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2007年01月19日

[] 中将棋で「玉将+酔象VS玉将」は勝ちか?

中将棋はチェスと同様に持駒制がありませんので、対局が進行するにつれて全体の駒数が少なくなっていきます。最終的にお互いに玉将のみになればもちろん引き分けです。それでは、それ以外に駒が少しだけ残っているような局面で勝ち負けを読み切れるでしょうか、という問題を以前だいぶ考えていた時期がありました。一応の結論らしきものはずっと頭の中にあったのですが、書くのが面倒でずっと書いていなかったので、この機会に書いてみることにします。実は中将棋の引き分けルールには微妙な点があるのですが、ここでは将棋と同様に千日手は(連続王手)でなければ引き分けとして考えるとどうだろうかという話をします。盤面画像を用意していないため見づらい部分があることをご容赦下さい。

普通の将棋で持駒を使わないルールの場合

中将棋の話をする前に、準備として、通常の将棋で持駒を使わない場合にどうなるかという話をしておきます。余談ですが、木村義徳九段の『持駒使用の謎』の中で、持駒制ができる前は飛角なし持駒なしのルールの将棋が実際に指されていたという説が出てきます。この説が正しいかどうか疑問の余地は相当にありますが、それなりに普及しうる程度にはこのルールのゲームは面白さを具えているという判断が執筆時にあったというだけでも、この話をする上で特筆に値すると言えましょう。

指してみるとわかりますが、小駒の多い将棋で持駒が使えないとかなり地味な展開となります。単純に指しているとひたすら駒交換が進んでどんどん駒数が少なくなります。そして、最後には片方が玉だけになってしまうわけですけども、そこでもう一方がと金一枚のとき、有利な側は相手を詰ますことができるでしょうか?もし詰ますことができなければいつかは千日手となり、駒数が違っていても引き分けです。どうなるでしょうか。

答えは、「詰ますことが可能」です。

玉とと金をくっつけるようにしながら2枚とも下段に運び、その後は相手の玉の正面にもってくるようにします。相手は玉が中央にいる方が詰みにくいですから、例えばこんな局面になったとしましょう。(後手番の局面)

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 玉 と ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
後手番

最終的な目標は、後手玉を下段に追い込んで「頭と金」の形で詰ますことです。後手はそれを防ぐごうとしてと金の裏側へ回り込もうとしますので、正面をキープしながら追いつめていきます。

△4四玉 ▲4六と △3四玉 ▲3六と △2四玉 ▲2六と
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ と ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=6  ▲2六と  まで
後手番

2筋まで来ると後手はこれ以上回り込めないので△3四玉と戻るしかありません。ここで、▲5五玉がぴったりの手となります。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=8  ▲5五玉  まで
後手番

こうなると後手玉は後ろへ下がって左辺を目指す以外の選択肢はありません。

△4三玉 ▲3五と △5三玉 ▲4五と

こうして最初の図から後手玉を一段押し込めることに成功しました。あとはこれを繰り返していけば良いわけです。

中将棋で「玉将+と金VS玉将」は勝てない

これと同じことを中将棋で考えてみましょう。中将棋の駒の動かし方は以下でも簡単に説明しますが、詳しくは下記ページをご覧下さい。

中将棋でも歩兵は成るとと金になります。動かし方も同じです。

この場合、将棋と中将棋で最も違うのは盤の大きさ。中将棋の盤面はたてよこ12ますと、だいぶ広くなっています。この広さが追い込みの難易度に大きな差をもたらします。同じように考えてみましょう。下図まで後手玉将を追い込めたとします。(後手番の局面。盤面の下の方は省略します。)

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 と ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番

ここから先ほどと同じように進めてみましょう。

△5一玉将 ▲5三と金 △4一玉将 ▲4三と金 △3一玉将 ▲3三と金
△2一玉将 ▲2三と金 △3一玉将 ▲6二玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ と ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=10  ▲6二玉将  まで
後手番

ここで盤面の広さの影響が出てきてしまい、△4二玉将 ▲2四と金 △4三玉将 のようにして突破を許すわけです。他にどのような追い込み方をしても詰ますことができないかどうかまでは確認できていませんが、私は今のところ不可能ではないかと思っています。

「玉将+太子VS玉将」は勝てる

中将棋には「酔象」という駒があり、これは成ると「太子」という駒になります。太子は玉将と全く同じ動きをします。(さらに言うと、太子があれば玉将を取られてもよいというルールがあるのですが、それはここでは重要ではありません。)

