るまでわかりませんが、普通なら二歩は不利な方が苦しまぎれにやってしまうものですから、瀬川四段の勝ち将棋だったと推測するのが今のところは妥当かと思います。

瀬川四段が勝っても、もう記事にはしないつもりだったのですが、ネタに恵まれる人だと感じました。

5月2日追記:

読売新聞4月30日付朝刊によると、室岡七段が一手勝ちの局面で42分考えた末打った底歩が二歩だったそうです。それは本当に「打っちゃった」系ですね。

それでも勝ちは勝ちですので、これをはずみに瀬川四段には2006年度で18勝を目指してほしいと思います。

5月10日追加

maro_chroniconmaro_chronicon 2006/04/30 00:30 いつも、もずさんに整理していただいてるところから、この問題を考えてます。私は連盟の棋士数を減らした方が良いと思ってるのですが、いずれにせよ、「対局以外の部分で稼げるようになることが求められそうです」というところが要点ですね。

オベロンオベロン 2006/04/30 05:04 「わからなかったらここに書く前に直接質問したらいい」もう全くその通りで、3月28日の(幣社)の誤字のある「通告書」はどう読んでも「平成19年度・第66期以降の契約に関しては、解消させていただきたく」が言いたいことのメインであって、自動延長はしない、などという内容ではないあまりにも一方的なものだから、毎日新聞が、まずこれを撤回せよ、話はそれからだ、というのは「一点張り」もなにも当たり前の言い分だと思えます。将棋指しの頭もなにも、こんなこと、わかるもわからないもない、なにか会長はわざととぼけて世間を愚弄しているように見え、実に不快な思いになります。大崎善生さんへの悪口雑言も、根拠をちっとも示してなくて卑怯だ。今回の一連の出来事、私には毎日新聞の言うことの方がはるかに筋が通って明快に見えます。しかし私に見えていないことがあるのかもしれません。もずさん、どうぞいろいろご教示ください。このことに関するいろんなサイトでは、ここが一番情報量豊富で、かつ公平と思っています。

ASSASS 2006/04/30 08:24 毎日新聞140万部”水増し詐欺”の決定的資料

これを読むといろいろ疑問手・悪手はあったかもしれないが、朝日へ名人戦を移すことが長い目で見るとネット中継充実など将棋ファンへの為になると思う。

http://blog.tanteifile.com/newspickup/archive/200604/0664653484.aspx

tsunetsune 2006/04/30 08:57 もずさんの考え、おおむね賛成です。
やはり段位、クラスによる固定給部分の割合を低くし、棋戦に勝った人が多く多くもらえるような仕組みにする必要があると思います。ただ、C2、フリークラス、引退棋士が多く、総会での議決となった場合既得権益を持つ方が反対して、改革が進まないことを心配しています。いずれにしても将棋連盟、棋士の方にとっての正念場なので、真剣な検討をして、きちんとした判断をして頂きたいと思います。
瀬川四段の販促価値の件は、室岡七段の一手勝ちだったようですね。安全策の底歩が二歩だったようです。(読売新聞より)瀬川四段もしっかり勝ってもらわないと、編入させたことの是非、また今後の編入試験論議にも影響をあたるように思います。

昼梟昼梟 2006/04/30 12:31 もずさん、前回のコメントへのお返事ありがとうございました。それから、私が将棋連盟側だけでなく、通知書撤回「一点張り」の毎日新聞にも疑問を呈した理由ですが、あの通知書には確かに「平成19年度・第66期以降の契約に関しては、解消させていただきたく」とありますが、その契約は実際にはまだ成立していないわけですから、これはそもそも契約解消通知ではありえない、仮に将棋連盟がそういうつもりで通知していたとしても、法律的は単に無効なだけだと思うのです。この通知が持ちうる効果は、法律的にはせいぜい自動延長停止の要求だけだと思います。とすれば、この通知自体は撤回しなくても、毎日新聞が連盟との交渉をはじめるのに問題はないように思うのです。
ただし、米永理事長の当初の発言では、そもそもこの通知以前に次は朝日と契約することを決めていたふしがありますから、毎日新聞がそれに怒ったのは私も正当だと思います。
以上私の立場の補足説明ですが、繰り返しますと、連盟側(米永理事長個人)に最大の非があるという点は、もずさんやオベロンさんと同意見です。

オベロンオベロン 2006/04/30 12:47 なるほどなるほど、このサイトはほんとにいろんな状況がよくわかって、いい場所です。毎日新聞としては、あれだけ顔に泥を塗られたら、もっと怒ったって当たり前な気がしますが、最初の通知書が撤回されたら全部水に流す、というのは私はよく譲歩していると思います。やっぱり米長会長の初手は大悪手ですよ。長い目で見て、こんな信用を失うやり方が得になるとは思えません。米長HPには毎日新聞が交渉の場についてくれるといい、と書いておいて、連盟のHPには毎日新聞と交渉中、とあるのも矛盾してる。思わせぶりな奥の手があるようなこと言ってないで、「さわやか」に非を認めて初手から指し直して欲しいとほんとに望みます。

昼梟昼梟 2006/04/30 14:08 オベロンさん、お返事ありがとうございました。オベロンさんのおっしゃることも、完全に筋が通っていますね。たぶん私たちの立場の違い原因は、いまの将棋連盟のトップに対する期待度(実は私はもうほとんど見限っていますので)と、毎日新聞に対する期待の仕方(私は政治的には毎日新聞が最高の新聞だと信じているのですが、購読者が減少し続けており、危機的現状にあることを素直に認められないのは、それ自体が問題だと思っているのです)にあるかと思います。もしオベロンさんの期待する方向に進んだなら、当座はそれが最善だと私も思います。

白砂青松白砂青松 2006/04/30 16:48 日経といえば、夕刊で谷川のエッセイが連載されてましたね。

ななしななし 2006/04/30 18:04 理事会の初手は7六歩じゃなくて、8六歩だったみたいですね。

ぼー松ぼー松 2006/04/30 21:57 ↑米長会長は角頭歩突きの元祖ですからね。同戦法には角筋を止めて穏便に済ますのが最も有効なわけですが、毎日は真っ向反発してしまった、と。

BeaverBeaver 2006/04/30 22:59 日経を購読してますが、この記事は見落としてましたので、ここのサイトで言及していただいて大変助かりました。日経の記事、私も中々センスのよい力作だと思います。
私も成績不振棋士を無理に引退させる必要はないと思います。ただ、勝てなければお金をもらえないという仕組みにすればよいだけです。例えば、対局料をすべて賞金に変えてしまって、年間全敗の方は賞金ゼロでもいいと思いますよ。棋士の生活を最低保障する必要があるのであれば、将棋連盟の主催する普及イベントに最低30日協力するという約束で年間150万円保障するとかというのもありそうです。
日経の記事で一点疑問だったのは、「対局料・賞金のほか月々の給料が出ている」という点。順位戦参加棋士にとっては、順位戦の対局料はないので、給料=順位戦対局料の月割りという認識なのではないかなと思いました。ただ、順位戦を指さない名人にも手当ては出ているし(当然ながらA級棋士より高い)、フリークラスの人にも何らかの手当てが出ているのであれば、日経に書いてあるように「給料」という認識が正しいのかもしれません。

シャペロンシャペロン 2006/05/01 18:04 北海道新聞夕刊に、理事会が主催新聞に契約はしないと一方的に通告、と書いてありました。

ななしななし 2006/05/03 00:53 米長氏の言論封殺路線は自殺行為だと思います。週刊将棋にまで介入すると、さらなる読者離れを招くのは必至でしょう。

mozuyamamozuyama 2006/05/03 01:38 maro_chroniconさん、下位の棋士に渡すお金を減らすのかゼロにするのかという違いですね。いずれにせよ、全体のパイの問題をどうにかしないといけないということだと思います。
オベロンさん、昼梟さん、通知書の法的な意味は契約書を見られない限りはっきりしたことは言えませんが(見せてもらえばわかるというものでもないですが)、出てきた情報からどのような可能性があるかは考えてみようと思っています。3月のうちに、中原誠永世十段が毎日新聞社に説明をしていますので、その内容によっても解釈が変わってくることもあるのかなとは思っています。法的に有効だったとしても、毎日新聞社の怒りを買ったことがまずいのは明らかですが。
ASSさん、申し訳ありませんが、お話のつながりがわかりません。
tsuneさん、お金の分配としてはそういう方向でしょうね。スポンサーもそれを望んでいるようですし。二歩の件については追記しました。ありがとうございました。
白砂青松さん、取り上げ忘れていました。ありがとうございます。
ななしさん、初手8六歩については↓をどうぞ。
http://www.kansai-shogi.com/webmagazine/2-2.htm
ぼー松さん、角頭歩戦法も8六歩を突くのは3手目ですので、初手8六歩はさすがに定跡にない手ですね。
Beaverさん、フリークラスにも給料はあると聞いたような気がしますが、違ったかもしれません。
シャペロンさん、北海道新聞の記事とは↓これ
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?d=20060428&j=0031
ではなくて、5月1日付夕刊に出ているということでしょうか。ウェブ上では読めないようです。この問題で北海道新聞がスクープということは考えにくいのですが、よそで出ていない情報がありましたら教えていただけるとありがたいです。
ななしさん、本当に事実と異なることが書かれているなら訂正させるべきですが、どこが間違いなのかを指摘せずに違うとだけ言うのはやめてほしいと思います。ところで、上の「ななし」さんとは別の方でしょうか。
今回に限ったことではないのですが、名前欄に書くのは他の方と重なる可能性の少ない文字列をおすすめします。

シャペロンシャペロン 2006/05/03 12:58 もずさん、コメントどうも。夕刊の「棋界トピックス」の中の1文です。地元の方に照会すれば明らかになるでしょう。ネットでは読めない記事のようですね。

mozuyamamozuyama 2006/05/03 23:50 ありがとうございます。一般的に言って自分が住んでいない地域の地方紙を入手するのは大変ですので、普段はよほどのことがない限り探したりはしないのですが、今は連休中ですので読んでみようと思います。すぐには無理かもしれませんけども。

2006年04月28日

オベロンオベロン 2006/04/29 12:58 全体をよく見渡していらっしゃる方のこうしたサイトの存在は大変ありがたいです。普段てにすることのない「実話」も買って読みましたけれどすっきりしません。毎日新聞の言う、「通知書」をまずは撤回して、ちゃんとした交渉のテーブルにつくべし、という提案が一番まともだと思いますが、将棋連盟の言い分は「自動延長はしないと言っただけ」なんて事実と合致していません。また米長会長の大崎善生さんに対する悪口雑言はもうそれだけで社会通念の枠を超えたとんでもない名誉毀損行為にみえます。連休に入りました。もずさんの鋭い分析を心待ちにしています。

昼梟昼梟 2006/04/29 22:07 私もオベロンさんと一緒で、今回の問題については将棋連盟(というより米長連盟理事長個人)のやり方に最大の非があると思うのですが、他方で「まず通知書を撤回せよ」一点張りの毎日新聞もちょっとどうかと思っています。毎日新聞の報道の仕方にも、かなり問題があるようです。この点、春秋子さんという方の「書評日記」なるブログに面白い歴史解釈が提示されていますので、よろしければご参照ください。(オベロンさんの解釈とはちょっと違うようです。)
URLは(h)ttp://plaza.rakuten.co.jp/boushiyak/です。

mozuyamamozuyama 2006/04/29 22:55 オベロンさん、私が見ているのはいろんなところの記事だけなので、よくわかっている人は他にいるのではないかと思います。分析するつもりはありますが、鋭さについてはご期待には添えない可能性が高いと思います。
昼梟さん、そのページも見ましたが、まあそういう意見もありかと思いました。なお、はてなダイアリーのコメントではURLを書いてもリンクされません。

2006年04月25日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(12)

MSN毎日インタラクティブは同じ記事がいくつものところで掲載されることが多くてどこにリンクすべきか迷います。今日は2つにリンクしてみました。どちらも同じ記事です。

それから、これまでリンクしていなかった少し前の記事にリンクしておきます。

それから、昨日の理事会から棋士への手紙に関してのプロ棋士の反応。

それから、週刊実話5月11・18日合併特大号に「本誌独占 米長邦雄日本将棋連盟会長の肉声! 『名人戦』毎日vs朝日バトルの真相!」という記事が出ているそうです。

最後に、昨日書き忘れていましたが、週刊将棋4月26日号にこの話題が少し載っています。記事は手短に状況を伝えているだけですが、そのほかに「名人戦の契約について」と題する日本将棋連盟理事会名の文書が掲載されています。これは21日に理事会から週刊将棋編集部に送られてきたものだそうです。内容については、とりあえず特筆すべきものはないように思います。

オベロンオベロン 2006/04/25 23:31 さっぱりわからないのは「朝日新聞社が怒り心頭」って、名人戦に関して朝日新聞がなにを怒る「権利」さえあるのかね。昭和24年の時にしたってよそが一所懸命育て上げたものを金で横取りしたくせに。私はもう、「昇降級リーグ」って呼び方を見たくない。順位戦はA級、B1、B2、こうあるべきものだよ。

おじさんおじさん 2006/04/26 00:41 昇降級リーグは朝日から毎日へ移ったときについた名前です。朝日の時はA級、B1、B2でした。

オベロンオベロン 2006/04/26 07:29 …そうでした。第44期から現在の名称に復帰したんでした。ありがたいご指摘。よく調べて書き込まないといかんですね。毎日新聞は、朝日の名人戦とは違うぞ、という意識があって「昇降級リーグ」としていたんだろうと思う。でもどうしても本来の名称がいいです。…さて今日の毎日新聞を読むと、将棋連盟の言ってることはやっぱり変だ、3月28日の一方的「通告書」は撤回せず、しかし第66期以降も契約を続けたいという、これはどう受け止めたらいいのだろう。明らかに、ねじれていると思うんだが…。

おじいさんおじいさん 2006/04/26 12:55 連休明けに各社から「来期の契約を解除させていただきます」っていう手紙がきたら、これは単なる自動契約更新の中断、交渉次第で円満解決と笑って済ますんでしょうね。

ななしななし 2006/04/27 00:07 ふだんは手に取ることもない実話ですが、理事会からの手紙の内容が25日発売の号に載っているのに注目。神崎日記によると、彼の手元に手紙が届いたのは前日の24日。ということは実話の手紙は理事会からのリークになる。これはどういうこと?

yukiyuki 2006/04/27 05:06 朝日新聞が怒り心頭
というのは、全くのデマです。
少なくとも。

オベロンオベロン 2006/04/27 08:38 そうか…。「朝日新聞が怒り心頭に発する」というのは、朝日新聞自体が言ったのでなくて、理事会が棋士全員に送った「QアンドA」の中で「毎日新聞が現在の契約金を上げないか、あるいは少しでも上げた場合、毎日新聞に残すことはしないのか?」の質問に「出来ない」として朝日新聞が「毎日の名人戦の契約金値上げのために我が社をダシに使ったのか」と「怒り心頭に発するから」と予想した、ってことでした。すると少なくとも、朝日新聞への働きかけは、連盟の方からした、と自ら認めているということだろうか。それはやっぱり、はじめの一歩がおかしいと思いますが…。

mozuyamamozuyama 2006/04/29 22:52 オベロンさん、「怒り心頭に発するから」についてはそんな感じですね。朝日新聞社が「怒り心頭に発する」ことがない場合に、別のところで「怒り心頭に発する」人が出てきたらどうするんだろうと思いますが。それはともかく、「出来ない。○○が怒り心頭に発するから」という応答は、内輪で笑いを取りたいときに応用が利きそうです。
おじいさんさん、交渉次第で決裂の可能性があるのでは笑えないとは思いますが、あとから実はこういう意味でしたと言われたらやはり素直に受け止めるんでしょうね。
ななしさん、神崎七段は関西なので近くに住む棋士には1日早く届いた可能性がありますが、それでもちょっと早く出てきた感じはありますね。信頼できる情報筋というのがよくわかりませんが、理事会のリークという可能性は捨てきれないとは思います。それ以上は何とも言えませんが。

2006年04月24日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(11)

リンクだけの更新です。コメントへのお返事も後日にさせて下さい。

それから、さわやか日記4月24日(月)10時15分21秒付では次のように書かれています。

名人戦の契約につきましては昨日更新のHPをお読み下さい。将棋とまじめと二項です。
日本将棋連盟は毎日新聞社さんの誤解を解き、真意を伝え、契約継続を前提とした話し合いを願っています。
わざと火をつけるような内部の人間、あるいは元職員がいるのであれば苦言を呈します。

さわやか日記

「昨日更新」は「一昨日更新」の誤りです。「契約継続」という文言はどういう意味を含んでいるのでしょうね。

25日からは名人戦第2局。落ち着いて観戦したいものです。

オベロンオベロン 2006/04/25 10:05 米長会長の言う「毎日新聞社の誤解」ってなんのことだろう?「平成19年度・第66期以降の契約に関しては、解消させていただきたく」とあるのを一方的契約解消通告と読む以外のどんな読み方があるのだろう?

mozuyamamozuyama 2006/04/25 23:01 まあ、契約書の文面と照合しないとわからない部分はあるのですけど、こういう場合って「契約書第何条に基づき」みたいな文言を入れるものではないのですかね。複数の読まれ方があると認めている時点でかなり駄目だと思います。

オベロンオベロン 2006/04/25 23:13 「下劣な人間になってはいけない」んですって、力が抜ける。あなたの、大崎善生さんへの悪口雑言は、下劣そのものではないのかね。私は、現役の頃の米長さんが好きだった!加藤一二三九段へのつまらない攻撃以外はね!いま、わああ〜って叫びだしたいくらい悲しくて情けない。米長邦雄は二人いるのか!こんな最低最悪の人間、見たこともないよ…。

