m.r.factory

2008-12-02

[][]水風呂

竹橋東京国立近代美術館で「沖縄プリズム」を見る。会場の所々にモニターがあり、戦前戦後のニュース映像や、ドキュメンタリー作家の撮った今の沖縄や、三味線を演奏する映像が、延々と流されている。この映像たちがかなりおもしろいのだけれど、長いものは120分もあり、午後遅い時間に入館した人間にはちょっと辛い。時間がないと思いながらもほとんど見てしまったのが波多野哲朗監督の「サルサチャンプルー Cuba/Okinawa」で、キューバ移民した沖縄の人たち、その2世3世と、沖縄に残った人たちの話がチャンプルーされ、そこにキューバ音楽と沖縄民謡がかぶさり、途中で見始めたら続きが気になり席を立つことが出来なかった。

皇居のお堀沿いを歩き、神保町に出て、そこから飯田橋トッパンまで歩き、P&Pギャラリーで「世界のブックデザイン2007-08」を見る。「沖縄プリズム」で時間を取られ、トッパンに着いたのが閉館30分前だった。この展示はなんとなく毎年見に来ていて、今年も帰り道にちょっと寄れたらなんて思って軽い気持ちで見に来たのだけれど、これがなかなか面白く、30分で見ることは不可能だった。後日、改めてゆっくり見に来ようと思う。ざっと見た感じでは、日本の本は真面目にきれいに作ってあるけれどその分面白みがなく、他の国の本はなんじゃこれと思いながらも見ていると楽しくなってくるような本が多かった。

夜は、上池袋銭湯稲荷湯」に行く。ビルの1〜2階部分が銭湯で、3〜4階は住居らしい。同じ池袋銭湯だからか以前何度か入りに行った池袋本町の「小松湯」に似ているように思う。ビルに入っている銭湯には天井が低いところもあるが、ここ「稲荷湯」は脱衣所も洗い場も共に天井が高い。洗い場で目に付くのが、正面の壁にあるタイル絵で、1センチ四方の小さなタイルで、オランダの風車のような風景と、その手前には橋の架かる池と、池の中には白鳥が何羽か浮かんでいる図が描かれている。女湯のメルヘンなタイル絵に対し、女湯と男湯の仕切りの壁の向こうに少しだけ見える男湯のタイル絵は、雄大な富士山である。オランダの風景から富士山まで流れるように違和感なくタイルで表現しているのがなかなか面白い。湯船は、水風呂、薬湯、電気と泡風呂、ジェット風呂の4つ。ジェット風呂は座風呂で座るとちょうど肩と腰の部分にジェットが当たるようになっている代物だが、ここ「稲荷湯」の変わっているところは、その座ジェットが4機あること。普通は奥の壁に2機というのが定番なのに、ここは手前に2機、奥に2機と、正方形の風呂で向かい合うようにして配置されている。天井を見ると、水色のプラスティックのような素材で出来ており、その下のタイル絵以外の壁は、緑色の小さな長方形のタイルで覆われている。先日の「みちくさ市」のときにお会いした食堂アンチヘブリンガンさんに、水風呂の良さをまた説かれたので、せっかく水風呂のある銭湯に来たのだからと、思い切ってその水の中に身を沈めてみる。お湯に入ったときは体とその手足が、皮膚が毛穴が、広がっていくような気持ちになるのだが、水風呂に入ったときは、全てが収縮していくように感じる。冷たくて冷たくて、体がダンゴ虫のように丸まっていく。ちょっとでも体を動かすとその新たに水に触れる部分が冷たくて、水風呂の中でひたすら丸くなっていく。冷たくなった体をまた暖かい湯船で暖める。不思議なもので、体を暖めるとまた水風呂に入りたくなり、また体が冷えると暖かい湯に入りたくなり、結局湯船を行ったり来たりする。これが違う世界が見えるということなのだろうか。そう言えばサウナがないのに水風呂がある銭湯というのも珍しいような。