「玉将+太子VS玉将」で、相手玉を詰ますことが可能でしょうか。と金で不可能なら太子でも不可能と思われがちですが、意外にそうでもないことがわかります。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 太 ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番

同じ局面で考えてみます。

△5一玉将 ▲5三太子 △4一玉将 ▲4三太子 △3一玉将 ▲3三太子
△2一玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 太 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=7  △2一玉将  まで
先手番

先ほどと違い、ここで▲6三玉将という手があります。△1二玉将で逃げ出されそうですが、▲2四太子で大丈夫です。(この動きは太子が斜め後ろへ動けるのを活用していることに注目してください。と金ではこの動きができません。)

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 太 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=10  ▲2四太子  まで
後手番

仕方がないので後手は△2二玉将しかありませんが、▲5三玉将 △3二玉将 ▲5二玉将 で完全に追い込めます。

それでは次に、もう少し中央寄りの位置ならどうでしょうか。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 太 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番

やはり同じように進めることができます。

△5二玉将 ▲5四太子 △4二玉将 ▲4四太子 △3二玉将 ▲3四太子
△2二玉将 ▲6四玉将 △1三玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ 太 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
手数=9  △1三玉将  まで
先手番

後手は端へ逃げ込もうとします。この場合はこのようにするのがわかりやすいでしょう。

▲5五玉将 △1四玉将 ▲4六玉将 △1五玉将 ▲3七玉将
△1六玉将 ▲3五太子 △1七玉将 ▲3六太子
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 太 ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・v玉|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|十
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|十一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|十二
+------------------------------------+
手数=18  ▲3六太子  まで
後手番

これで、この節の最初の局面を90度回転させたものになりました。玉将=太子の動きは90度回転させても変わらないので、これで追い込んだことになります。この追い込み方は後手玉がもっと中央に近い地点にいても成立します。

「玉将+酔象VS玉将」は勝ちか?

中将棋には、歩兵の次に弱い駒として「仲人」という駒があります。この駒は成ると「酔象」になります*1。酔象は真後ろを除く7方向にひとますずつ動けます。玉将から真後ろへの動きを除いたものと表現することもできます。

酔象は90度回転すると変わってしまうため、上で使った手法はそのままでは利用できません。しかし、酔象は斜め後ろへ動けるため、一段目まで追い込めば先ほどと同じ手順が適用できます。(なお、ここから先手の玉将と酔象が入れ替わっても同じ手順が適用できるように、玉将が後ろに下がったり酔象で王手をかけたりしないようにしています。)

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 象 ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番
△5一玉将 ▲5三酔象 △4一玉将 ▲4三酔象 △3一玉将 ▲3三酔象
△2一玉将 ▲6三玉将 △1二玉将 ▲2四酔象

それでは次に、もう少し中央寄りの位置ならどうでしょうか。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 象 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番

一段目に追い込んだときと同じように進めるとこうなります。

△5二玉将 ▲5四酔象 △4二玉将 ▲4四酔象 △3二玉将 ▲3四酔象
△2二玉将 ▲6四玉将 △1三玉将 ▲2五酔象 △2三玉将 ▲5四玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 象 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
手数=12  ▲5四玉将  まで
後手番

ここで△3三玉将なら▲5三玉将がぴったりですが、後手の下段に余裕があると△3二玉将と潜り込む手があります。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 象 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
手数=13  △3二玉将  まで
先手番

対して、▲3四酔象 △4二玉将 ▲6三玉将 △5一玉将 ▲4三酔象 △6一玉将 ▲5三酔象 △7一玉将 は先手側が一手足りずに逃げ出される展開です。上の局面で▲5三玉将 も△3三玉将 ▲3五酔象で難解です。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・v玉 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 象 ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
手数=16  ▲3五酔象  まで
後手番

△3二玉将 には▲2四酔象 △4一玉将 ▲6二玉将 △4二玉将 ▲3四酔象 で先手の勝ちになりますが、後手の下段にさらに余裕があるとはっきりしません。また、上の局面で△2三玉将も難しい変化です。

こんな感じでいろいろ読んでいたのですが、意外に決定的な変化が見つからないというのが現状です。以前読んだときは何かあった気もしたのですが、結局よく思い出せませんでした。何かわかる方がいらっしゃいましたら教えていただけるとうれしく思います。

1月22日追記

何となく詰みに持っていけそうな気がしたので書いてみます。比較的中央に近いところから。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 象 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番