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/26 13:26 米長氏は、人品骨柄にも問題があると思えますが、端的に大局観が悪いと思います。つんく♂が「女性ロックボーカリストオーディション」をASAYANで展開してる間に、世間では相川七瀬なんかの人気が下火になってしまい、合格した平家みちよが鳴かず飛ばずだった、というのがありますが、それを思い出します。もはや「改革」という言霊の勢いは低下しているわけです。そんな中、市場原理主義的な、あるいは小泉的強引さによる「名人戦の朝日への移管」が評価されるわけがないんですよね。ただ、つんく♂の場合はモーニング娘。という思わぬ副産物があったから救われたのですが、将棋連盟には期待薄なのが痛いでしょう。私は、一般紙が横並びで将棋を扱わなくなった時が真の将棋界の再出発のチャンスな気もします。その意味では、大局観の悪い愚かな棋士たちが理事会の多数派工作に懐柔されるのも悪くはないかな、とさえ思えてきました。それくらい米長氏は見苦しい。

2006年04月22日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(10)

昨日の件で朝日新聞からも記事が出ました。

そして、本日米長邦雄ホームページ更新されました。名人戦問題についても詳しく触れられています。

席上私は、先の通知書はあくまで来年夏以降の契約自動延長のストップの申し入れに過ぎないことをはっきりとお伝えしました。あくまでも毎日新聞社との契約が円満裡に成立することを望んでいます。

将棋の話

ということで、今回の更新では、毎日新聞社と交渉する意志がはじめからあったとの見解が示されているようです。また、理事会から全棋士手紙を出したことを明らかにしています。その内容は後日公開とのことで、毎日新聞社の方が情報公開に積極的な印象が継続しています。

週末に全棋士に理事会から手紙を出しました。これにつきましては、棋士の反応、意見を聴いた上で又HPに掲載します。

この手紙は、名人戦にとどまらず、改革とは何かを問いかけたものです。

将棋の話

別のページでは、15年前の名人戦移籍問題の際に米長邦雄永世棋聖中原誠永世十段などが故大山康晴十五世名人に協力して毎日新聞社を支持したことに触れ、次のように述べています。

それが今回このような事態を引き起こしてしまいました。辛い。しかし、正しいと信じた道は進みます。

どうかこのまま新聞社が移動しないことを念じております。

まじめな私

そして、そういうことを書くかと意外に感じたのが「勝負と疫病神」と題する部分。作家の大崎善生氏を「疫病神」と批判しています。

世の中には人を不幸にする人と、人の不幸でメシを食っている人がいる。
それが大崎善生君です。
今回の騒動でも彼が火つけ役、持ち込み原稿、コメントの羅列。
名人戦移行に関しての週刊誌や新聞を読むと殆んどが大崎氏の独り芝居であることが分ります。稼ぐね。 その結果、将棋界内部は結束が固まりつつある。
実は彼が悪く言う毎に将棋界は勝利に近づいている。恩義云々等を述べていますが、彼は永年将棋界で生活していたのです。現在将棋連盟は赤字に転落していますが、彼が月刊誌の編集長で売り上げ減に貢献したのが一因です。
大崎善生氏は5年以上前に日本将棋連盟円満退社。もはや内部情勢を正確に知る由もなく、現体制や職員の意識改革がなされたことも知らないのでしょう。

マスコミ各社に申し上げます。
私共の説明不足による毎日新聞社への非礼はお詫びします。それを責められては甘受するよりありません。しかし、品のある有識者はいくらでも居る筈ですので、紙面にはそのような人々の声を載せるべきではと思います。
おかげさまで、理事会がなにもしなくても棋士の同意が得られそうになってきました。感謝
4月21日の新聞記事の中にも彼が出ている。「棋士たちも自分たちの胸に手を当てて、今回の件についてよく考えてもらいたいと思います」
これを読んで、棋士も職員も笑い出したものです。

まじめな私

大崎善生氏は将棋世界の元編集長で、昨年引退した高橋和女流三段の夫でもあります。『聖の青春』と『将棋の子』という将棋ノンフィクションで注目され、現在は小説家としての地位を固めています。

大崎氏が多くの記事でコメントをしていたのは事実です。新聞記事では『名人戦』争奪 半世紀の因縁 “盤外戦”を読む特集:将棋・名人戦移管問題 突然だった「解消」通知−−経緯説明しますなどがありますし、複数の週刊誌の記事でもコメントがありました。その意味では、最も目立っていたと言ってもいいかもしれません。ただ、それだけでは「火つけ役」と言うなら言いすぎですから、何か書かれていない情報があるのでしょう。それなしに断定するなら軽率すぎますので。

棋士総会は棋士の票だけを固めれば勝てますが、そうであってもファンを全く無視するようなことをしないでほしいと思います。内部の人は大崎氏の行動についての情報を持っているのかもしれませんが、第三者的なファンの立場からは大崎氏を「悪人*」と呼ぶだけの十分な根拠はこの文章中には書かれていないように見えます。米長永世棋聖は、悪く言われることによって逆に内部の結束が強まっていると言います。それが事実かどうか知りませんが、もし結束が強まっているのならこのような批判を書くことは逆に結束を弱める可能性があります。

それぞれの主張がだいぶ出揃ってきたのでまとめに入りたいのですが、まとまった時間がまだとれそうにありません。

4月24日追記

本日、次のような記述が末尾に追加されました。

あえて個人名を挙げたのは、将棋界のためであり、正しい情報を広く知っていただきたいためだからです。
日本将棋連盟は毎日新聞社さんの誤解を解き、真意を伝え、契約継続を前提とした話し合いを願っています。
わざと火をつけるような内部の人間、あるいは元職員がいるのであれば苦言を呈します。

まじめな私

正しい情報を広めてほしいものですね。上の方で引用した文章には肝心な情報が含まれていないのですが。

[] 羽生善治三冠がドバイのチェス大会に参加中

羽生善治三冠が、アラブ首長国連邦のドバイで4月22日から5月2日まで行われるドバイオープンに参加中です。

[][] 里見・井道・室田のブログ名募集中

今回のゲストは囲碁の日本棋院関西総本部所属の岩丸平四段・井澤秋乃三段・種村小百合初段です。将棋と囲碁の違いが主な話題になりました。

村田智穂初段・岩根忍初段の「お気楽コンビ」もそろそろ活動終了となります。それにかわって今度は里見香奈1級・井道千尋1級・室田伊緒1級の3名でトリオを組むことになるそうです。その3名で書くことになるブログ名が現在募集されています。

これから個性を出していくところなので、方向性が決まりすぎない名前がいいと思います。

[] 女流棋士の待遇

メールで情報提供をいただいたのですが、日本テレビのスッキリ!!に先日林葉直子氏が出ていたそうです。私はこの放送を見ていないのですが、たぶん4月14日のことのようですね。

メールから引用すると当時は、「女流名人と女流王将を獲得していたときでも、年収は250万円だった」「対局料は2万円で勝利給が1万円だったそうです」ということです。そんなに少ないものなのですか。情報提供ありがとうございました。

[] ウェブ上で見られる煙詰のまとめ

さすがTETSUさんということで、とにかく見てみて下さい。

[] 『羽生善治の終盤術2』

羽生善治三冠が浅川書房から出す新刊が4月23日頃発売となります。購入予定です。

ですらーですらー 2006/04/22 21:17 もずさんは
>ということで、はじめから毎日新聞社と交渉するつもりだったとの見解のようです。
とのことですが、私はそうは思えません。
明らかに、連盟は途中で方針を変えています。
たぶん、あまりにもファンと棋士の反対が多かったからではないでしょうか。
会長のHPのコメントも、とってつけたようなものです。
なぜいまさら、「自動延長のストップ」を持ち出す必要があるのでしょうか?それならそうと、最初からはっきりそういえばよかっただけです。今日の会長のコメントは、まさしく「待った」だと思いました。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 21:39 私が書いたのは、今回米長邦雄永世棋聖がそのような見解を示しているようだという意味です。その前がどうだったかは、これまでの記事を再読してまとめるときに書くつもりです。

ですらーですらー 2006/04/22 22:20 失礼しました。
記事のまとめ、楽しみにしております。

BeaverBeaver 2006/04/22 23:23 正直言ってそんなに大崎さんに影響力があるとは思えない。将棋ファン以外で彼はそんなに有名なわけではないし、それほど大物作家でもない。(「有識者」という変なことばでくくれる人のなかで、一番連盟の内実に詳しい人ではあるかもしれないので、マスコミがコメントを求めるのはわかるような気がする)なんか米長発言は「狂ったか米長!」と観戦記の見出しをつけたい感じ・・・。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 23:38 ですらーさん、読み直すと「はじめから」がどこにかかるかがわかりにくい文でした。意味がはっきりするように書き直します。
Beaverさん、今明らかになっている話だけからすると大崎氏に悪いところがあるようには見えません。あそこまで書いて何もないようだと、致命傷になりかねないと思います。米長永世棋聖はそのあたりの分別を持っている人だと思ってきたのですけども。

朱夏朱夏 2006/04/23 12:48 今回の火付け役は理事会であり、とても大崎氏とは思えないのですが。
米長さんの深慮ありそうに見せかけた大山鳴動な発言はこれまでも多々ありましたが
実は、飼い犬噛まれ立腹、八つ当たりと責任のなすりつけというのが実態ではないのか。
我々は「何か公にされていない情報があるのだろう」などと思い図ってあげる必要など
ないのです。およそ公の場で人を批判するには理由、根拠が必要であり、それを示しも
せずこの発言は、すでに卑怯としかいいようがありません。

オベロンオベロン 2006/04/23 14:55 米長さんのホームページは、「さわやか日記」を時々見に行くくらい。だってちっともさわやかじゃないからね。「誤解があったようでお叱りを受けた」って傲慢そのもの。せめて「誤解をさせた」でしょ。今日大崎善生さんについて書かれた箇所を読んで仰天!この途方もない発言はすでに名誉毀損じゃあるまいか。「すでに卑怯としかいいようがありません」全く!米長って、こんな人だったの!

BeaverBeaver 2006/04/23 18:03 何か舌足らずだったので補足
「狂ったか米長」というのは、確か会長がバリバリの現役だった頃の対局での、故芹沢九段(だったと思う)の観戦記の見出しです。もちろん、米長プロは狂ったわけではなく、一見発狂したかのような手にも凡人にはわからないトッププロならではの深い考えがあった(確かそういうことだったと思う、間違っていたらごめんなさい)ということなのです。
しかし、今回のHPでの悪口は・・・凡人の私には、何か深い意味があるのか全く理解不能です。
ご自身が自爆するのは、自業自得ですが、将棋連盟を道連れにしないで欲しいですね。

鉄人68号鉄人68号 2006/04/24 01:11 米長氏は政治屋と付き合うようになってから人格が変わってしまったような気がする・・・のは私だけでしょうか。

オベロンオベロン 2006/04/24 13:24 米長会長は「毎日新聞社の誤解」っていう図々しいことを言い出し始めましたね。「通知書」には明確に「第66期以降の契約に関しては、解消させていただきたく」っていってるのに、これを「延長契約」という意味だと言い逃れるつもりかな?見苦しいなあ、この「通知書」には誤字まである。「弊社団」とあるべきところが紙幣の「幣社団」になってる。やっぱり、お金ではじまる組織なのかねえ?

ssss 2006/04/25 09:02 羽生先生の本はいつも書名のつけかたが上手いですね。「羽生の頭脳」からだったかなー。本のコンセプトがしっかりしているから書名がいいという面もあるでしょうけど。

mozuyamamozuyama 2006/04/25 22:58 朱夏さん、そのようなお考えもごもっともですが、私はもう少しだけ待とうと思います。といっても、米長永世棋聖にとってそれほど悠長にしていられる情勢ではありませんけども。
オベロンさん、名指しはせずどうとでもとれるように書いておくのが米長流かと思っていました。そういう意味ではらしくない感じがします。契約に関しては、とりあえず、「延長」と「継続」が同じなのか違うのかかはっきりしてほしいと思います。「幣社団」は気付きませんでした。記事では直っているので、毎日新聞の人も気付かなかったんでしょうね。日本将棋連盟で文書をタイプした人は、「弊」という文字を使う機会がないのでしょう。
Beaverさん、よくわかりました。公的な発言を私的なホームページでしていることが、混乱を生み出す一つの原因になっていると思います。
鉄人68号さん、米長永世棋聖の発言に注目して読むようになったのは最近のことなので私には変化はわかりませんが、付き合う人に影響されることはあるでしょうね。
ssさん、書名を決めるのは出版者の側に主導権があると思いますが、「基本だけでここまで出来る」というのも内容が想像できていいタイトルですね。

2006年04月21日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(9)

毎日新聞は「名人戦問題取材班」を立ち上げ、21日付朝刊でこの問題を特集しました(昨日紹介した記事と同じ)。1ページまるごと使っての特集は、皮肉なことに近年で最も大きな将棋記事ではないでしょうか。

これに対し、さわやか日記4月21日(金)18時39分1秒付によると米長邦雄永世棋聖は21日に毎日新聞社を訪れ釈明したそうです。

午後2時。毎日新聞社を訪問しました。
誤解があるようでお叱りを受けました。
改めて書面をお受け取り頂き、後日ご連絡をお待ちすることになりました。

さわやか日記

「誤解がある」は「誤解を与えた」と書きたかったのだろうだと思いますが、それはともかく、毎日新聞社はこれに対し質問状を送付したということです。

読売と産経の記事の中では、森内俊之名人が毎日寄りと受け取れる発言をしたと書かれています。

現在、名人でもあり、名人戦で谷川浩司九段の挑戦を受けている森内俊之棋王は「スポンサーとの信頼関係は大切」と語り、毎日支持ともとれる立場を示した。

米長会長「耐える一手」 将棋・名人戦騒動

スポンサーを大切にすることは当然なのでこの一言だけでは毎日支持かどうかはわかりません。下記の共同通信記事ではその部分は避けて引用されているのですが、朝日への移管を歓迎していないように見える読売だけでなく産経も一致してそうかいているということは、文脈的にそう受け取れる余地が大きかったのかなと思いました。

それから、大阪の毎日放送で21日の午後に放送されたちちんぷいぷいでこの問題が取り上げられたそうです。

[] 山崎隆之六段のウェブログ

山崎隆之六段のウェブログができました。プロフィールのページで「やまざきたかゆき」とあるのですが、「さき」ですね。それから、現在の段位が紹介されていないのは変だと思います。

[] 佐々木慎四段が五段に昇段

19日の竜王戦で佐々木慎四段が勝って、四段昇段後公式戦100勝により五段に昇段しました。

日本将棋連盟からのお知らせの最下段に記録してもらわないと、昇段がなかったみたいに見えますね。

[] 桐谷広人七段が「家計診断 おすすめ悠々ライフ」に出演。

直前の告知になってしまいましたが、週刊将棋4月19日号によると、22日午前9時からNHK総合テレビで放送される家計診断 おすすめ悠々ライフに桐谷広人七段が出演するそうです。この回は株式に関する話題で、桐谷七段は株主優待についてインタビューに答えるそうです。

とおりがかりとおりがかり 2006/04/22 02:09 桐谷七段はダイヤモンド・ザイの最新号にも出てますね。株で2億円以上を作ったそうです。優待株が好きとも書いてあります。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 19:52 ありがとうございます。今度書店で見てみます。

2006年04月20日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(8)

毎日新聞からまとまった特集が出たので、リンクだけ更新します。コメントのお返事はまた今度ということですみません。

これまでは毎日新聞社の編集局長が前面に出ていたのですが、社長名義で同様の主張が出てしまうと、もう社内には間に入る人がいなくなってしまったことになります。毎日新聞社は完全に本気ですね。

なお、毎日新聞社はこの問題に関し意見募集を行っています。伝えたいことのある方は下記ページからどうぞ。

2006年04月19日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(7)

今日リンクはこんなところ。

作家の団鬼六氏のインタビューはさすがに将棋界に長く関わっている人の発言だと思います。内容には賛成できない部分もありますけども。

先日の棋士会でコメント伝言された大先輩に手紙を出したが、今日お昼前に電話があり、「今回の件は将棋連盟が潤うのなら、朝日に名人戦が移ることも賛成だが、手続上に問題がある。」と言われ、まさに同感。
名人戦7番勝負第一局の立会いの時、今回の件をお昼休みに初めて知った事、名人も初めて聞いたらしい事を教えられて驚く。
挑戦者には前もって知らされていて、現名人には知らされていないと云うのは、名人が軽く見られ、公平でない気がする。

ナルゴンの英会話サロン経営日記:歴史の勉強?

森内俊之名人が知らされていなかったというのはにわかには信じがたい話ですが……。

それから、テレビ東京で午後4時55分から放送された「速ホゥ!」でこの問題が取り上げられたそうです。下記のページで知りました。

テレビでは他の番組でも取り上げられたことがあったようですが、そこまでは追い切れていません。最後に、20日発売の週刊文春に「林葉直子、毎日・朝日名人戦騒動に『読みが足りない』」という記事が出ています。

4月20日追記

ただ強く思うのは、棋士がブログ等で間違った情報を発信するのは絶対に止めるべきだ、という事。先日某ブログで「名人が、名人戦第1局目まで事実を知らなかった」と書いていて驚いた、と同時にあきれた。事実として、そんな事は100%無い。

とにかく今正確な情報が大切であるし、読んでいただいているファンの方も全てを鵜呑みにせず、きちんと整理して考えていただきたい。

遠山雄亮のファニースペース: 名人戦問題

とのことです。これに対して次のように述べています。

私は家にパソコンがないので、WEBにアクセスする時間が限られていて、中々他の棋士のブログまで見れませんが、私の後輩が別に私の事を批判しても、それは私が我慢すれば良いだけだから、構いませんよ。

それより、棋士全体の信用、将棋愛好者が偏見で見られるような事を書いたりしたら、ご注意願います。

私の後輩達は、今この件で不安が一杯だと思いますので、多少の間違った意見であっても、暖かいコメントで支えてあげてください。 お願いします。

ナルゴンの英会話サロン経営日記:平行線。 コメント

これを読む限り、あまり話が伝わっていないようです。真実は現在は不明ということになるようです。

BeaverBeaver 2006/04/20 00:02 林葉直子にインタビューに行くあたりが文春ですね。
かつての恋人と師匠をどう評するか?

