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2008-04-12

[][]画家の日 大阪京都死闘篇その5

鞍馬口から地下鉄に乗って四条まで。錦市場を歩き、イノダコーヒー本店に行く。旧館に通され、スパゲティとカフェオレを注文する。鉄の蓋付きの鍋に入れられて出てきたスパゲティ。目の前で蓋を取ってテーブルに置いてくれる。どこにでもあるナポリタンのようだけれど、やっぱり何かがおいしい。京都の雰囲気のせいだろうか。カフェオレもうまい。ここの喫茶は余計な音楽がかかっていないのもいい。旧館と新館の間の通路に籠に入ったインコが何羽かいた。社長の趣味だろうか。

鴨川を越え、京阪四条から枚方まで。乗り換えて星が丘に行く。ソーイングギャラリーで木工の展示を見て、ソーイングテーブルでお茶をする。昨年の夏にここに来たとき、あまりに素敵だったので、今度来るときは必ずゆっくりお茶をしようと決めていた場所。革の古いソファに座り、竹の風鈴の音を聞きながら、生クリームののったレレコーヒーチーズケーキを食べる。窓からは畑を耕しているおじいちゃんが見える。一面のタンポポ畑も見える。ゆっくりと時間が過ぎている。おいしいコーヒーとケーキを、大事に大事にゆっくり食べる。

枚方駅に戻り、エスカレーターに乗っていて気づく。大阪は立ち止まって乗る人は右側に立ち、急ぐ人は左側を歩いていた。京都はその逆で立っている人は左、急ぐ人は右。で枚方大阪と一緒。枚方は、大阪なのか、京都なのか。こうゆうどうでもいいことが、すごく気になる。

枚方からまた電車に乗り、大阪北浜へ。そこからまた天神の商店街を歩き、iTohenに行く。昨年夏、iTohenのグループ展に参加したときに知り合った大阪の絵描きたちが何人か見に来てくれた。久しぶりに会う顔。はじめて会う顔もある。みんなどうもありがとう。大阪の人っぽい、鶴橋が似合う、とまた散々言われる。東京でも大阪でも、何故このおじさん扱い。

5時過ぎに鶴橋に行く。さっき話題に出たからではなく、約束があるからだ。ちょっと早目に着いたので、探検する。ガード下、迷路のような路地、そこにみっちりとある韓国料理屋さんと焼肉屋さん。すごい。そう言えば、駅のホームに降りた瞬間に、もう焼肉のいい匂いがした。5時半、iTohenの鯵坂さんと改札で待ち合わせ。指定のホルモン屋さんまで歩く。誰もまだ来ていないので、鯵坂物語をつまみに二人で飲む。遅れてKさんとMさんが来る。みんな初対面なのに、いきなり楽しい。名刺を渡すと「え、雑司ヶ谷?」とMさんに驚かれる。Mさん、私と同じ、雑司ヶ谷に昔あった鬼子母神病院の産まれだった。小さい頃にお父さんの仕事で大阪に来たそうで、まさか鶴橋ホルモン屋さんで、雑司ヶ谷の同じ病院で産まれた人に会うとは思わなかった、と大盛り上がり。こんな予想もつかないことが起きると、さらに酒はうまくなる。

遅れて「西の旅」の人たちが来る。そして最後に取材を終えて広島から新幹線でやってきた画家・牧野伊三夫さんが来る。ナムルを食べ、ホルモンを焼き、ビールもぐびぐび飲む。何を食べてもおいしい。そして、みんな飲んだくれで楽しい。牧野さんと、先に来たKさんの2人は、「酒場部」という活動をしていて、今日はその部活動にお邪魔している飲み会なのだ。Kさんの雰囲気が、最近会う人たちとなんだか似ているので、もしかしたらエンテツさんのお知り合いですか、と訊ねると「エンテツさんは師匠です」とのお答え。やっぱり。そうゆう空気が滲み出ている。最近会う人たちは、みんなどこかで繋がっている。世界が狭いんじゃなくて、たぶん飲んべいの世界が狭いのだ。「酒場部」の活動は、集英社携帯サイトで配信されているそうで、牧野さんは飲みながら、ささっとスケッチブックにこの日の絵を描いていく。その描きかたが、ものすごく早い。あっという間に3枚描きあげ、下に行って店の女将さんの絵も描いている。あの、よく雑誌や書籍で見る素敵な絵は、こんな風に描かれているのか。すぐそばで見られることの幸せよ。この日、飲んだくれている我々を描いた、牧野さんの絵。私の顔も描いてある。武藤さん、と名前まで入っている。この絵、欲しかったな。

牧野さん、高田渡さんの「生活の柄」を小さな声で歌っている。その歌が、一晩中、頭の中で流れていた。