途中までは同じように進めます。

△5三玉将 ▲5五酔象 △4三玉将 ▲4五酔象 △3三玉将 ▲3五酔象
△2三玉将 ▲6五玉将 △1四玉将 ▲2六酔象 △2四玉将 ▲6四玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・v玉 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 象 ・|六
手数=12  ▲6四玉将  まで
後手番

玉将を7五→6五→6四と動かしてあえて近づけないでおくのが良いようです。後手玉は先手玉を呼び込んでから左辺に逃げ出します。

△3四玉将 ▲5四玉将 △3三玉将 ▲3五酔象 △4二玉将 ▲6三玉将
△5一玉将 ▲4四酔象 △6一玉将 ▲5三酔象 △7一玉将 ▲7三玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ 象 ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=24  ▲7三玉将  まで
後手番

こうなると、最初の局面と比べて二段押し込むことには成功しましたが、そのかわり酔象を近づけるのが一手遅れています。左右反転して玉将と酔象を入れ替えた局面で改めて考えます。

  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ 玉 ・ 象 ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六

後手番
△5一玉将 ▲5三酔象 △4一玉将 ▲4三酔象 △3一玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 象 ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=5  △3一玉将  まで
先手番

ここで同じように▲3三酔象 とすると△4一玉将 と戻られて、先手の玉将が遠い分だけ面倒な変化になります。ここはこのタイミングで先手玉を寄せるのがわかりやすい手順です。

▲7三玉将 △2二玉将 ▲3四酔象 △1三玉将 ▲2五酔象 △2三玉将
▲6三玉将
  12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+------------------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・v玉 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 象 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
手数=12  ▲6三玉将  まで
先手番

これで4つ上の図から一段押し込んだ局面になりました。二段押し込んで一手遅れが、一段押し込んだ局面になったわけですね。ここまで玉将が真後ろに下がる手は全くなかったので、玉将と酔象を入れ替えても成立しています。

*1:「酔象」にははじめから配置されているものと、仲人が成ってできるものの二種類があります。どちらも動かし方は同じですが、成って太子になれるのは前者だけです。この節で扱うのは後者です。

maro_chroniconmaro_chronicon 2007/01/20 21:48 考えてみたこともありませんでした。素晴らしいですね。
駒打ちルールが新ルールだったとすれば、古将棋のドローを減らすためには盤が9x9であることは論理的な要請だった、という証明として読めますね。
また、太子(酔象)という不思議な駒が中将棋に存在する意味の説明としても読めます。

mozuyamamozuyama 2007/01/23 00:18 ありがとうございます。歴史的なことはよくわかりませんが、少しの駒損も負けに結びつくとすれば、普通の将棋であるような歩の突き捨てによる開戦が難しくなって、戦いの前の千日手が増えるという影響がある可能性もあります。

鉄人68号鉄人68号 2007/01/23 00:58 駒枯れ状態の研究は理論的には面白いと思います。しかし私の実戦(10局足らずですが)経験からすれば、玉と小駒1枚になる可能性は皆無に近いのではないかと思います。特に「仲人」が成ってかつその「酔象」だけが生き残ると言う可能性は、駒の動きを間違える可能性より低いのではないかと思います。インターネットでの対局においてはどのような状況なのでしょうか。

natsuonatsuo 2007/01/23 01:30 これは言ってみれば一つの思考実験ですから、現実の対局で玉と小駒1枚の状態になる可能性がほぼゼロであることは、もずさんも重々ご承知なのではないかと思います。将棋の対局で「ミクロコスモス」の局面になる可能性は皆無と言っていいでしょうけど、それに近いのではないでしょうか。チェスならば駒が3枚まで減る状況も十分あり得ますけど、やはり中将棋は駒数と盤面の広さが違いますよね。

mozuyamamozuyama 2007/01/23 23:46 紛らわしかったですが上の私のコメントは9x9の将棋で持駒を使わないときの話です。中将棋については、私は実戦よりも詰物に興味があるため、natsuoさんがリンク先でも書かれたようなエンドゲームとして面白い素材だということで考えています。中将棋の実戦で駒数がここまで減る可能性については、起こり得るかという以前にそこに至る手数が非現実的に長くなるという問題があります。たしか1000手を越えても勝負が付かなかった対局があるという話を聞いた記憶があります。これに対処するには持将棋ルールの整備が求められるわけですが、そのあたりをどうしていけばいいのかということも考えている側面はあります。

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