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/20 13:35 週刊将棋紙での言及といえば、山田史生記者のコラムの中でのコメントが気になりました。とかく批判もされる記者クラブ制度ですが、あるならあるでちゃんと機能してほしいものです。

あと、連盟の経営に外部人材を入れるのは必要な事ですが、今の米長体制でのやり方は、小泉政治のブレーン政治(審議会、有識者会議、諮問委員会)の悪しき部分のコピーにすぎないでしょう。まあこれも、囲碁界を参考にして上手く改善していってほしいものです。

はっきりいって瀬川問題も今回の名人戦の件も、将棋界の貧乏臭さをPRしてるだけみたいなもので(貧乏な純文学作家の同人誌が将棋世界誌なんですかねえ?)、イメージアップにも収益改善にもあまり役立ってなさそう。なのに「経済効果」とかいうのは不毛でしかないでしょう。将棋世界誌に瀬川六番勝負の棋譜を「独占掲載」して部数減、という事実から何をどれだけ学べるか、ですよ。学べてない方々の「名人戦朝日移行」が、連盟の明日を明るくする可能性は低いんじゃないですか。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 01:24 Beaverさん、文春は先週号でも「中原誠」を見出しに持ってきていましたからね。
ン・ジュンマさん、毎日の今回のキャンペーンがどういう影響を与えるかですね。実際には読まれていなくて影響もないということもありそうなのがあれですが。

2006年04月18日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(6)

昨日の記事に関しては名人戦契約問題についていろいろ(5)に追記の形で書きました。

今日の記事はこんなところです。

それから、週刊誌の記事を読んできました。確認したのは、一昨日と昨日お伝えしたとおりで、週刊現代・読売ウイークリー・サンデー毎日・フラッシュの4誌です。

週刊現代と読売ウイークリーは朝日がカネで……的な記事。サンデー毎日は見開きですが、これまでの毎日新聞の報道をまとめた感じの記事で特に新しいことはありませんでした。

フラッシュの記事は短い記事でしたが、新聞社と関係ないせいかずいぶんいろんなことが書いてありました。正しいかどうかは別として、例えば次のようなことは初めて出てきたと思います。

  • 毎日新聞社は日本将棋連盟と朝日新聞社の動きを全く察知していなかった。(毎日新聞関係者)
  • 理事の中にも今回の動きを知らされていなかった人がいたらしい。
  • 谷川浩司九段などの一部の有力棋士には、毎日新聞社に納得してもらう形で朝日に移すという話が事前に伝えられていた。
  • 名人戦協賛の大和証券グループにも伝えられていた。
  • 名人戦が朝日に移ることになった場合は読売新聞社は竜王戦から撤退する意向を持っているらしい。(中堅棋士)

特に最後の話などは伝聞に伝聞が重なっているので本当かどうかは怪しいと思いますが。

最後に、忘れていましたが、この話題は週刊将棋4月19日号でも触れられていました。といってもごく小さな扱いで、新聞記事などですでに明らかになっている事実関係を繰り返しているだけです。週刊将棋の販売元の毎日コミュニケーションズと毎日新聞社との関係は気になっているのですが、毎日オークションによると1973年に毎日新聞社の子会社として設立されたものの、毎日コミュニケーションズ - Wikipediaによると現在「毎日新聞社の持株比率は10%を割っており、資本的なつながりは薄い」となっています。ただ、取引関係のつながりはだいぶあるようなので、無関係とも言えず微妙なところです。

[][] 瀬川晶司四段の図書

まず、NECのプレスリリースを見落としていたので、瀬川晶司四段がNEC所属に(再)に追記しました。まともなプレスリリースを見ると、なぜだかほっとします。

さて、取り上げる余裕がなかったのですが、瀬川晶司四段の著書が発売されるそうです。

夢をかなえる勝負力!』は各界の5名と瀬川四段が対談した本。19日(水)

発売とのことです。立ち読みはしてみるつもりです。

『泣き虫しょったんの奇跡』(講談社)は瀬川四段の自伝だそうです。ISBNがわかりませんでしたが、購入予定です。

[] 渡辺明竜王の「衝撃的」発言

すでにだいぶ話題になっているものの名人戦の話にかき消された感がありますが、NHK将棋講座テキスト5月号のNHK杯準決勝三浦弘行八段 対△渡辺明竜王の観戦記に掲載された渡辺竜王の発言が目を引きます。せんすさんの話を読んで書店で立ち読みしたのですが、予想を超えて「衝撃的」だったためテキストを購入してしまいました。三浦八段を指して「こういう人には負けたくないです」と述べています。「こういう人」の具体的中身は書店でどうぞ。

発言の中身に関して言えば、たしかにそれもまっとうな意見ですが、私は「こういう人」もある条件がみたされれば全く悪くないと思います。それについては別に機会に。

渡辺竜王のこうしたはっきりした物言いに私は好感を持っていますが、逆に快く思わない人もいると思います。将棋界はある時期から優等生的な発言しかしない人が増え、それはそれでいいのですが、そういうひとばかりになると面白くなくなってしまうということがあります。河口七段がよく書いていたように、狭い世界なので何か悪口に取られかねないことを言うとそれがすぐはねかえってきて対局に悪影響が出るというようなこともあるのかもしれません。棋士はそういうことがあるとしても、記者の方はもったいをつけずに書いてほしいと思います。

ただ、無難なことしか書かないのが楽だというのは、レベルの違いはありますが私も何となくわかるんですね。自戒を込めつつ、だからこそ楽な方に流れないようにと思います。

ななしななし 2006/04/18 23:10 私もせんすさんにつられて、初めて買ってしまいました。衝撃の一語です。でも、こういうのが意外と定期購読のきっかけになったりして…。

mozuyamamozuyama 2006/04/19 23:40 長い発言ではありませんが、こういうのは最近は見たことがなかったですね。

鉄人68号鉄人68号 2006/04/20 03:48 気になったので立ち読みしてきました。
渡辺氏の発言だけを読んだ場合には、三浦氏は一方的に情報を入手するだけのせこい人間であるかのような印象を受けてしまいます。恐らく渡辺氏も活字となることを前提としての発言ではない思いますし、執筆者はその後の村山氏の発言で三浦氏の実情を紹介しているので、両方を読めば問題無いと思って書いたのではないでしょうか。しかし雑誌等の記事と言うものは一部だけが一人歩きしてしまうことがありますから、やはり他人を中傷するような不適切な発言ではないかと思います。

野次馬野次馬 2006/04/20 16:57 はじめまして。この種の発言は田中寅彦氏以来でしょうか(吉田朝日
アマのも含まれますかね)。升田幸三氏が全盛のころなんかは、もっと
激しく、頻繁に起っていたのではないか、と想像します。

竜王の場合、パイナップルのブログにも同様の発言のあと「これは、
必ず書いといて下さい」とあったので、確信的に公にしているのだと
思いますが。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 01:27 文脈から言っても、観戦記に載ることを前提にメールで質問に答えたものだと思います。ここを起点に議論にしようという意図があったのではないでしょうか。名人戦の話がなければ、賛否双方の意見が出てかなり話題になっていたと思います。

2006年04月17日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(5)

今日は時間がないのでリンクだけです。

それから、18日発売のサンデー毎日4月30日号に「米長さん、名人戦『朝日』乗り換えは許されない!」という見出しの記事が、フラッシュ5月2日号に「名人戦奪還!朝日の謀略に将棋連盟は分裂寸断−仕掛けた米長会長直撃」という見出しの記事が出ています。

契約金の話については、名人戦・順位戦を毎日から朝日へ移籍 日本将棋連盟理事会方針の終わりの部分に追記しました。

4月18日追記

朝日新聞の記事によると、

こうした声に対し中原副会長は「3月31日までに毎日新聞に申し入れをしないと、07年度以降も現契約が自動延長されるため、ストップを申し入れた」と説明した。また毎日新聞などが主催する王将戦について「(七番勝負で3勝勝ち越した方が、香車1枚抜きで指す)『香落ち』を目玉に、より大きなタイトルに模様替えしてはどうかと提案している」とも明らかにした。

関西の棋士にも名人戦問題を説明 将棋連盟

だそうです。王将戦に関する提案は、名人戦が朝日に移ることをすでに前提にして話しているのでしょうか。毎日新聞社の態度を見ていると、それ以前の問題でつまずいていて交渉に入らせてもらえていないように見えますけども。

それはともかく、今さら香落ちでもないだろうと私は思います。昔と違って現在はプロ同士の駒落ち戦は絶えて久しいので、香落ちをやるとなったら改めて序盤を研究し直さなければなりません。そんな時間があったら平手に集中してもらいたいです。

次に、さわやか日記の4月17日(月)18時06分15秒付で次のような記述があります。

名人戦が話題になっています。
誠意を尽して交渉中ですが、かかる時はデマ、風聞はつきものです。
将棋ファンの声も新聞に掲載されたりしています。
真実を語るにはまだ早すぎる。
私は背筋をピーンと伸ばしての姿勢を保ち、時には90°腰を曲げて頭を下げる。
10年後から30年後を読んでの指し手です。
ただ、理事会はもっと広報活動に努めなさいというお叱りを大阪の棋士会で言われたようです。

さわやか日記

もしも新聞に書かれたことにデマが含まれているとしたら、すぐに訂正すべきだと思います。「真実を語るにはまだ早すぎる」というのは笑うところにしか見えません。

私の見るところでは、事態は情報戦の様相を呈しています。新聞社に情報戦で勝てる組織などほとんどありませんが、それにしても何もしなさすぎと思います。

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/19 12:55 週刊碁の方を見てますと、朝日主催のアマ十傑戦が、朝日アマ名人戦としてリニューアルされ、今年が第一回だそうですね。
考えられる図式としては、やはり結局、朝日が囲碁プロアマの名人戦を揃えて主催したかったというのが発端でしょうか。そんなことに大金を使っても構わないという意思決定は、朝日新聞社の中では常識なのでしょうか?一般的な上場企業なら株主からクレームが付きそうなところですが。

mozuyamamozuyama 2006/04/19 23:39 コメントありがとうございます。そうなんですか。今度調べてみます。

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/20 13:21 >朝日が囲碁プロアマの名人戦を揃えて

の部分は、
「朝日が囲碁将棋プロアマの名人戦を揃えて」
に訂正した方がよかったですね。したつもりだったのですが、うっかりしていたようです。すみません。
※藤原正彦氏にコメントを求めたら、どう答えられるのやら・・・。やっぱ市場原理で朝日に傾く連盟を批判するのか、伝統文化をより広く知らしめる機会の選択を支持するのか?(笑)

2006年04月16日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(4)

今日は落ち着いてきました。リンクするのはこのくらいです。

それから、次のページが個人のウェブログで書かれた興味深い意見をうまくまとめています。

週刊誌では、週刊現代4月29日号に「名人戦よこせと27億円、朝日が毎日に使った『禁じ手』」という見出しの記事が、読売ウイークリー4月30日号に「将棋の『名人戦』争奪で朝日の『不信義』毎日の『意地』」という記事が出ているので、立ち読みくらいはしてこようと思います。

最後に、ここまでのリンクを。

BeaverBeaver 2006/04/17 03:19 非常に情報詳しくて関心しました。少し私の疑問を書かせて下さい。
これまでの一連の報道を見て、よくわからないのは、連盟と毎日の契約内容はどんなものなのかと言う点です。63-65期の3年契約+自動延長付の契約なのはわかります。ただ、通常の自動延長契約は、どちらかが一定期限までに延長しないことを通告すれば、延長されない規定にしていることが多いはずです。連盟の発表を見ると、今年の3月末までが通告期限だったようです。ただ、毎日の報道によると、66期以降契約を継続すると明記されており、著しい状況の変化がない限りそれを継続しない選択肢は双方にないように読めます。(すなわち、3年契約+強制自動延長付契約)
もし、毎日の書いてあるとおりだとすると、この契約は事実上、期限が定まっていない永久に継続する契約で、双方が合意しない限り永遠に解消できない契約ということになってしまいます。
本当にこんな契約を結んでいたのか?というのが私の疑問です。
将棋連盟はともかくも、毎日新聞は一応大企業だから、契約書の文言は法務セクションがチェックしているはず。こんな永久に解消できない契約を結んでいるとはとても思えないのだけど。

あと、朝日の提示額が名人戦の契約金と普及協力金に別れて複雑なのは、やはり読売への配慮でしょう。現時点では、朝日の名人戦の契約提示額は竜王戦を上回っているようですが、次の竜王戦の契約ではこれを若干上回る契約にするのではないでしょうか。

ころころ 2006/04/18 04:32 >こんな永久に解消できない契約を結んでいるとはとても思えない

双方が、その内容にメリットがあるとして合資したのであれば、そういう契約を結んでいたとしても不思議ではありません。

契約内容は原則として基本的に自由に決められます。ただ、例外として公序良俗に反する内容(殺人契約など)や法律で禁止されてる内容は無効とされます。
今回の自動延長についてですが、このような連盟を縛る契約内容は不当だとお考えかもしれません。しかし、毎日にとっては名人戦を続けられるメリットがあり、連盟には一定額の収入が継続して得られるメリットがあります。一方で、きちんとした理由がなければ一方的に破棄できないデメリットもあります。そして、デメリットよりもメリットが上回ると双方が考え、「著しい状況の変化がない限りそれを継続する」という内容にすると合意したのですから、特に問題はないと思われます。
また、今回の契約内容は、契約を継続しがたいような著しい状況の変化があれば延長を拒絶できるのですから、永久に契約が続くわけではありません。不当とは言えないと考えています。

それから、更新が前提である契約は、長期間が継続されることを信頼して色々な投資がされますので、その期待を裏切ることは信義に反する行為とされます。そのため、今回のような条項がない契約であっても、信義に照らしてやむを得ないような事情がない限り更新拒絶を認めないという裁判例もあります。

BeaverBeaver 2006/04/18 19:21 いや私は公序良俗に反して不当と言う意味で書いたのではなく、こんな長期間のリスクをよく毎日が取ったなという意味です。(私もこういう規定があったとしても公序良俗には反しないと考えています。)
将棋連盟はお金をもらう立場なので、あまりリスクはないでしょう。(今回のようにもっと良いスポンサーが出てきて乗り換えられないリスクはあるが。)
もちろん金額は決まっていないのですが、大幅な減額をすることは難しいので、何十億円もの潜在的な負債(コミットメント)があることになります。
契約書の文言が仮に「著しい状況の変化」というのもあまりにもあいまいな表現で、リスク管理の点からホンマかいなという印象だったのです。
私が毎日の監査役なら異議をとなえるところです。

ころころ 2006/04/18 22:09 新聞が自らの使命としているものに、文化振興・育成があります。この目的による金銭の支出は、社会が要求しているところでもあり、通常の経営判断とは異なり会社の規模と比べて著しく高額であったり、赤字が顕著である場合などを除いては、経営陣の裁量に委ねられていると考えられます。現代においても将棋愛好家は多い将棋、特に名人戦という歴史と権威ある棋戦を保護・発展させることは社会に利益にかなうことであり、長期契約を結ぶことは十分に合理性があると思います。
なお、「著しい状況の変化」とは、社会通念に照らして契約を継続しないとしてもやむを得ない事情の変化と考えれば良いのではないかと思います。

mozuyamamozuyama 2006/04/18 22:42 お二人のおっしゃることはよくわかります。
現在の争点の一つに「著しい状況の変化」がどの程度のものかという点があります。毎日新聞社は日本将棋連盟よりもこれを狭く解釈していますが、著しいと言えない程度の変化によって仮に将来毎日新聞社がもう続けたくないと考えたときでも、契約を継続せざるを得ない状況に自らを追い込んでいるとも言えます。経営陣の裁量という言葉で言えば、同じ文化に対する支出であっても将棋以外にたくさんの文化がありますので、そのうちのどこにどれだけ支出するかは経営陣の裁量です。現在の毎日新聞社の対応は、将来の裁量の余地を狭くしているわけです。もし毎日新聞社の中に、将棋に対する支出が過大だと考えている人がいるとしたら、その人は苦々しく感じていると思います。

BeaverBeaver 2006/04/19 01:34 少し頭の体操をしましょう。
毎年1億円永久に払わなければならない契約の債務の現在価値はいくらでしょうか?永久債の金利(永久に元本が償還されない債券のことです)は10%と仮定して下さい。

答え:10億円です。
10億円の債券の金利が10%なら毎年1億円金利を払うことになりますので、そういう答えになります。

日本では、永久国債というのは発行されてませんが、期間30年の国債の金利が2.5-2.6%くらいなので、多分仮に発行されたら金利3%くらいになるのではないかと思います。
では、永久国債の金利が3%のときに、毎年3億3千万円支払う契約の債務の現在価値は・・・。110億円です!

