m.r.factory

2009-02-11

[][]江古田の絵

ブックギャラリーポポタムでぶりおさんの個展「ふりつもる」を見る。タイトルの通り、数年間描きためたポストカードサイズのドローイングが2万枚、ギャラリーの床や壁に降り積もっている。数年前のドローイングをはじめた頃の絵と、展示されている最近の絵。どこかに共通する線や形はあるものの、別人が描いたようにうまくなっている。これが毎日描き続けることで得たチカラなのか。パッと得られるものでなく、継続することでしか得られないものがある。そうして得られたものは、簡単には崩れない、とても強いチカラを持つ。ぶりおさんの絵は、そんな絵だ。

夜、江古田へ行く。シャッターの降りかけた商店街を抜け、環七に出る少し手前を左折する。そこに銭湯「南湯」がある。古い銭湯だが所々改装され、入ると小さなロビーがある。女湯の脱衣所は左手。天井は格天井で、今まで見た中で1番ぴかぴかつるつるしている。脱衣所の片隅に、籐製のベビーベッドが一台ある。脱衣所に面して大きめの庭があり、庭のほとんどを大きな池が占めている。ガラス越しに覗くと、暗い水の中に、赤い背びれがちらちらと見える。その池の横に木の渡り廊下があり、その先に女便所がある。洗い場に入ると、島カランが2列並んでいる。普通は奥の湯船に向かって縦にあるのに、ここは横に2列島がある。そして湯船も奥の壁ではなく、男湯との仕切りの真ん中の壁にくっつくようにしてある。広めの泡風呂が1つ、小さめのジェット風呂が1つ、そしてなぜかそこから離れた奥の左の窓際に1畳分くらいの小さな湯船がある。この小さな離れ小島のような風呂は薬湯で、今日はラベンダーと書かれている。洗い場の天井を見ると、男湯と女湯の両脇から斜めになり、天井近くで垂直になるのは東京の古い銭湯でよく見るタイプなのだが、ここはさらに、奥の壁も一部手前に傾斜している。その傾斜を支えるように細い柱が数本あり、それがギリシャ神殿のような趣きで、その間のカランで体を洗っていると、ここはいったいどこなのか、と楽しい気分になってくる。

銭湯を出ると、目の前の小さな店に明かりが灯っている。中を覗くと、カウンターが見え、昔はバーかスナックかと思わせる。その小さな店の壁一面に油絵がかかっている。額装されいかにも重そうな絵が、壁を埋めている。どれも古そうな絵で、斜めになったりホコリをかぶったりしている。店はやっている様子はなく、ぼんやりとした明かりが壁を照らし絵を照らし、この前を通る人たちの足を止まらせる。そう言えば、銭湯のロビーにも大きな油絵がかかっていた。この後行った大衆割烹と書かれた学生向きの居酒屋の壁にも何枚も絵があった。すぐそばに日芸がある。卒業する時に、今までどうもありがとう、と、世話になった飲み屋、バー、銭湯に絵を置いていったりするのだろうか。