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2018-04-27

[]新緑

サンシャイン通りのユニクロに靴下を買いに行った帰り道。人ごみを避けグリーン大通りに出ようと、ひと昔前まで人生横丁があった裏道を抜けた。巣鴨プリズンの時代からあった人生横丁は、長屋のような二階建ての飲み屋が並ぶ味のある横丁だったが、いまは小さな碑をのこし、跡地には巨大なオフィスビルが建っている。

オフィスビルの周りにはぐるっと木が植えられ、ビルの裏手には人生横丁の碑とちょっとした広場があり、昼時に通ると近くのサラリーマンたちが、木陰で煙草を吸ったり珈琲を飲んだりしている。

その日は風の強い日で、そこにビル風も加わり、茂りだした新緑がぱらぱらぱらぱらとビルの周りに散っていた。がこん、さっさ、がこん、さっさ。音のするほうを見ると、清掃員がふたつきのちり取りを片手に、もう片手にほうきを持ち、ビルの周りに散る葉を掃いているところだった。

秋の落ち葉と違い、芽吹いたばかりの新緑は、まだ果てしないほど枝に茂り、春の落ち葉の清掃はまったく終わる気がしない。がこん、さっさ、がこん、さっさ。その終わらない葉を追いかけて、清掃員が一歩一歩、ゆっくり前に進んでいく。

永遠って、こういうものかしら。わたしは唐突に思いはじめる。終わらないもの、無限にあるもの、が永遠ではなく、果てしないほどあるように見えて、それでもいつか必ず終わりがくるものを、永遠と言うのじゃないかしら。果てしなく見えて、いつか終わりがくるのが永遠なら、わたしは死ぬまで永遠のなかで生きている。永遠のなかで一枚一枚葉を掃いて、一歩ずつ前に進むあの人は、あれはわたしではないかしら。