名人戦の契約は将棋連盟と毎日が全くの自習意思で契約しているわけですから、本質的に等価交換と見てよいと思います。すなわち、解約できない条件下で、年間3億3千万円の条件で(今後一切値上げをしないと仮定して)名人戦を主催する権利は110億円である・・・ということになる。

現実的には、「著しい状況の変化」があれば解約できるわけなので、ちょっと違うわけですが、それを捨象すると、名人戦の永久主催契約を締結することは、110億円で永久に主催する権利を買ったとみなすことができます。

別にそれが悪いと言っているのではなく、契約を進めた人たちにそういう意識があったのかな、という点を問題提起しているのです。110億の投資をするという意識で契約を結んだのか?よく従業員一人を採用するのは3億円の投資だと言うのと同じことです。(日本の法律・慣行では基本的によほどのことがないかぎり解雇できないので)毎日新聞は非上場企業なので、財務内容はよくわかりませんが、WEBによると資本金は約40億円です。

ころころ 2006/04/20 13:38 なるほど、名人戦の権利を、強い縛りのある契約をもって取得するだけの価値判断が出来ていたのかという問題提起ですか。

mozuyamaさんの仰るように、今回の毎日の対応は裁量の範囲を狭めており、今後のことを考えると早計だったとも考えられますね。先を考えたときは、契約条項を持ち出すのは裁判になったときまで伏せておき、「信義に反する対応」という社会的正義のみを持ち出すべきだったのかもしれませんね。ただ、一度朝日に奪われたことのある当事者の心情としては、やむを得なかったのではないかと考えています。

過大な費用負担という点についてですが、新聞社は一般企業とは異なり、自らを公共の担い手とする企業ですから、文化振興に対する債務負担はかなり緩やかな経営判断がされているのではないかと推察します。そのために、気が付かないうちに、過剰な債務負担を負っていることは考えられますね。今回のことで、毎日新聞が債務負担の額や費用対効果、文化振興事業全体に対する将棋の重要度などを精査し、Beaverさんのお考えのように、通常の経営者として合理的な判断を下した場合は、名人戦移譲及び王将戦撤退もやむなしという結論になるかもしれません。経営諭しての合理的な判断をするか、それとも文化振興に関するため緩やかな基準で判断するかの選択の余地は、連盟が延長許否の申し出を正式に撤回しておらず、また誠実な交渉態度に出ていない以上、まだ毎日側に残っています。おそらく威信をかけて名人死守に努めると思いますが、今後も連盟が毎日を馬鹿にしたような態度をとり続ければ、合理的な判断に傾くかもしれません。
なお、今回の、(1)何ら交渉をせずに延長許否の通告したこと、(2)毎日を訪れた中原副会長と連盟の発表内容が異なるなど誠実な説明がなされなかったこと、(3)名人戦の開催に合わせたタイミングで発表したこと、(4)名人戦は金で買えるという印象を与え名人戦の権威を貶めたこと、などの連盟の対応は「著しい状況の変化」には当たりませんが、一般契約上の信義誠実の義務に反しており毎日からの契約解除が可能な事例であると考えられます。

また、今回のことで、他の新聞社も合理的判断をした場合に、今後の連盟の存続は風前の灯火となるという問題が新たに生じてしまいました。
しかし、今まで公になった情報だけでは、パンドラの箱を開けてしまうほど、連盟に切迫した状況があったとも思えません。思慮が足りなかったというにはあまりにもお粗末すぎます。やはり考えれば考えるほど、今回の騒動は解せませんね。

BeaverBeaver 2006/04/21 16:10 「合理的な判断をしたら、棋戦を主催しない。それ以外のことを考慮して主催している。」というより、合理的な判断をするだけの材料を持っていないし、集めようともしていない・・・ということなのだと思います。いわゆる「どんぶり勘定」(今回の件は「感情」という字を当てた方がピッタリくるかもしれません)

以外と費用対効果を計算したら効果が大きいという結果が出る可能性もあります。(それはないか?)新聞社のどんぶり勘定に批判めいたことを書いていますが、だからこそ将棋のタイトル戦が見れるわけで、将棋ファンとしては痛し痒し・・・というところです。

契約金その他が表に出たことで、パンドラの箱を開けた感もありますが、私は今回の件がなくとも「開きつつあった」と思っています。将棋のタイトル戦の価値を客観的に算定することが難しい中で各新聞社が何をよりどころにしてたかと言えば、それはズバリ「横並び」でしょう。竜王戦と名人戦の微妙な契約金額の差にその辺が良く出ています。他社は名人戦や竜王戦がこれくらいなら、うちはこれくらいと自分のところ懐具合と相談して決めてきたものと思います。

今までは、竜王戦が少げたから、名人戦も上げてもらった。名人戦が上がったので竜王戦を上げざるを得ない(読売は契約金NO1とすることが竜王戦の格式を維持するためにも必要と考えていると思われる)、また他社もそれを参考にするという順スパイラルの関係にあったわけです。これが不況下にありながら契約金が下がらなかった理由でしょう。今思えば、竜王戦がバブル崩壊直前にグッドタイミングに創設され、羽生ブームがあったことも大きい。これが、将棋ファンが減る中で、将棋連盟が収入を維持できら理由でしょう。(将棋連盟の収入減少の多くは出版事業等にあって、意外と棋戦の運営の収入は減っていない)

そんな中で目立たないが、棋戦運営から手を引く会社がボツボツ出てきてますね。1回この逆スパイラルが始まると、もともと何かの根拠があって契約金が決まっていたわけではないので、歯止めが利かなくなる可能性大です。どうもその気配が始まっていたように感じます。

mozuyamamozuyama 2006/04/22 01:35 前のコメントで私は「将棋に対する支出が過大だと考えている人がいるとしたら」と書いたのですが、今回の対応を見ていると少なくとも上層部で発言権のある人にそう考えている人はいないようですね。将棋ファンの間でも将棋に何億円も出すことは経営的に見て合理的なのかどうか疑問を呈する声は以前から挙がっていますが、ここまでのこだわりを見ていると将棋ファンは金払いがいいとか何か内部でしかわからない事情があるのかもしれないと思わされます。もっとも、歴史的な事情があって、昔の屈辱を再現させないようにという感情的な部分が先に立っているようにも見えますが。
いずれにしても近年棋戦がいくつかなくなっているのは事実で、そんな中で将棋が評価されたことをこれからどのようにいかしていけるかが問われていると思います。

2006年04月15日

[] 瀬川晶司四段がNEC所属に(再)

昨日の瀬川晶司四段がNEC所属にの続きですが、いろいろ記事が出たので改めて。(瀬川四段のブログ更新はまだなので、更新されたらリンクを追加します。)

このように企業所属棋士が誕生したこと自体は前進と言えます。具体的に何をすることになっているのかは瀬川四段のブログでのエントリで少しは語られると思いますが、朝日新聞の記事によれば広告出演もあるとのことですので、今年初めの瀬川晶司四段がNECの広告に登場のようなことがまたあるのかもしれません。

羽生善治三冠が以前公文式CMに起用されたことを覚えている方も多いと思います。そのように企業と棋士との関わりも増やしていって棋士の収入源の多様化を進めれば、将棋界の構造も変わっていくでしょう。兼業棋士としてのフリークラスということにもつながってくると思います。

ところで、米長邦雄永世棋聖によるとこの話は14日に公表されるはずだったのですが、1日遅れで日本将棋連盟のサイトに記事が掲載されました*1

このたび瀬川晶司四段(36)がNEC(日本電気株式会社)と所属契約を締結いたしました。契約期間は2006年4月1日から2007年3月31日の1年間です。

瀬川晶司四段、初の企業所属棋士へ

文章の中身のなさはともかくとして、表題が本文に沿っていないのはさすがに変です。4月1日から契約期間に入っているのなら「企業所属棋士へ」ではなく「に」にすべきですし、「初の」について本文中で言及がないのも公開前に気付いてほしかったところです。

4月17日リンク追加

4月18日追記

瀬川晶司四段@将棋パイナップルで気付きました。NECのサイトも見たのですが、見落としていたようです。

契約の内容は以下の通りであります。

  1. 契約期間は2006年4月1日から2007年3月31日までの1年間。
  2. 「NEC所属棋士」の表記のもと、対局をはじめとしたプロ棋士としての活動を実施。
  3. NECロゴマークが表示された衣服の着用、携帯品を使用し、対局をはじめとしたプロ棋士としての活動を実施。
  4. NECグループの広告出演及び、イベントへの参加。
瀬川晶司棋士と所属契約を締結(2006年 4月14日): プレスリリース | NEC

「であります」調が気になりますが、それはともかく、これまで報道されていたとおりで妥当な内容です。

[] 名人戦契約問題についていろいろ(3)

今日もいくつかの記事が出ています。

東京新聞の記事は、具体的な数字やこれまでの歴史に触れながらこの問題を解説。さらに関係者に取材してコメントを取っています。

「現在のままでいいと思う」という中堅棋士は、個人的な見解と断ったうえで、「もし朝日に移行した場合、毎日がスポニチと共催する王将戦(契約金七千八百万円)をやめる恐れもある。金銭面だけで言えば、朝日は朝日オープン(一億三千四百八十万円)をやめるだろうし、五年後のトータルで試算すると、現状と、ほとんど変わらない」と話す。

これに対し、連盟幹部の一人は「移管の理由に連盟の赤字が挙がっているが、単なる金銭問題ではない。これは将棋界百年の計の話。このままの状態が続けば、連盟はつぶれてしまう」と危機感を募らせる。

「新聞の発行部数が多ければ当然、将棋ファンも多い。これは大前提。さらに、海外で新聞を発行している朝日なら将棋の国際化を図れるし、テレビのメディア力も違う」と強調する。

『名人戦』争奪 半世紀の因縁 “盤外戦”を読む

他の記事でも具体的な数字はいろいろ出ていますが、王将戦の契約金額を見たのは初めてです。「連盟幹部」の話はよくわからないのですが、間に話したことが省略されていたりするのでしょうか。「テレビのメディア力も違う」というのは何と何を比べて違うと言っているのか読みとれませんでした。

そして、この記事で唯一名前を出してコメントしているのが作家の大崎善生氏です。

背景に、連盟の苦しい財務事情があるとされているが、大崎氏は「本当の厳しい赤字ではない。例えば、棋士は個人事業主だが、厚生年金に加入し、連盟が積立金の半分を負担している。国民年金にすれば一億円は浮く。機関誌の売り上げは減っているが、編集部の人事は理事会が握っているのだから、彼らも売り上げ回復のために努力する責任がある」と指摘する。

『名人戦』争奪 半世紀の因縁 “盤外戦”を読む

「棋士は個人事業主」と言い切ってしまうのはどうかと思います。それはともかく、年金を変えればたしかに1億円が節約できるのかもしれませんが、その1億円は湧いて出てくるわけではなく、棋士がこれまで給与として自分のものにしていた中から追加で支払うか、年金額を下げるかして生まれるお金です。結局は給与の減額と同じですから、棋士に払うお金を減らすと言う方が適切です。年金というのはどの部分を減らすかという案の一つに過ぎず、結局「本当の厳しい赤字ではない」とは「棋士への支払いに減額の余地がある」という主張と同じです。

私の考えを述べれば、その主張は大雑把には正しいと思います。いずれにしろ、赤字が続けばそれ以外の道はないわけですが。

西日本新聞のコラムは、この問題の経緯を紹介し、最後に「禁じ手を使ったのだろうか。*」という文で締めています。この主語日本将棋連盟のようです。判然としないところがありますが、「禁じ手」とは契約違反の行為を指しているのでしょうか。

西日本新聞は王位戦の無料中継が素晴らしく充実していることで知られています。将棋の好きな人が上層部にいるのでしょうね。こういう地方新聞社ばかりだとうれしいのですが、そんなはずはなく経営の苦しい地方紙の中には将棋に払うお金を節約したいと考えるところもあるようです。毎日新聞社が仮に撤退することがあるようだと、そのような地方紙の動向が焦点になると思います。その意味で地方新聞社は隠れたキープレイヤーと言えそうです。

ところで話は変わりますが、さわやか日記4月15日(土)16時37分22秒付に次のような文がありました。

タイトル保持者と理事との会合約1時間。皆真剣です。
ツーといえばカーという人もいます。一方的に自分の主張をする人もいる。何が一番大事なことなのか全く分っていない人もいる。

さわやか日記

タイトル保持者とだけ会合を持つというのも珍しいですね。

12日の棋士会には羽生三冠渡辺竜王佐藤棋聖は出席していたようですが、名人戦対局中だった森内名人は出席できなかったのでここで初めて話をすることになったわけですね。4人のうち少なくとも2人は対立意見を述べたということなのでしょうか。あるいは「人もいる」はタイトル保持者ではなくて理事ということもあるのかもしれませんが。

[] PWCばか詰作品展

これまでアンチキルケばか詰作品展の中で行われていたPWCばか詰作品展が分離独立して毎月15日に開催されることになりました。たくぼんさんおつかれさまです。今回は大量の10題出題。がんばって解きます。

[] 詰将棋解答選手権レポート

とりあえず初級戦(3手・5手)を解いてみました。ストップウォッチは使っていないので概算ですが、解答をタイプする時間を入れて13分くらいでした。プレッシャーがかかっていないと決め打ちできるのでやりやすいです。将棋世界の「あっという間の3手詰」に慣れている方なら解きやすいと思います。

一般戦は時間がかかりそうなのでまたの機会にします。作者名から言って好作揃いのはずですので、解くつもりのない方は解説を見て鑑賞してみることをおすすめします。

[] 棋士ウェブログ

2月27日付夕刊に掲載された記事がウェブ上でも公開されました。

最近、手軽に更新できるブログが普及し、若手を中心に日記を公開する棋士が増えてきた。現在、実名で何らかのコラム立ち上げている棋士は約30人にのぼる。

「勝負師の日常」公開中 将棋界でブログブーム

数えてみるとたしかにちょうどそのくらいですね。細かいものも含めるともう少し増えるかもしれません。

[] 神崎健二七段が「ぽぴとぴあ」の取材を受ける

神崎健二七段が「学習教材のポピーの中学生向きの会員情報誌『ぽぴとぴあ』」の取材を受けたそうです。たくさんの職業が扱われる連載に将棋棋士が出てくるということなのでしょうか。「ぽぴとぴあ」のウェブ頁にはほとんど情報がありませんでしたが、8月号に掲載予定とのことです。

[] 酒井順吉六段が引退

12日付のこの記事で知ったのですが、酒井順吉六段が3月31日付で引退していたそうです。たしかにKANSAI-SHOGI.COMの棋士紹介では引退となっています。

私がこれに気付かなかったのは、日本将棋連盟サイトで引退が告知されていなかったためです。実際、現在も酒井六段の現役の棋士紹介ページが残っています。棋士にとって昇段も大事ですが、引退はもっと大事だと思います。引退から2週間たってもそれが反映されていないというのは、引き継ぎがうまくいっていないというだけでは済まなくなってくるのではないでしょうか。以前にも書いたとおり、公式サイトには正確かつ迅速な更新を求めます。

4月16日追記

16日に酒井順吉六段の紹介ページに「(現在参加中の棋戦終了後引退)*」という文が追加されました。名無しさんからコメントいただいたように、ある日付で引退となるものの進行中の棋戦については負けるまで参加するということは過去にも例があります。そうではなく、全ての棋戦で敗退してから引退届を提出することも可能です。ただ、引退届が提出されていないのであれば引退が確約されたような書き方はしないでしょうから、やはり前者なのかなと思います。そうだとすれば、引退届が提出されたことはやはり告知するものではないでしょうか。今年1月に引退した西村一義九段のときは告知されていました。忘れていたわけではなく、お知らせに何を書くかの基準がまだ定まっていないということなのかもしれません。

[] 今日のちょっと面白かったリファラ

誰でしょうね。「瀬川晶司」なら知っていますが。

*1:ところで、4月に入ってから日本将棋連盟からのお知らせが更新されないのが気がかりです。

名無し名無し 2006/04/16 10:11 酒井六段の件ですが、酒井六段は3月31日の時点で竜王戦の昇級者決定戦の対局が残っていたので、名目上は引退でも残っている対局は指す必要があったからではないでしょうか。実際引退棋士にいったん移したものの、そのあと勝利したので現役の所にも慌てて戻したような雰囲気が見られます。

mozuyamamozuyama 2006/04/17 00:34 16日になって、酒井六段の紹介ページに一言書き加えられましたね。これについては追記します。ところで、ページを見直したのですが「慌てて戻したような雰囲気」は、私には感じ取れませんでした。まあ、名目上引退棋士なら引退棋士の欄にあったとしても問題ないと思いますけども。

2006年04月14日

[] 名人戦契約問題についていろいろ(続)

日本将棋連盟から公式見解が出ました。

いわゆる情報公開とは違うと思いますが、このように見解を発表していくことはそれ自体意義のあることです。日付の入った文書は久しぶりに見たように思います。

朝日新聞の記事は日本将棋連盟の公式見解をほぼそのまま伝えています。朝日新聞社のこの淡々とした態度はこの問題が始まってから一貫しており、どう考えているのかは伝わってきません。というより、表に出さないようにしているということなのでしょう。

一方で、毎日新聞は日本将棋連盟の見解に激しく反発し、社長室広報担当の話として「この文書は多くの点で事実と異なる*」と表明しています。この紛争はまだ続きそうです。

このほかに本日も記事がいくつか出ています。以下のものはウェブ上で読めます。一昨日の名人戦・順位戦を毎日から朝日へ移籍 日本将棋連盟理事会方針にも同じリンクを追加しておきました。

毎日新聞のコラム「余録」は、昔の毎日新聞で将棋担当だった村松喬氏の著書を紹介し、毎日新聞社の正当性を主張しています。この村松氏は、1977年に名人戦が朝日から毎日に移動した際にも交渉に関わったようで、『将棋界の事件簿―現役プロ棋士の実話レポート』には、名人戦が宙に浮きかけた当時のこととして次のように紹介されています。

その頃、毎日側から名人戦契約の件で相談を受けたのが同社OBの村松喬さん。村松さんはかつて学芸部記者として名人戦、王将戦、本因坊戦などの将棋・囲碁欄を担当した。あの陣屋事件では担当記者として関わり、事の顛末を週刊誌に書いたこともあった。毎日退社後の当時は、教育評論家として活躍していた。

村松さんは「名人戦はどんな無理をしても毎日が引き受けるんだ。高い買い物をしても、紙面で効果を上げれば収支プラスになるのは目に見えている」と、毎日の幹部たちを熱心に説いたそうだ。将棋担当記者時代の昭和24年、毎日の幹部の将棋への無理解から名人戦契約が毎日から朝日に移るという、現場の者として非常に悔しい経験をした村松さんだけに、名人戦の毎日復帰に寄せる思いはなおさら強かったのだろう。

このような村松さんの陰の尽力や、大山が毎日の幹部とたびたび会って働きかけたことにより、毎日は名人戦を主催する意向を固めていった。

将棋界の事件簿―現役プロ棋士の実話レポート

このように熱を持って名人戦を待望する人のおかげで棋戦が維持できているという面があるのでしょう。名人戦を失った悔しさは、30年程度では薄れないのかもしれません。

産経新聞も1面コラムの「産経抄」でこの問題を取り上げました。皮肉混じりの調子や脈略なく教育基本法が出てくるあたりが、らしい感じです。

▼ただし、五億を超すという額は本紙や毎日の読者は知っているが、朝日の紙面には「新たな契約条件を提示した」とあるだけ。契約金の原資となる購読料を払っている朝日読者には、いくらを提示したか知らされていない。「ジャーナリスト宣言。」をした新聞とは思えぬ秘密主義ではないか。

産経抄 平成18(2006)年4月14日[金

これは正論ではあるのですが、産経新聞主催の棋聖戦も契約金の額を公表していません。このコラムを書いた人は将棋担当ではなくてその事実を知らなかったのでしょうね。

このほか、ウェブ上では読めませんが、14日付の読売新聞朝刊の3面で社説の横の部分全体を使って大きく取り上げられました。西条耕一記者の記事です。

記事の内容はこれまでの経緯のまとめと将棋界の仕組みの説明が主ですが、いくつか新しい情報もありました。一つは、竜王戦の棋戦契約金の額が3億4150万円(消費税別)と公表されていることです。名人戦に対する朝日新聞社提案の額はこれを上回ります。昨日私は「純粋な棋戦契約金の額は竜王戦を越えないのかもしれません」と書いたのですが、これは全く見当はずれだったことになります。(そうなると、専務理事の西村一義九段が「竜王戦を最高棋戦とする方針に変わりない*」とコメントしたのはどういうつもりだったのかということになりますが。)

記事の最後には、作家の団鬼六氏と英文学者の柳瀬尚紀氏のコメントも掲載されています。そして、右下の囲み部分では、次のように書かれています。

8人の理事全員一致で朝日への移管を決めた将棋連盟の理事会。一枚岩のように思われているが、「手続きが拙速だった」「毎日がここまで反発するとは思わなかった」という声も内部から出始めた。

「理事もプロ棋士なのに毎日の“反撃”という次の一手が読めなかったのか」と疑問に思う棋士は多い。

ただ単に読みが浅かったのだとすると、事態は相当深刻です。

それから、13日発売の週刊文春・週刊新潮の記事も見ました。新潮の方が朝日批判のトーンが強いですが、書いてある内容はどちらもそれほど変わりません。文春の記事の見出しは「将棋『名人戦』が朝日へ 毎日に三行半を突きつけた中原誠」。「中原誠」を強調するのは文春だからかもしれません。

この記事は、毎日新聞の観堂編集局長のコメントを引きながら、交渉の経緯を紹介しています。渉外担当の中原誠永世十段は、3月31日4月7日に説明のために毎日新聞社を訪れ、2度目に訪れた際には「7六歩(最初の一手)を指した以上、『待った』は出来ない」と話したそうです。

ところで、朝日新聞が名人戦主催すべく申し入れたのは、日本将棋連盟理事会の経営諮問委員会*1が朝日新聞社に打診したことがきっかけだったことはすでにいくつかの記事で報じられています。文春の記事には諮問委員会委員長の中原伸之氏のコメントも掲載されています。

「連盟の赤字体質はこのままではどうにもならない。そこで負担能力が高く、名人戦とも因縁がある朝日に移してはどうかということになった。朝日には箱島(信一前社長)さんと親しい私がお話ししました」

それから、文春の記事は1991年に起こった名人戦の毎日から朝日への移行話についても触れています。このときは故大山康晴十五世名人米長邦雄永世棋聖や中原誠永世十段が協力して、その話をつぶしたと記事では紹介されています。

そして観堂氏の話として「我々としては、多くの棋士に毎日側の考えを理解してもらい、通知書が撤回されれば、今回のことは水に流すつもりです」というコメントを紹介しています。

記事の最後では、羽生善治四冠のコメントも紹介されています。

今回は谷川浩司九段に敗れ挑戦権を得ることができなかった羽生善治王将だが、連盟のドタバタぶりをどう見ているのだろうか。
「棋士は決められた対局に全力を尽くすというのが務めですので、すっきりとした気持ちで一局一局に臨みたいと思っています。」

コメントからは賛否は読みとれません。それとは別に気になるのが、上で「羽生善治王将」と書かれていることです。羽生善治三冠は現在、王位王座・王将の3つのタイトルを保持しています。この3つは対等ですので「三冠」が日本将棋連盟公式の呼称です。しかし、棋戦主催社の記事の中では、その主催する棋戦のタイトルを優先的に扱い、複数タイトルを持っている棋士も自社のタイトルで呼ぶことがあります。王将戦は毎日新聞(とその系列のスポニチ)が主催していますので、この書き方は毎日新聞からの視点からものということになります。(例:将棋大賞:最優秀棋士賞に羽生善治王将を選出

[] 瀬川晶司四段がNEC所属に

4月14日に何かを発表と予告されていたのがこれのようです。名人戦問題のあおりでふきとんでしまったのか、主要各紙から記事が出ていないだけでなく日本将棋連盟からもまだ発表がありません。画期的な話だと思うのですが、何というか……。

RATSRATS 2006/04/15 09:17 名人戦問題は、手順や決定の経緯から迷走しているように見えます。しかし、毎日新聞の購読者数が少ない(朝日新聞 8,241,781 毎日新聞 3,931,178 読売新聞 10,044,990)のは事実であり、そのため、将棋名人戦が多くの人の目にふれていないと感じていました。また、WEBでの発信力も毎日は朝日より劣っており(一時MSNと組んでいた)、単純に部数が多いだけでなく、朝日と組んでやるという選択肢もあると思います。ただ、経緯からくる感情的なこじれはあるので、難しいのでしょうが。

ssss 2006/04/15 09:40 「瀬川四段」を「瀬川4段」って書くと違和感がありますね。
あと、NHK杯での対局中などにNECのロゴ入り扇子を使われたらちょっとイヤンです。

mozuyamamozuyama 2006/04/15 12:14 RATSさん、そういう見方もできると思います。WEBでの発信力という点で言うと、毎日はMSNと提携してから記事が見づらくなりましたね。
ssさん、上でリンクした2つの記事は共同通信の配信を使っていると思います。共同通信は段位を算用数字で書くようにしているみたいです。どうして漢数字でないといけないのかと言われると返答に詰まりますが、たしかに違和感がありますね。NECのロゴ入り扇子がどんなものなのか、墨でNECと大書きしてあったらそれはそれで面白いです。面白ければいいというものでもありませんが。

ななしななし 2006/04/15 12:27 日経の紙の記事は「四段」の表記です。ネットに転載する際に、横書きだからわざわざ洋数字に直したのでしょう。

ワインワイン 2006/04/15 20:27 「毎日はMSNと提携してから記事が見づらくなりましたね」
私はそんなことはないですね。MSNとの提携直後はお世辞にも見やすいとはいえませんでしたが、リニューアルしてからすっきり見やすくなりました。あと、貴重なのが地域の将棋関係の記事をひとつひとつ集めてくれることですね。

ウェブのデザインの善し悪しは、正解がないだけに難しいですね。例えばこちらの「勝手に将棋トピックス」についても、私は読みやすいすっきりしたデザインだと思うのですが、見づらいという方もいらっしゃるでしょう。

doublecrowndoublecrown 2006/04/15 21:14 記事まとめお疲れさまです。
誤字がありましたのでご報告。
(誤)作家の段鬼六氏
(正)作家の団鬼六氏

mozuyamamozuyama 2006/04/15 23:26 ななしさん、ご指摘ありがとうございます。たしかに将棋王国の記事は漢数字になっています。少し調べてみたのですが、共同通信は段位で算用数字を使うというのは誤りで、○冠が算用数字だっただけでした。記事が出たのはウェブ上が先ですから、元が算用数字だったのを紙に書くときに漢数字に直したと見る方が自然だと思いますが確証はありません。
ワインさん、毎日のページは提携前は新聞社の中では良かったのでがっかりしたということはありますね。以前に比べれば改善してきてはいます。地域の記事は見やすさとは別の話ですが、様々な地方の記事を一度に見たい人にとっては便利でしょうね。
doublecrownさん、ありがとうございます。これから修正します。

nobodynobody 2006/04/15 23:44 瀬川プロの件。朝日新聞Web版(asahi.com)にも掲載がありました。→ http://www.asahi.com/culture/update/0415/001.html

mozuyamamozuyama 2006/04/16 00:24 すみません行き違いになってしまいましたが、15日付で改めて書きました。

nobodynobody 2006/04/16 00:49 ぐはぁ。こちらこそ、間抜けなコメントですみませんでした。

mozuyamamozuyama 2006/04/16 00:53 いえとんでもないです。ありがとうございました。

shigezoshigezo 2006/04/16 22:39 名人戦の契約額というのは一概に竜王戦と比較できないようです。名人戦はそれ単体でなく順位戦も含んでいますよね。ですから予選も含めた年間の総対局数を比較すると順位戦の方が圧倒的に多いわけです。関係者以外には順位戦の運営はベールに包まれていて、以前河口さんか先崎さんか忘れましたが、「新聞棋戦(ほぼ死語)の契約金の一部を順位戦に廻してなんとかやっている」ということらしいです。名人戦の賞金が表に出ないのも一括の賞金ではなく月給として払っているからとか、名人戦順位戦にはなぞが多いですね。読売の契約額は「トーナメント型タイトル戦」単体としてはやはり破格ではないでしょうか。ただし囲碁のほうはすべてトーナメント型予選のタイトル戦ですから契約額がそのまま格に反映されるのだと思います(つまり読売>朝日>毎日という序列です)。

mozuyamamozuyama 2006/04/17 00:43 制度が複雑になっているというのは本当にそうですね。プロ棋士でも全貌を把握しているわけではないようですし。ただ、複雑にしているのは日本将棋連盟の事情で、スポンサーとしての貢献はそれとは切り離して考えるべきではないかという気がします。

2006年04月13日

[] 名人戦契約問題まとめなどいろいろ

関連記事へのリンクは昨日の名人戦・順位戦を毎日から朝日へ移籍 日本将棋連盟理事会方針をご覧下さい。本日、いくつかのリンクを追加しました。

これまでの経緯

まだ明らかになっていない部分が多いのですが、わかる範囲で何が起こっているのかをまとめます。

  • 2005年夏:連盟理事会の経営諮問委員会が朝日新聞社に名人戦契約移管を打診。
  • 2006年3月17日:朝日新聞社が名人戦の新たな契約条件を提示。
  • 3月22日:理事会が朝日新聞社の契約受け入れ(毎日新聞社との契約打ち切り)を全員一致で可決。
  • 3月28日:上記決定を毎日新聞社へ通告。
  • 3月31日:28日の通告について、副会長(渉外担当)の中原誠永世十段が毎日新聞社に出向いて説明。
  • 4月7日:中原永世十段が再び毎日新聞社を訪れ説明。
  • 4月12日東京で連盟棋士会が開催され、上記決定を理事会が各棋士へ説明。毎日新聞社は反発する声明。
  • 4月17日:大阪で関西棋士向けの棋士会。(予定)

記事のタイミング

この件を最初に報じたのは産経新聞でした(系列の夕刊フジも?←未確認)。それが12日の朝刊。ウェブ上に載ったのは12日の未明のようです。しかし、本日発売の週刊文春と週刊新潮でこの件に関する記事が載っており、そのことは11日の時点でもわかっていたと思われます。

そもそもこの話は一部の棋士の間ではすでに公然のものとなっていたようです。例えば、渡辺明竜王は10日に書かれた明日から名人戦。で「明日は明後日の棋士会に備えて家にいるので」と棋士会が大変なものになるだろうということを示唆していたことが今読めばわかりますし、遠山雄亮四段は既報の通り・・・で「正直なところ、この1週間その事で色々な人と話し合ってきました。」と述べています。それだけ多くの人に話が伝わっていれば、どこかから漏れても不思議ではないでしょう。

もともと12日に棋士会で理事会が説明を行った後に記者会見をすることは既定路線だったようです。文春・新潮の記事もそれに合わせたものだったということなのでしょう。それよりも半日早く産経が記事にしたというのが今回の報道の実態だったと私は推測しています。ということは、ほぼ元の予定通りのタイミングで記事が出たということで、各社は基本的には先駆けはしなかった(あるいはできなかった)ということだと思います。

この件が名人戦が指されている最中に記事になることは、名人戦を楽しむファンとして違和感を覚えざるを得ませんが、名人戦の最中に情報が漏れたというよりも、名人戦の最中に棋士会が開催されることに根本的な原因があり、それが異常なのではないかと思います。

名人戦を巡る毎日・朝日の遺恨

名人戦はこれまで毎日→朝日→毎日と2度の主催社交代を経験しています。この歴史を振り返りたいのですが、あまり調べていないのであまりきちんと書けないと思います。関心のある方は関連の文献にいろんな話が出てきますので、調べてみて下さい。

将棋名人の歴史は江戸時代までさかのぼりますが、その後の最大の転換点は家元制度から実力制に変更した1935年でした。このときに主催社となったのが、現在の毎日新聞社の前身に当たる東京日日新聞でした。しかし、第9期からは朝日新聞に主催が移り(やはり契約金に関する不満が大きかったようですが、このあたりのことは調べていません、すみません)、それが第35期まで続きます。

異変の前触れは囲碁界の動きでした。囲碁の日本棋院1974年の暮れに、名人戦主催社をそれまでの読売新聞社から朝日新聞社に変える決定を下します。これによって囲碁名人戦の契約金は大きく上がりました。読売新聞社はこれに反発しますが、結局はあきらめ、朝日新聞の名人戦をさらに上回る額で新たに棋聖戦を創設。こうして囲碁界は大きく収入を増すことになりました。

これを見ていた将棋界は、じゃあこちらもということになったようです。もともと、将棋と囲碁は対等したがって契約金も同額にという建前論があったらしく、またそれまで契約金がほとんど上がっていなかったこともあり、かなり強気の交渉姿勢に出たようです。この交渉の経緯は名人戦@将棋パイナップルに詳しく記録されています。

これに関連して、河口俊彦七段の『大山康晴の晩節*1には次のように書かれています。

交渉のくわしい事情は明らかにされていないが、理事会と読売側とは、内々で名人戦を移す、との約束があったようである。それが棋士側に伝わり、総会では、読売に移すべし、との意見が大勢を占めた。私など平棋士は、話を聞いていて、読売に決った、と思っていた。

ところが、読売側との交渉が思惑通り進まなかった。そしてご破産となった。困ったのは理事会である。朝日には契約を破棄すると言い、読売に断られて、名人戦が宙に浮いてしまった。

直後に理事で大山とともに交渉にあたった米長は「このとき将棋連盟は、負け将棋の状態になってしまった」と言ったくらいである。

このピンチを救ったのが大山であった。毎日新聞に頭を下げ、名人戦を引き取ってくれるように頼み込んだ。

多分、長年毎日の嘱託をしていて築いた人脈が物を云ったのであろう。毎日新聞は、破格の契約金で名人戦を引き受け、王将戦もそのまま継続して主催する、との条件を飲んだ。

大山康晴の晩節

さて、実は話はこれで終わりではなく続きの話があります。全部は紹介しきれないので本で読んでいただきたいと思いますが、その中でも有名な「牛丼の恨み」は取り上げておきます。

朝日に対する反感は、若手棋士達に根強くあった。「牛丼の恨みを忘れるな」を合い言葉に結束した。

こういったところが、棋士らしい感情である。牛丼の恨み、といったって、たいしたことではない。

例年名人戦の第一局は、渋谷の「羽沢ガーデン」が対局場だった。今もそうだが、四十年くらい前は、超の上に超の付く高級料亭で、しゃぶしゃぶを売り物にしていた。当時、牛肉のしゃぶしゃぶなど、どんなものか見ることもできぬくらいの料理だった。だから記録係や連絡係などを頼まれた奨励会員は、美味しい料理を食べられるのをいちばんの楽しみにしていた。記録係は食事などについては対局者、立会人と対等にあつかってくれていた。

ところが、朝日の担当記者は、ある時期から、奨励会員の記録係を見くだし、食事のとき、宴会場から追い出し、女中部屋みたいなところで、牛丼を食べさせた。

こうしてプライドを傷つけられた記録係が大勢四段になっていた。しかも、みんなエリートだった。奨励会員のころの口惜しさを忘れているはずがなかった。

大山康晴の晩節

面白い話ですが、これには別の話もあります。田丸昇八段の『将棋界の事件簿―現役プロ棋士の実話レポート』には次のように書かれています*2

河口の指摘はなかなかユニークである。朝日との名人戦問題で、牛丼による担当記者への恨みから反対票を投じたというのは実際にあったかもしれない。食べ物の恨みは恐ろしい、と昔からよく言われている。

別室で記録係に牛丼を食べさせたという朝日の将棋担当記者は、「竜騎兵」というペンネームで観戦記も書いた田村孝雄さん。歯に衣着せぬ物言いの人で、一流棋士とも対等に話をした。そんな豪快な性格は棋士たちに意外と人気があった。その一方で奨励会員に対してはやや横柄だった。

ただ田村さんを弁護するわけではないが、牛丼の件はそれなりの事情があったと思う。羽沢ガーデンはもともと旅館ではない。対局者や関係者の部屋を割り振ると、記録係の部屋を用意できない場合があり、記録係が対局場から日帰りすることはよくあった。1日目の指し掛け後、翌日の通いがあるので記録係は早く帰したい、との理由ですぐ食べられる牛丼を出したともいえる。2日目の終局後は、記録係は棋譜や駒などを将棋会館に持ち帰る任務が残っていた。また大先輩の棋士や大人の関係者が多い宴会場で、記録係の少年がぽつんとしているのはかえっていづらいのではないかとの考えもあったに違いない。なお地方の対局場では、記録係は対局者や関係者たちと一緒に会食した。

実は、私も奨励会時代に羽沢ガーデンの別室で牛丼を食べた経験があるが、宴会場に出られないことに腹は立たなかった。金がない少年にとって、その牛丼は立ち食いの牛丼とは比べられないほど美味だったからだ。

将棋界の事件簿―現役プロ棋士の実話レポート

こちらの引用もこのくらいにしておきます。物事にはいろいろな見方があるということでしょう。

とにかく、このようにして名人戦は朝日から毎日に移りました。そのあおりで1976年度の順位戦がなくなるという異例の事態となったりしたものの、このときから現在まで名人戦・順位戦は毎日新聞社主催で行われてきました。すでにそれから30年近くが経とうとしていますけども、このときの遺恨はまだ残っているのでしょう。

名人戦以外の棋戦

名人戦が朝日から毎日に移る前、毎日新聞は王将戦を主催していました。毎日が名人戦を引き受けるにあたって、王将戦も継続することが条件となっていました。といっても、一つの新聞に2つの観戦記を載せるのは難しかったことから、王将戦は毎日新聞の系列のスポニチが引き受けることになり、現在はスポニチと毎日の共催という形になっています。王将戦の創設は1950年。現在の竜王戦のルーツにあたる九段戦と同じで、名人戦に次ぐ古い歴史のある棋戦です。ただし、現在の契約金額はタイトル戦の中では最低額(推定)で、格が低く見られているようなのが残念なところではあります。

今回、毎日新聞はだいぶ怒っているようですが、その勢いで王将戦もやめると言い出すこともあるのかもしれません。そうであっても、王将戦は比較的安価なので別のスポンサーが見つからないかな、というのは将棋ファンとしての期待ですが。

一方、名人戦を失った朝日新聞は、その後しばらくアマ棋戦などで紙面を埋めましたが、1982年度に全日本プロトーナメントを創設し、さらに2001年度には朝日オープン将棋選手権に改組し挑戦手合い制としました。このチャンピオンである朝日オープン選手権者は、昇段規定やシード権基準で竜王・名人を除くタイトル保持者とほぼ同等の資格を与えられ、また賞金額も竜王・名人に次ぎ棋聖と同等程度(推定)の水準となっており、現在ではタイトル戦と呼んでも事実上差し支えないほどの権威を持っています。それでも朝日新聞社がタイトルの格を求めなかったのは、名人戦を取り返したいという欲求があったからなのか、と今回の事態を見て感じます。

仮に、今回名人戦が朝日に移った場合、朝日オープンがどうなるのかが大きな問題となります。朝日系列の日刊スポーツはすでに女流王将戦の主催社となっているため、王将戦のようにスポーツ紙に移すことは難しいと思われます。もし毎日新聞の記事にあるように朝日オープンがなくなるとすると寂しいですね。

毎日新聞の声明について

編集局長という立場からこのような声明が出るのは異例の事態ですね。将棋ファンとして私がまずはじめに注目するのは、見出しの「守ります」という部分です。読売や朝日は、紙面をみていて将棋を軽視はしていないという雰囲気が感じられたのですが、毎日新聞に関しては名人戦・順位戦をしっかり扱っているという以外の部分でよくわからないと感じていました。歴史的に名人戦・順位戦があるのでそれに関しては続けているけれども、それは実は惰性でしかなくて内心ではお荷物だと思っているのではないかと。しかし、編集局長という立場の人が明確に「守ります」と言明したことで、それは杞憂だったことが明らかになりました。そう言ったからには、あらゆる手段を尽くして守るのでしょう。そうでなければ記事で使われる言葉の重みがなくなってしまいます。将棋がそれだけの価値があると評価されたことは喜ばしいことです。

そうであるならば、日本将棋連盟は毎日新聞社に対して「長年お世話になっている*」と同時にお世話してきたことになります。観堂氏が書いたように、日本将棋連盟は毎日新聞社とともにタイトルを育ててきました。つまり、どちらかが依存していたのではなく、共存共栄で対等な関係であったわけです。

対等な関係の中での契約であれば、その契約を変更して自分に有利にしようと試みること自体は自由であり、責められることではないと私は考えます。「日本の伝統を大切にする将棋連盟が信義よりも損得を重視するのでしょうか。*」という文は、そのような契約の自由とは対立するものであり、実質的には朝日に対して資金面で対抗できない毎日の苦境を示しているようにも受け取れます。

しかし、自由だからといって(あるいは自由だからこそ)どうやってもいいというものではありません。まず、契約書に何が書かれているのかを吟味して、それに反することはできないことに注意する必要があります。ただ、日本将棋連盟ではそれはさすがに検討済みだと信じます。つまり、「連盟に通知書の撤回を求めます。*」と言われても、そうする法的義務を負わないだけの根拠があってやっているのでしょう。

名人戦の主催社を移すことが法的に可能だとして、問題はそれが本当に得になるのかどうかです。資金面で朝日新聞社の方が有利だとしても、毎日新聞社が重要なスポンサーである事実にかわりはなく、毎日新聞社の怒りを買わないにこしたことはありません。今回の文面を見る限り、事前の準備の不足により明らかに怒りを買っており、この点だけを取ってみても下手を打っているように見えます。

毎日新聞社にとって名人戦が重要であるとしても、1970年代に比べるとその重要度が下がっていることは明らかです。毎日新聞社に「名人戦をやめるなら将棋を載せるのをやめる」と言われたとき、日本将棋連盟は果たしてそれで構いませんと言えるのかどうか。私は無理だと思います。そうなれば、他にも将棋を辞める社も出てきそうに思います。そんな「負け将棋」は避けてほしいところですね。

そういうことで立場的には連盟より毎日の方が強いと思うのですが、ただ、この文章を見ているとやや感情的になっているようにも見えます。この観堂氏が何歳なのか知りませんが、30年ほど前から毎日新聞社にいる人だとすれば、前述のような遺恨を思い出して冷静さが幾分失われたということもあるかもしれません。もう少し落ち着けば、将棋を全部やめるというような極端な主張は出る余地はなくなって、お互いに歩み寄れるのではないか。そんな風に期待します。

ファンの利益になるように

こういう争いを見ていて感じるのですが、当事者の誰も「ファンのためになるように」ということを(建前論としてすらも)言わないわけです。「将棋ビジネス」考察ノート:本の紹介;『将棋界の事件簿』の<1>で触れられているようなことが今回も見られるのかと思うと幻滅します。

契約金の多寡にとどまらず、自分のところで名人戦を扱うときは紙面でこんな風に扱いますとか、ネット上でこんなサービスをしますというような方面で競争できないものでしょうか。将棋の普及を旗印にする日本将棋連盟にとってはもちろん、将棋を通じて読者の獲得を目指す新聞社にとってもまっとうな方向性だと思います。

それぞれの読者が払っている月何千円かのお金が分散して集積する過程で、ファンの声は濾過されてなくなっていくように見えてしまいます。

棋士の交渉のやり方

毎日新聞に対して、

来社した中原誠・将棋連盟副会長は「長い間お世話になり、感謝している。名人戦の運営には何の問題もなく、あのような通知書を出して恐縮している」と切り出しました。

将棋:「毎日の名人戦」守ります 編集局長・観堂義憲

読売新聞に対して、

西村一義専務理事によると「読売新聞社主催の竜王戦を最高棋戦とする方針に変わりない」という。

将棋名人戦の主催紙移行問題、連盟が棋士に方針を説明

なんというか、いろんなところで言質を取られているという感じがします。棋士は経営の素人ですが、交渉に関しても素人ということではないかと思います。まあ当たり前ですが。

竜王戦との関係

もし名人戦の契約金が上がると、竜王戦の契約金額を超える可能性が出てきます。竜王戦は現在「将棋界最高のタイトル」ということになっているわけですが*3、それは将棋界で最高の額のお金を出しているところから来ているという話だったと思います。そうなると、名人がそれを上回れば今度は名人が最高という話になってきそうにも思えます。

実際のところは、「朝日新聞の提示額は、名人戦が3億5500万円、臨時棋戦4000万円、普及協力金1億5000万円の5年契約。*」ということで、「普及協力金」(ってなんだかわかりませんが*4)を除いた純粋な棋戦契約金の額は竜王戦を越えないのかもしれません。そうすると、あいかわらず竜王戦が最高という理屈を維持することが可能になります。

4月14日追記:読売新聞14日付朝刊の記事によると、読売新聞社の竜王戦契約金額は3億4150万円だそうです。上で書いた推測は全くの見当はずれでした。申し訳ありません。

情報公開」について

ところで、本日付のさわやか日記で次のような記述がありました。

名人戦主催についての情報を正式にオープンにしました。
棋士会は約80名参加。関東の現役棋士の大半が参加。
全ての折衝は渉外担当の中原副会長がやり、最終責任は私も一緒です。
2時間半の活発な討議でした。しかし、本音を言うことを何か控えているような、避けているような氣がしました。
質問した方も、応答する理事側も、もっと激しい討議を期待していたのではと思いました。

さわやか日記

情報をオープンにしたと書いてありますが、日本将棋連盟の公式サイトには特に何も掲示されていません。思うのですが、米長邦雄永世棋聖が情報公開と言うとき、それは世間一般への公開ではなく、理事会から他の棋士への公開なのではないでしょうか。そう考えると納得できます。

*1:関係ありませんが、今月初めに新潮文庫で文庫化されています。

*2:なお、この話の舞台となった羽沢ガーデンは2005年12月18日をもって閉館しています。

*3:竜王と名人はどちらも最高のタイトルらしいですが、竜王と名人の両方を獲得した棋士は「竜王名人」と呼ばれるなど竜王が上とされる場合があります。

*4:建前を述べれば、日本将棋連盟は将棋の普及を目的とした公益法人ですから、その支出はすべて将棋の普及に使われるはずで、新聞社が日本将棋連盟に支払うのはすべて将棋の普及に協力するためのお金と言えるはずです。

歩兵歩兵 2006/04/14 23:38 はじめてコメントさせていただきます。
4/14の23:30現在は「経緯」が連盟のページに出ていますね。
竜王と名人では棋士番号が若い(小さい)棋士のほうが上なん
でしたっけ?

mozuyamamozuyama 2006/04/15 00:40 毎日新聞の記事を見ていたら、名人位は「将棋界至高のタイトル」なんだそうです。竜王は「最高」で、どちらが上かというと連盟としてはそれはなるべくはっきりさせないでおきましょうということではないかと思います。連盟サイトの紹介では竜王と名人では棋士番号が若い(プロ入りが早い)方が先になりますね。それ以外に何かあるかどうかはよく知りません。「経緯」については14日付で書きます。

2006年04月12日

[] 名人戦順位戦を毎日から朝日へ移籍 日本将棋連盟理事会方針

名人戦第1局の最中ですがこんなニュースが。先行きがどうなるか、情勢は不透明のようです。

ここまでが12日午後に東京で行われた棋士会前のニュース。棋士会後に朝日・毎日を含めて各紙から記事が出ました。13日追記:リンクを追加しました。14日:さらに追加しました。15日:さらにさらに追加しました。

この件については明日まとめたいと思います。13日追記:名人戦契約問題まとめなどいろいろをどうぞ。

本題から外れますが、棋戦契約金の額が明らかになったのは特筆すべきことですね。

出席者によると、朝日新聞の提示額は、名人戦が3億5500万円、臨時棋戦4000万円、普及協力金1億5000万円の5年契約。毎日新聞の現在の契約金は3億3400万円。

朝日新聞は、現在主催している朝日オープン選手権(契約金約1億3500万円)をやめる提案もしており、普及協力金などがなくなった場合、6年後には連盟の収入は約1億1000万円減る計算となる。

将棋:名人戦主催を毎日から朝日に移す提案 日本将棋連盟

4月13日追記:「将棋ビジネス」考察ノート:情報量がどんどん貧困になっていく!⇒訂正あり!によれば、平成13年度までは各社ごとの契約金の額が事業報告書に記載されていたということですので、棋戦契約金の額は特別に秘密にされるべき数字ではないのかもしれません。

4月17日追記

中原誠永世十段が記者会見の場で各社の契約金額を明らかにしたということです。

  • 名人戦:3億3400万円
  • 竜王戦:3億4150万円
  • 棋聖戦:1億4650万円
  • 王位戦:1億2380万円
  • 王座戦:1億0960万円
  • 棋王戦:1億0351万円(前期分)
  • 王将戦:7800万円
  • 朝日オープン:1億3480万円

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/12 14:21 将棋連盟は、あんまり金につられたような動きに終始すると、手痛いしっぺ返しを喰らう可能性もある気がします。
 利益よりは、新聞社の面子や横並び体質のおかげで各社とも棋戦を存続させてるという面が大きいわけで(気にしない夕刊紙は、東スポやゲンダイが囲碁将棋どころか詰将棋さえ載せなくなっていった)、それを連盟が自ら崩せば、「よく考えたら、こんなのなくてもいいよな」とか、「囲碁か将棋か片方だけでもいいよな」とか覚られたら薮蛇でしょう。契約金という古色蒼然たる金の得方しか思いつかないのでは、情けなくないですか?

tomozotomozo 2006/04/12 23:01 連盟が金に釣られたとするならジュンマさんの意見は正しいと思いますが真相はどうでしょう? ひょっとしたら先に毎日が契約金引き下げを要求したかもしれませんし、王将戦の返上を申し出たのかもしれません。真相は二社の偉い人のみが知るところではないでしょうか。
またタイトル戦は無料ネット中継が世の流れですが最大棋戦の名人戦でこれがないことはファン層拡大にマイナスであることは否めません。そういう観点を考えればお金だけが問題ではないということも考えられます。報道内容を鵜呑みにして今回の行動の真意を推測することが騒動の本質に迫っているのかどうかは微妙だとも思います。

mozuyamamozuyama 2006/04/12 23:16 理事会や各新聞社がどのようなシナリオを描いているのかまだよくわからない部分が多いですね。理由を付けて主催社を変えること自体は責められないとは思いますが、金銭的でない面を含めて結果的にマイナスになることはないのかどうかということと、そもそも法的にOKなのかという点が問題になると思います。ファンにメリットのあるような結果になってほしいですね。

ぼー松ぼー松 2006/04/12 23:45 米長会長の日記を見ると、以前から彼の中でのプライオリティは読売>朝日>毎日でしたから、連盟側から毎日に対して不満な点もあったのではないでしょうか?

ン・ジュンマン・ジュンマ 2006/04/13 13:53 棋譜の囲い込みについていえば、確かに名人戦と王将戦=毎日のやり方には問題があると思いますけど、もともと著作権を主張してオープン・リソースにしてこなかったのは連盟そのものですからねえ。「棋譜」が一番大事という発想自体が時代遅れということでしょう。「新聞棋戦」的発想をどう改革するかというのは、なかなか難しいでしょうけど、考えるしかないですね。毎日や読売はそれぞれ、大型棋戦主催という、いわば「無駄な出費」をいかに回収するか、連盟のかわりに努力してきたのだと思いますよ、一応は。


余談ですが、米長氏と朝日新聞はイデオロギー的には水と油なはずなのに、こうして銭金絡みでは結託するというのは、やっぱ好きになれません(笑)。



ところで、囲碁では「テレビ棋戦」「新聞棋戦」以外のビッグマッチ(メインのスポンサーとメインの報道媒体が別個)が複数存在しますが、将棋だと、JT杯くらいですか、今は。昔はIBM杯とか富士通オープン(今は達人戦か)とかキリン杯ペア将棋とかあったはずなのに・・・てなとこですね。

そういったイベントを再度開拓していく際の指針を考えるに、

・全棋士参加棋戦である必要はない。予選(ノーギャラ)はあってよいが、基本的に一握りのトッププロと、女流やアマの強豪少数の闘いを呼び物にすればよい。

・日本と違って、他の国では、ゴールデンタイムのテレビ番組として囲碁やチェスが有力コンテンツたりえているはずなので、国際交流にもっと積極的に活路を求める。


要は、国際的基準でのトーナメントプロを将棋界でも作らないと、てな感じですね、私の言いたいのは。今後それで食えない棋士が大半と化すとしても、むしろその方が正常な姿で、普及を主業務にすればいいんですよ。今のように専門棋士と指導棋士に制度的に分かれていて、弱いトーナメントプロが月給(安いにせよ)で食えてる方がおかしい。

>ひょっとしたら先に毎日が契約金引き下げを要求したかも>しれませんし、王将戦の返上を申し出たのかもしれません。

朝日に名人戦が移って、毎日が代替棋戦を主催せず、王将戦もケツをまくって返上する可能性もあるわけでしょうか。そうしたら、トータルでは連盟の算盤勘定はマイナスになるわけでしょう。

tomozoutomozou 2006/04/13 19:57 どうも言葉足らずで私の真意が伝わってないみたいですね、すいません^^;
連盟が金儲けで朝日を選択したのではなく、将棋のタイトル戦から手を引きたい毎日が逆に劣悪な条件をちらつかせ、連盟から朝日乗換え発言を引き出させたということはなかったのでしょうか? といいたかったのです。
となると、連盟は金儲けで朝日を選択したわけではなく、止む無く毎日を見限ったということになります。毎日にしてみたら自分たちを良い人に見せつつ多額の契約金を今後、別事業に振り分けることができ、文字どおり一人勝ちです。
また、さらに邪推すればタイトル戦をもてあました毎日が朝日に「名人戦を買ってくれないか」と持ちかけたことも考えられます。実は新聞社同士というのは裏では仲がよかったりもするのです。そうなると知らぬは連盟ばかりということにもなります。
まあ、毎日のサイトでは毎日が不満を表面していますから現実にはその可能性は薄いと思いますが、表向きの報道以外の要因が働いている可能性がまったくないとは言い切れないのではないでしょうか。

mozuyamamozuyama 2006/04/14 00:25 ぼー松さんのおっしゃるのは、3月18日(土)20時26分28秒付日記のことだと思います。一般的に米長永世棋聖の日記は額面通り受け取ると誤解につながることがあり、特定の解釈が一見妥当に見えてもそれに飛びつくのは慎重になるべきだと考えています。当人の心の中は当人しかわかりません。
ン・ジュンマさん、普及を主業務にという点は全く賛成で、現状でそれで食べていけないこと(あるいは、これまでそうして食べていけるような基盤を作ってこなかったこと)が様々な歪みにつながってきたと思っています。関係者の努力でこれからいい方向に行けばいいと思っているのですが。
tomozouさん、やはりその線は薄いように思います。編集局長名であそこまで強く出た以上、毎日新聞社は名人戦を失うことに関しては最大限抵抗するでしょう。本当にいらないのならもっと簡単なやり方があったと思います。

yukiyuki 2006/04/14 12:54 瑣末なことで恐縮ですが、棋士会というのは毎月行われている定例の集まり。「名人戦の最中に開かれるのが異常事態」という分析は的を射ていません。

mozuyamamozuyama 2006/04/15 00:44 13日付で書いたことの話ですね。名人戦の最中に棋士会があったら、少なくとも名人とその挑戦者は参加できませんし、棋士会に参加する棋士は名人戦会場に行けませんし、それでいいのかなと思うことに不自然さはないと思いますけども。あるいは、棋士会はそれほど重要な会合ではないというご趣旨でしょうか。

yukiyuki 2006/04/15 13:01 誤解を恐れずに書けばご推察のとおり、棋士会はそれほど重要な会合ではないという趣旨です。関東の棋士会の場合、通常の参加者は所属棋士の2〜3割程度。そこで何かが決定されるというような性質の集まりではなく、たとえれば国会における施政方針演説とそれに対する質疑応答のやりとりのようなものです。ですから、棋士会の日にも(多寡はその都度違いますが)毎月、対局は何局もついています。出席したくて出席できなかった棋士は、同僚から後で内容を聞くというだけのこと。だらだら書いてしまいましたが、要するに棋士会は意思形成の場という位置づけよりは、効率のよい情報収集手段としてのワン・オブ・ゼムというくらいが、個々の棋士の認識に近いはずです。

mozuyamamozuyama 2006/04/15 23:30 将棋会館で行われる普通の対局と地方で行われるタイトル戦は違うと思うわけです。現地に行って勉強したいと思う棋士も多いでしょうし。それに、少なくとも今回の棋士会は重要でしたよね。

2006年04月09日

[] NHK杯囲碁で大逆転

本日放送されたNHK杯テレビ囲碁トーナメント中野泰宏九段対石田芳夫九段の対局で大逆転劇がありました。

これは本当に伝説レベルの大ポカですね。将棋で言うと「勝勢で二歩」よりひどいと思います。

[] 不成のあるばか詰

詰将棋パラダイスで定期的に出題をしている九州グループのフェアリー部門ということで、ウェブ上でばか詰の作品展を行っています。今回のテーマは「不成三種以上」。普通の詰将棋で不成といえば打歩詰がらみが多いですが、ばか詰の場合は詰みの邪魔にならないように受方が不成を選ぶとか、受方の玉が移動する邪魔にならないように攻方が不成を選ぶとかは普通に出てきます。しかし、作ってみてわかったのですが、三種となるとかなり難しいですね。

そんなわけで今回はこれまでで一番解くのが簡単になっています。手数が短い作品が多い上に、不成が3回以上でてくるという大ヒントがありますので、解けたら解答を送ってみてはいかがでしょうか。私も1つ出していますがやはり簡単です。

[] JEWEL BOX #01 解答発表

4月8日フェアリー詰将棋の中編(16手〜49手)に絞った作品展JEWEL BOXの第1回の解答が発表になりました。私はきちんと解ききれなかったのが悔やまれます。

私の出した図は、ルールで誤解を招く問題作となってしまいました。申し訳ありませんでした。解答もそうですし、いろいろな意味気合が必要なようです。

とはいえ、全体としては中編らしい作品が集まって意義のある作品展になったと言えます。次回以降も楽しみです。

[] アンチキルケ作品展

アンチキルケ作品展の第6回解答発表と第7回出題が行われました。たくぼんさん、いつもおつかれさまです。なお、並行して掲載されていたPWCばか詰作品展は分離して出題されることになりました。

第7回は、PWCや長編がないこともあって、最近ではかなり易しいセットだと思います。私は今回も短編を1つ出しました。

第6回の自作は高評価で驚きました。ありがとうございます。コメントにある「玉の斜め後ろに桂」というのは、自殺系詰将棋での話ですね。自玉の頭を守ることで、前方からの飛び道具での詰みなどを効率よく防ぐことができます。ばか系の場合は玉が動きやすいのであまり意味はないように思います。今回の図では44桂は36を守る意味合いの方が強いです。(例えば、47桂 46玉 24角 35金 同桂/29桂 36玉 46金 26玉 36金 のような詰み筋を防いでいます。)

[] 小林裕士五段が六段に昇段

4月5日に行われた王位戦挑戦者決定リーグ白組で小林裕士五段が勝ち、五段昇段後120勝を挙げて六段に昇段しました。これで王位戦リーグで2勝目ですから、昇段だけではない意味のある白星となりました。

これまでは昇段があったら日本将棋連盟からのお知らせに記載されることになっていたのですが、今回の昇段は記載されていません。

五月兎の赤目雑感 : 将棋大賞 敢闘賞 佐藤康光は初受賞か?では別の誤記が指摘されています。サイトが長年継続すれば担当が変わることが出てきますから、重要なのは人が変わっても質を落とさないようなシステムを作ることです。組織の維持というのはそういうことだと思います。(ただ、敢闘賞については、リンク先で指摘されているように賞の名前が同じでも前と後では別扱いということもないとは言えないのかもしれませんが。)

そういえば今気付いたのですが、将棋大賞の結果が棋士紹介ページに反映されていないですね。(女流棋士会のページは更新されています。)

4月16日追記:

日本将棋連盟のサイトでは訂正されたものの、NHK囲碁将棋ジャーナルでは「初受賞」のまま放送されてしまいました。

5月3日追記:

5月2日発売の将棋世界6月号の記事では佐藤康光棋聖の敢闘賞は「3年ぶり2回目」となっていましたが、一方で次のような記述もありました。どういうことなのかわかりません。

また敢闘賞は従来と名称が同じだが、今までの三賞とは別のものとして今回より新しくカウントされることになった。

[][] プロ編入試験実施案

プロ編入制度 「若手と五番勝負」案の件について、将棋世界5月号257頁の角健逸編集長の「将世三昧」で次のように触れられていました。

3月15日実施案の大枠について中間報告があった。この案を元に5月の棋士総会で決定する。

まず試験の対象者については、アマチュアの主要六大タイトル、すなわちアマ名人戦・アマ竜王戦・朝日アマ名人戦・アマ王将戦・赤旗名人戦・支部名人戦で過去1年間の優勝者とする案と、プロ公式戦に出場しているアマチュアで、規定の成績をみたした者という二案が示された。

実施に際しては、その片方になるのか両方になるのか、あるいは規定の成績のライン等もまだこれから詰めていくところである。

ただ、試験方法は「若手プロ5名と対局し、3勝すれば合格」という案でほぼ固まっているという。これは瀬川四段の六番勝負の結果が3勝2敗だったことと無関係ではあるまい。編入試験を実際にやってみたおかげで、このくらいが適当という線が出てきたのではないだろうか。

また現段階では何とも言えないが、女流棋士についても同様に、プロ編入試験を実施するかどうか検討するとのこと。これは瀬川六番勝負の最中に米長会長が言及していた件だ。

プロ編入制度途中経過についてではA案・B案となっていますが、この両方という可能性もあるようです。

試験方法が「若手と五番勝負」というのは間違いないようですね。これについては「若手」の選び方が問題になりそうです。たいていの若手は順位戦に参加していますから、勝ち越せるのなら順位戦で戦える実力があるという結論になると思います。フリークラスにしか入れないのであれば、フリークラスの棋士とも対戦させるべきでしょう。

[] 菊池寛の随筆

玄人と素人との棋力を格段に違つてゐるやうに云ふ人がある。素人の初段は、玄人の初段とは二三段違ふと云ふのである。しかし、自分は思ふに玄人と素人との力の違ひは、たゞ気持の問題で、一方は将棋が生活のよすがであり、その勝敗が生計に関し、立身に関すると考へるからだと思ふ。素人だつて、玄人同然の必死の気持で研究し対局したならば、さう見劣りするものではないと思ふ。

菊池寛 将棋

というあたり、今読むと先見の明があるように見えますね。

青空文庫には関根金次郎の文章も収められています。

作家別作品リスト:関根 金次郎

[] 4月14日に何かを発表

ニラバナ 投稿者:米長邦雄 投稿日: 4月 6日(木)17時23分9秒

ニラバナは白くて清々しいです。

とにかく将棋会館へ。
午前中はNEC本社の方と瀬川四段の元勤務先の社長がご挨拶と相談に来られました。
これは4月14日に発表する予定です。

さわやか日記

瀬川晶司四段がこの3月まで働いていたのがワイイーシーソリューションズですが、何があるんでしょうね。

[] 畑正憲と将棋

その後ムツゴロウ氏は興味が将棋にシフトしてしまったとも聞く。

[/hachi/20060406#p5:title=http://d.hatena.ne.jp/hachi/20060406#p5]

というのを読んで検索してみたら次のようなページが見つかりました。(最下段)

この人は得体の知れない人ですが、将棋よりは囲碁の方が得意なようです。

私は室内で競うゲームの類が大好きであり碁、将棋、麻雀トランプなどなど、一度、盤や卓の前に座ったりすると、時間を忘れて熱中してしまう。碁はアマの六段、将棋は初段、麻雀はプロ九段の免状をいただいている。

第40期王位戦特集

ムツゴロウの碁好き六好き』という本も出ています。

[] 「600円」という数字の意味

将棋ファンがどのようにお金を使うかというのは興味深い話題です。私の場合は、えーと、詰将棋パラダイスを定期購読しているほかに将棋世界週刊将棋を頻繁に購入するのと、近代将棋とNHK将棋講座テキストをときどき購入するのとを合わせてざっと年間3万円くらい?と、単行本が古本も含めて2万円くらい?。それ以外の支出はほとんどないので、年間5万円くらいでしょうか。って、思ったより多かったです。

少し話がそれるのですが、注目したいのはこれとは別のことです。この600円という数字ですが、上のリンク先の言葉を借りれば「トリック」があるわけです。統計的に言えば、費用の分布が「ほとんどが0円の中に少数の比較的大きな金額を使っている人がいる」というばらつきの大きなものになっていることにより、誤差が大きくなりがちであることに注意が必要です。手元にちゃんとした資料がないのですが、レジャー白書のデータによると消費金額はおおむね横ばいだったのですが、実は1999年に突然数字が3倍になったことがあります。これはこの年に特殊な出来事があったのではなく、調査対象の中に将棋関係で大きな支出のあった人がたまたまいたのでしょう。このように誤差の大きなデータを取り扱う際には、その数字にそのもの注目してもあまり意味はありません。他のレジャーと比較して小さな金額しか使われていないというような傾向を読む程度にとどめておくべきでしょう。

もう一つ注意すべきことはこの「費用」とされるものの定義です。「年間平均費用」の定義は「ある余暇活動をおこなった人の1人当たり年間活動費用の平均」とされているだけで、どこからどこまでが費用に含まれるのかははっきり書かれていません。おそらくそれは質問紙上でも同じで、解釈は各回答者に委ねられているのだと思います。ここで費用は2つの項目に分けられており、一つは「用具等」、もう一つは「会費等」となっています。将棋の場合、前者の典型は盤駒、後者の典型は将棋道場で払うお金と思われます。そうすると、雑誌・書籍の購入費用はどちらにも含まれないのでデータに表れていないという可能性も否定できません。つまり、将棋の「活動」を行う際に直接使われるな出費ではないということです。

このあたりのデータの解釈は「レジャー白書」をちゃんと読んではっきりさせる必要があると思っていますが、今のところちゃんと手を付けていません。

[][] 中継での負担の質

将棋ウェブ中継でサーバの負担がという話をよく聞くわけですが、実際のところどのあたりがボトルネックになっているのかは外から見ているとよくわかりません。

2005年3月11日付の日経産業新聞の記事によると、名人戦中継について次のようにあります。

無料中継には品質の問題もあった。名人戦は〇三年春まで約十年間にわたり無料中継していたが、投了直後には十万〜二十万人の利用者が殺到。配信サーバーの処理能力や回線容量が追いつかずほとんどの人が中継を見られない状態が続いた。無料サービスゆえに、ピークに合わせた十分な設備投資はできなかった。

「そんなにもうけたいか」「将棋の普及に水を差す」――。月額五百円の有料化に踏み切った時、ネット掲示板の将棋関連コーナーには同社を批判する書き込みが相次いだ。この年の有料中継の利用者は、無料時代の百分の一程度となる約千人にとどまった。

もちろん手をこまぬいていたわけではない。有料化にあたっては、毎日新聞社グループでネット中継用設備を管理する東京データネットワーク(東京・千代田)のサーバーや通信回線を増強、利用が殺到しても中継が続けられる体制を整えた。「お金を取る以上、利用者に迷惑はかけられない」(技術管理部の河野亮氏)

大量のアクセスが殺到したときにその負荷にどう対処するかという部分には特有のノウハウがあり、それを駆使するかしないかで費用がだいぶかわってくるという話を聞きます。費用をかけすぎればそれが利用料金に跳ね返ってくるわけで、技術面での蓄積はそのような重要性を持っていると言えます。将棋中継ではどの程度の技術が使われているのでしょう。

将棋対局の中継の特徴として、有利な点としては次のようなことが挙げられます。

  • 棋譜の配信はデータ量が少なくてすむ。
  • 対局終盤のピーク時を除けばアクセスが殺到することはほぼ考えられず、いつアクセスが増えるかも数時間の誤差で予測可能。

アクセス殺到といっても実際にアクセスしようとしている人の人数はそれほど多くないのではないかと思います。見ている人は一度つながらなくなると習慣的に再読込を繰り返してしまい、それがかえって混雑度を増すという悪循環をどう脱するか。それが快適な環境を保つ鍵だということです。例えば同一の接続元からの一定時間内のアクセスをサーバの側で制限するような仕組みを作り、そういう仕組みになっているということを十分知らしめられれば、そういった再読込による悪循環をある程度抑止できるのではないかと思うのですが、実際にどういう状況なのかわからないので有効ではないかもしれません。

鉄人68号鉄人68号 2006/04/10 02:01 本日のNHK杯は将棋の方も面白かったですね。囲碁は見なかったのですが、ダメに関してはNHK杯ではどのようになっているのでしょうか。一般的にはダメしか残っていない場合には一方が終局宣言をして、相手も同意すれば終局となってダメを詰める行為も地の整理の一環として行なわれるものと解釈しているのですが・・・勿論この場合には終局しているのでダメを詰めるのも交互である必要は無く、石を取られることもありません。今回の場合は有効手が無いにも拘らず終局とせずにダメを打ち続け、その結果とられてしまったということなのでしょうか。なお相手が終局に同意しなければパスをすればよいのだから、自らダメを詰めて取られてしまったと言うのは何とも不思議な気がします。

hh 2006/04/10 13:29 そうですねぇ。私が碁を打っていたのはずいぶん昔のことなので記憶に自信がありませんが、ダメ詰めの段階ではお互い対局は終わっていて、「こちら先にどうぞ」という感じで相手のダメ詰めを待ったり、察しが悪い相手には指で指し示したこともあったような気がします。
そういう意味では、あの石を抜くのもどうかという気はしますね。

h 2006/04/10 13:32 ちゃんと盤面を見返してみたら、まだ完全にダメ詰めの段階には入っていませんね。これはさすがに自業自得かと。

梅太郎梅太郎 2006/04/10 22:28 このときは対局を見てないのですが、NHKでは記録係が「まで終局となりました」と宣言してからダメ詰と「区画整理」をしていたと思います。この終局宣言がある前だったら、まだ勝負は続いていると見るべきでしょうし、終局宣言が両対局者の合意の下に行われているとすれば、その後のダメ詰は勝負の範囲外ということになるでしょう。かなり前のことで記憶があいまいなのですが、終局宣言後のダメ詰で詰め間違いを相手に指摘されて訂正していた光景を見た覚えがあります。

mozuyamamozuyama 2006/04/10 23:03 ヨセが終わってからダメを詰めるときにどの段階で終局となったかでもめたことが、タイトル戦で一度ありました。これは、片方が終局したと思い適当にダメを詰めていたときに、もう片方はまだ終局していないと考えてアタリになった石を取ってしまったものです。終局の意思表示があいまいだとこういうことが起きる可能性がありますね。
http://210.155.158.203/kisei.yomi/kisei/26th/game5.htm

ただ、NHK杯の場合は梅太郎さんの書かれたように棋譜読み上げの人が終局宣言をしますし、また秒読みが続いていればまだ終局していないと推定できますので、そういったトラブルが起きる余地は少ないと思われます。それに、今回の場合はまだ小ヨセがいくつも残っていたので投了以外では終局にはならない状況でした。2路下に打っていれば何事もなかったのですが、より大きく取り込めると錯覚してしまったのでしょう。単純なポカだと思います。

2006年04月05日

[] 将棋大賞 羽生善治三冠が14度目の最優秀棋士

2005年度の成績を対象とする第33回将棋大賞が3月31日に発表されました。選考会の模様などは来月発売の将棋世界に掲載されると思います。

これまでの殊勲賞・技能賞が廃止され、かわりに優秀棋士賞が新設されました。最優秀の次点という位置づけは変わりませんが、これによって真のトップ棋士にとって三賞は格落ちなので授賞しにくいというような風潮をなくすことを狙っているのだと思います。どうして敢闘賞だけが残ったのかはよくわかりませんが。

新人賞は年度最高勝率の佐藤紳哉五段。普通に強い棋士であまり新人という感じがなかったので、予想したときは考慮から外れていました。年齢的にはぎりぎりですが妥当なところかと。最優秀女流棋士賞が清水市代女流二冠でなかったのは意外でした。女流名人位は他のタイトルよりも格上みたいな話はないと思っていたのですが、年度後半の活躍の印象が濃かったということでしょうか。

升田幸三賞で後手一手損角換わりが受賞したのは遅すぎる気もしますが良かったと思います。ただ、誰が受賞すべきかは判断が難しいところで、升田幸三賞@将棋パイナップルでの選考委員のよみくま氏による書き込みによると、淡路仁茂九段か青野照市九段かで意見が割れたそうです。この戦法の生い立ちはよく知らないのですが、両者とも貢献が大きかったのであれば2人同時受賞でもよかったのではないかと思いました。この2人は今回特別賞の森下システムの発展にも関わっており複雑ですね。

[] 4月1日付昇段昇級など

4月1日付の昇段・昇級などが発表されました。

  • 松浦隆一六段 → 七段(フリークラス昇段規定により)
  • 畠山鎮六段 → 七段(竜王戦1組在籍・順位戦B級1組昇級により)
  • 橋本崇載五段 → 六段(竜王戦2組在籍により)
  • 山口英夫七段 → 八段(引退棋士規定により)
  • 野本虎次七段 → 八段(引退棋士規定により)
  • 安恵照剛七段 → 八段(引退棋士規定により)
  • 本間博五段 → 六段(引退棋士規定により)
  • 鈴木環那女流1級 → 女流初段(女流王将戦本戦入りにより)
  • 井道千尋女流2級 → 女流1級(女流王位戦リーグ入りにより)
  • 里見香奈女流2級 → 女流1級(女流名人位戦B級入り・女流王将戦本戦入りにより)
  • 室田伊緒女流2級 → 女流1級(女流王位戦リーグ入りにより)
  • 宇治正子女流二段 → 女流三段(女流棋士引退棋士規定により)
  • 高橋和女流二段 → 女流三段(女流棋士引退棋士規定により)

このほかに、公式発表がまだですが次のようなことがあるそうです。

[] 「米長哲学」追記

読売新聞編集手帳で「米長哲学」に長文の追記を行いました。

[] 詰将棋パラダイス半期賞

4月1日発行の詰将棋パラダイス4月号で2005年下半期の半期賞が発表になりました。

[][] 瀬川晶司四段が退社 プロ専念へ

瀬川晶司四段が3月31日ワイイーシーソリューションズを退社、4月からは純粋にプロ棋士として将棋に専念することになります。

ここのところ瀬川四段関連の記事はさすがに少なくなってきており、記事紹介のタイミングを逃してしまいました。

  • 1月19・20日発売のサンケイスポーツ「真実の日」コーナーに瀬川四段が登場しました。かなり分量が多く読み応えがありました。法学部を目指した理由が書いてあるのが目新しかったように思います。
  • 2月5日発売の「ビッグコミック オリジナル」の「子から親へずっと書きたかった私からの手紙」にも瀬川四段が登場しました。家族テーマということで他の記事とは違う切り口から書かれており面白かったです。

読む価値のある記事はこのくらいだと思います。それから、瀬川四段関連で3冊ほど本が発売になりました。

1月に日本将棋連盟から出版された『棋士 瀬川晶司―61年ぶりのプロ棋士編入試験に合格した男』は緊急出版的な色合いのある本で、瀬川四段のロングインタビューのほか、関係者のエッセイなどが掲載されています。200ページもない本で価格が1,680円というのはカラーグラビアがあるとしても割高感がありますし、急いで作られた本ですので、瀬川四段のインタビュー以外は特に期待していなかったのですが、それぞれの書き手の思いの熱さは伝わってきました。いろいろある中で、瀬川四段の幼なじみでもある渡辺健弥氏の文章と、藤井猛九段の自戦解説が面白かったです。

それから、個人的に記憶に残ったのは次の部分でした。プロ編入試験第1局の会場で野月七段が設営を手伝ったとき、奨励会時代にイベントの手伝いなどをした経験が生きたという話で、

その経験で、将棋ファンあっての将棋界と思うようになっていた。

棋士になってもその気持ちを忘れたことはないし、今後も忘れたくない。

棋士 瀬川晶司―61年ぶりのプロ棋士編入試験に合格した男

その気持ちが大切だということ。将棋界にもそういうプロがいるということがわかって救われる思いがしました。

瀬川晶司はなぜプロ棋士になれたのか』と『奇跡の一手―サラリーマン・瀬川晶司が将棋界に架けた夢の橋』は3月発売ということで、『棋士 瀬川晶司』を見た上で修正を入れられる時期でした。この2冊についてはまた後日。前者は比較的入手しやすくて、内容も普通にいい本だと思います。

4月9日追記

瀬川本 江戸ぐるめの日々によると、「たぶんもう少ししたら、講談社から決定版が出るはず*」とのことです。瀬川四段に関する図書がさらに出版されるのであればそれも購入します。

[] 「アマ竜王vs激指レポート

激指が清水上徹氏に敗れるの対局後のパネルディスカッションについて詳細なレポートが出ています。

「今の段階で時間無制限・スパコンを使うなどすればどこまでコンピュータ将棋は強くなるのか?」という素朴な質問も出されたが、これには鶴岡氏が「(今の思考速度から)100倍早くなれば、早指しなら名人・竜王と勝負できると思うが、序盤については速度向上が強さに直結しないので果たしてどうなるかはやってみないとわからない」と回答した。ただ松原氏は「チェス過去に専用コンピュータを使うプロジェクトが多数存在したが、将棋は今まで4CPUを使ったものが最高で専用ハードを使ったものがない」とも語り、「今が専用ハードにトライするラストチャンスかもしれないので、ぜひそういうプロジェクトをやってみたい」としてスポンサーの登場に期待する一幕もあった。

アマチュア竜王・清水上氏 VS 将棋ソフト・激指

たしかに、もう少しすると専用ハードを作るまでもなくプロに対抗できる時代がやってくると思われるので、専用ハードを開発するなら今しかないかもしれません。どういうことになるのか見てみたい気がしますが、やはり相当の金額がかかるんでしょうね。

[] 中倉宏美女流初段の愛車はハーレー

NMCA日本二輪車協会による中倉宏美女流初段のインタビュー。この4月からNHK杯の司会に起用され、注目度が高まりますね。

[] お気楽コンビラストライブ

3月29日「お気楽コンビ」終了へ ラストライブレポート。シークレットゲストが誰だったのかはリンク先でご確認下さい。

トーク終了後には、4月いっぱいで終了する「お気楽ブログ」に代わって室田1級・里見1級に井道千尋1級を加えた3人によるユニットプログラムが5月のゴールデンウイーク明けに始まる事が発表!され(井道1級には事後承諾?)ました。こちらもお楽しみに!

お気楽コンビラストライブ!

ということで、どういうことをするのか予想が付きませんが楽しみにしておきます。

[] 龍の利きがテーマの短編

今回は三谷郁夫氏の7手詰が紹介されています。龍の利きと角打ちのこのテーマは初めて見る方には鮮烈だと思います。

[] 詰将棋解答選手権に谷川浩司九段が出場したら面白そう

詰将棋解答選手権戦 宮田敦史五段が3連覇に関連して。

オフレコの話かもしれないが、おもしろいので書いておこう。この2日前、ある席で谷川浩司九段にお会いしたとき、「実は選手として出たいんですが……」という話をお聞きした。「宮田くんが毎回優勝というのは、ちょっと……」とおっしゃる。そうでしょう、そうでしょう。

谷川先生がどこまで本気かはわからないが、解答選手権が終わってから打ち上げの席で、この話を宮田敦史五段にふってみたら、「ぜひ谷川先生とやってみたいです」という答えが即座に返ってきた。もちろん真顔だった。

話だけで終わるのはもったいないような気がする。来年、どこかスポンサーがついてくれないだろうか。

若島正の読書日記

その対決は見たいです。ものすごく見たいです。

4月9日追記

寺尾さんからコメントでご教示いただいたのですが、4月5日付日刊スポーツに詰将棋解答選手権の記事が出ています。これによると、谷川浩司九段が次回出場予定だそうです。まだ予定ということだと思いますが、楽しみにします。

[] 関西奨励会トーナメント 水津隆義三段が優勝

3月29日に行われた関西奨励会トーナメントで水津隆義三段が2連覇を達成しました。

なおこの大会は通常の奨励会例会とは別に行われるもので、成績は昇段などには関係しません。プロになると順位戦を除く多くの棋戦でこのようなトーナメント形式が採用されていることから、奨励会のうちに経験を積んでおくことは有用だと思います。

[] 女流メイショウ戦記念対局

岩根忍女流初段の優勝で幕を閉じた第1回きしろ杯争奪 関西女流メイショウ戦ですが、4月29日に記念対局として岩根忍女流初段対有吉道夫九段の記念対局が行われることになったそうです。関西ではいろいろな企画が出ていて活気がありますね。

[] 『新・対局日誌【第一集】』の書評

yomoyomoさんによる書評。河口俊彦七段の対局日誌シリーズはおなじみですが、この第一集は中原・米長が活躍し羽生・村山がデビューした時代です。

[] スペリングコンテストで「shogi」

Chicago Tribuneの記事が別の新聞社に配信されたもの。元の記事は有料のようです。

記事の内容はシカゴでスペリングコンテストが行われたというもの。その最後の2つの単語が「shogi」と「philobiblist(愛書家)」だったそうです。たしかに日本語だとわかりにくそうですし、わかっても綴りにくいかもしれませんね。

[][] 「大改革」と公式サイト

まず3月29日日本将棋連盟デジタルショップメールマガジンが終了へについては、3月31日に「形は変わりますが、発行のほうは続けていく予定となっております」という声明があり、4月5日付で新たな担当者によるメールマガジンが送られてきました。結局、手続きなしで継続購読ということになったようです。

これは4月1日付に行われた日本将棋連盟内部での人事異動などに伴うもので、今年に入ってから米長邦雄永世棋聖は自身のホームページで「大改革」と謳ってきました。その中身とされるものが米長邦雄ホームページ将棋の話の4月1日更新分で「新しい組織図」と題して書かれています。このページに書かれたことは日数がたつと消えてしまうので、全体を引用しておきます。

新しい組織図

日本将棋連盟は職員が約50名です。4月1日付で大きく変わりました。先ずは理念を打ち出しました。
「我々は将棋に尽す、将棋を愛する者の集まりである」
これはプロも女流棋士も職員も同じです。

今回は次の四点が特徴です。

女性重視

10名が昇格しました。そのうち7名は女性。部下を評価するポジションの人は4名います。それ以前はゼロだったのです。

次いで子育て支援策。少子化の折、赤字団体も率先して職員を支援する。子どもの将棋ファンの増加は柱のひとつです。小学生のお母さん達に「将棋界は良い所」という印象を持ってもらえればと願っています。

○大異動

職員の能力を伸ばし、職場が活性化するためには部署を違える必要があります。新しい部署で人間が成長する。職員一人一人とじっくり話し合いをして、人事は完了しました。

退職者4名。契約社員も4名新参入です。

○将来の戦略

経営戦略本部を創設しました。ここは旧来の仕事や契約を見直す部です。将棋連盟本部がやるべきこと、やらなければならないこと、やった方が良いものは残す。そうでないものは外注もしくは廃止を打ち出します。

棋士への仕事の依頼の偏りがあるかどうかもチェックする。ごく一部の人間が声を出して反対しているようですが、会員も事実を知ってしまえば理事会は支持されると信じています。

○IT事業について

ホームページ作成や対局結果、記録(データ)等は穴をあける訳にはいきません。これは契約社員が担当。更に2人程必要に応じて増員を考えています。新しいことを始めます。これは「まじめな私」をお読み下さると大体のことが分ります。

将棋の話

まず、誰でも気付くと思うのですが、表題に「新しい組織図」とありながらどこにも図が書いていません。「特徴」が書いてあっても全体像が見えないわけです。米長永世棋聖のホームページでは米長節が読めれば十分なのでそれでも構わないのですが、公式サイトの方できちんとした説明をしてほしいものです。

「職員の能力を伸ばし、職場が活性化するためには部署を違える必要があります。」という部分は何を意味しているのかよくわかりませんでした。組織の改編を行ったということなのか、部署間の人事交流を活発にするということなのか。いずれにしても、あれだけ大きく出たのですからもっと具体性のある話があった方がいいと思うのですが。今回の件に関連する話は、窪田義行五段が触れていました。

IT事業については、「穴をあける訳にはいきません」とあります。しかし先ほど確認したところでは、棋戦結果のトーナメント表などが更新されていないようです。新年度の公式サイトは次のような状態になっていました。

  • 4月1日付昇段・昇級に伴う棋士紹介の更新がされていない。(5日になって更新されました。)(女流棋士会ではきちんと更新されていました。)
  • フリークラス宣言の棋士がいるのに公式発表がない。(毎日新聞の記事こまおと:4月1日付の昇段者(新四段を除く)は…によると、石田和雄九段伊藤能五段がフリークラス転出)(棋士紹介は5日になって更新されました。)
  • 久保利明八段が関西移籍なのに公式発表がなく、関西で棋士紹介が作成されていない。
  • 棋戦結果が更新されてない。(4月2日女流育成会など)(関西と女流棋士会では女流育成会のリーグ表を4月5日に更新。)

気付いただけでこのくらいありました。誤記などはこれまでもないわけではありませんでしたが、このように更新に穴が空いてしまうことはありませんでした。深刻です。おそらく引き継ぎがうまくいかなかったのでしょうけども、今後どうなるのか不安が残りました。

公式サイトの第一の役割は正確かつ迅速に情報を提供することです。それは公式ページにしかできないことですから。面白いページを作るというようなことまでは要求しませんので、とにかくそれだけは誰が担当者になっても欠かさずに更新を続けられるシステムを整えてほしいと思います。

[] 米長邦雄永世棋聖CS放送のテレビ番組に出演

米長邦雄ホームページスケジュールによると、米長邦雄永世棋聖がCS放送「日経CNBC」の「Y'S BAR」という番組に出演するそうです。4月22日(土)23:00〜24:00放送予定(変更の可能性あり)とのことです。

4月15日追記:評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」:米長会長と

[] Web駒音に削除以来フォーム

4月1日頃にWEB駒音削除依頼フォームが作られたようです。管理者に連絡を取る手段があれば特に必要なものではありませんが、あってはいけないというものでもありませんね。

[] 「脳を鍛える」

まともな記事です。読書は脳を鍛えるのか、将棋は脳を鍛えるのか。どうなんでしょうね。

*1フリークラス転出したのは窪田五段ではありませんので念のため。4月1日午後11時59分にアップロードしてエイプリルフールというのもどうかという気がしますが(笑)

寺尾寺尾 2006/04/06 23:08  谷川九段の次回の詰将棋解答選手権出場については、4/5付けの日刊スポーツで赤塚辰浩記者が署名記事で取り上げています。

mozuyamamozuyama 2006/04/08 00:35 ありがとうございます。調べてみます。

窪田義行窪田義行 2006/04/09 17:38 >4月1日午後11時59分にアップロードしてエイプリルフール
対居飛車最終盤に、狙い澄ました△1五歩を突かれた気分です(汗)。All Fool’s Dayの内にuploadしたかったですが、普段から簡潔な記述は不得手ですので「ネタ」も・・・

mozuyamamozuyama 2006/04/09 23:41 コメントありがとうございます。最初に読んだときは驚きましたが、タイミングも含めて狙いかと思っておりました。面白かったです。

窪田義行窪田義行 2012/03/04 12:26 >[■[将棋サイト] Web駒音に削除以来フォーム
亀さんで恐縮ですが、「削除依頼」が正しいと思いますのでご確認下さい。
当時からの連盟理事会と、Web駒音の確執がだらだらと続く間に、事態は対立軸を忘れさせる程の混迷へと突き進みつつある様な……

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