m.r.factory

2018-08-06

[]犀星スタイル

室生犀星のファッションや暮らし方に光を当てた冊子、『犀星スタイル』が出来上がりました。室生犀星と娘の朝子さんの書いたエッセイや日記のなかから、孫娘の洲々子さんが、犀星のこだわりをよりぬき編まれた一冊です。

目次は、オデイト、艶布巾、満州ダイヤ、女ひと浴衣、炬燵、天然パーマと黒い髪、ラクダのシャツ、ネルのポケット、袂、蝙蝠傘、タータン・チェック、白い旗、虫籠、机の上、ハイヒールの穴、岡あやめ、ギチチ、煙草、帽子。

「美男子ではない、背が低いということに、犀星は晩年までコンプレックスを感じていた。だからこそ自分で考え、作り出したオシャレを、大切にしていたのであった。」

ハイヒールをはく女性が好き、だけど自分の背の低さは嫌い。帽子をかぶり、下駄を履き、銀座を並んで歩くとき少しでも背が高く見えるよう工夫を凝らす。劣等感を発明や創作につなげていく犀星と、その犀星を容赦なく描写する朝子さんの文章が愛おしい。

犀星好きのかたはもちろん、これから犀星を好きになるかたにも、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

『犀星スタイル』

室生洲々子編

龜鳴屋発行

絵 武藤良子

頒価1000 円 (税・送料別)

金沢室生犀星記念館軽井沢高原文庫、もしくは龜鳴屋のサイトからお求めいただけます。

室生犀星記念館

書籍編集発行所「 龜鳴屋」

目白のブックギャラリーポポタムでもお求めいただけるようになりました。

ポポタム店頭で: ブックギャラリーポポタム|東京目白にある本とギャラリーのお店 | 東京目白にある本とギャラリーのお店「ポポタム」のWebサイト。

ポポタム通販で:no title


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2018-01-18

[][]東京の空

西池袋でカレーを食べた帰り道、雲ひとつない青い空を見上げながら、東京のお正月っぽい、と明日長野に帰る友人が言う。

年末年始、友人たちがSNSにあげる、それぞれの故郷の写真を見るのを楽しみにしているが、雑煮の違いや家族の写真に気をとられ、どの町にも同じようにあるはずの空のことは気にしてなかった。言われて友人の写真を見てみれば、正月の長野の空は雪をはらんだまだらな灰色。西池袋で見上げたビルの間の空は、人と車が少なくなる年末年始の東京の、だからこその青い空か。

石神井書林の内堀さんと、近所の喫茶店で目録の打ち合わせをするはずが、その日の朝に、神宮球場に行きませんか、と電話で誘われた。11月、プロ野球が閉幕したあとの神宮で、高校と大学の野球大会が行なわれているとは知らなかった。訪れた日はちょうど、第48回明治神宮野球大会の決勝の日。対戦相手は星槎道都大学と日本体育大学だ。

野球場に誘った割りにたいして野球を見もせずに、目録に描く文字の説明を少しして、内堀さんが買ってくれた弁当を食いながら、空と球場をずっと見ていた。この大会、客は内野にしか入れないそうで、一塁側の道都大の応援団と、三塁側の日体大の応援団から先は、ずらっと並んだ空席と、その向こうに大きな空が広がっている。ネット裏から見た扇形に広がる芝の緑、赤い土、白いラインのうえを、陽とともに野球場の大きな照明の影が動いていく。

この空をね、見せたかったんですよ。この時期の神宮でしか、この空と影は味わえないんですよ。

見慣れたはずの東京の、そこにしかない青い空がある。

石神井書林の古書目録102号に題字と作家名を描きました。今号の特集は「半年の収穫 一年のはじまり」。内堀さんが2017年の下半期で集めた古書で、2018年のはじまりの目録を作りました。

今週末から荻窪の本屋Titleでも販売されます。

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■本屋Title

〒167-0034 東京都杉並区桃井1-5-2

TEL 03‐6884‐2894

営業時間 12:00 – 21:00

定休日 毎週水曜・第三火曜

2017-04-04

[]分け目通販開始

分け目Tシャツの通販がはじまりました。Tシャツの色、サイズ、インクの色を選べば、あなただけの分け目Tシャツが作れます。みちくさ市と同時開催だった今年の妄想ロックフェス会場では、シルバーのインクで銀髪に刷るのが好評でした。あなた好みの分け目、ぜひご注文ください。Tシャツの通販は2018年3月31日までです。

Tシャツの通販は、秋田でオリジナルTシャツを作成している6JUMBOPINSさん。シルクスクリーンで刷られています。

通販はこちらから:https://6jumbopins.stores.jp/items/58d37686997ee20a910003c9

■分け目(わけめ)

1985年に男子校の同級生3人で結成された日本のインディーズロックバンド。全員薄毛。うつむいたまま演奏するスタイルで、客席からは顔が見えず、髪の分け目しか見えない、分け目が顔かよ、と言われ続けた結果、通称が一人歩きし、元来のバンド名が忘れさられた。結成から毎年、沖縄、倉敷、東京、仙台にいる親戚を頼りにツアーをおこなう。ツアー毎に発売される、年々広がるメンバーの髪の分け目を忠実に再現した分け目柄のTシャツが人気である。今回のTシャツは、結成3年目、旧新宿ロフトで初ワンマンライブをおこなった際の復刻版である。結成から30年以上経ったいまも、もはや分け目じゃないと言われるだいぶ広がった頭皮を持て余しつつも、分け目以外は変わらずに活動を続けている。

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2017-01-20

[]石神井書林目録100号

絵の展示でお世話になっているブックギャラリーポポタムの大林さんと古本屋の石神井書林の内堀さんは、子どもたちが同じ時期に同じ保育所に通っていた父兄仲間だ。内堀さんが発行する次号の古書目録に題字を描いて欲しいと、大林さん経由で内堀さんから連絡がきたのはそうしたわけだ。よろこんで返信すると、大林さんがこんなことを言う。

「はじめてムトーさんに会ったときカンチョーされたって内堀さん言ってたよ。」

鬼子母神参道のキアズマ珈琲で内堀さんと打ち合わせをした。夏に内堀さんのお父さんが亡くなったこと、子どものころ住んでいた練馬区関町で東京オリンピックの聖火ランナーを見たこと、次号で100号になる古書目録のこと。ひとりで聞いているのが惜しいような時間が流れていくが、大事なことを確認したい。

わたし、いつ内堀さんにカンチョーしましたっけ?

2013年4月29日。水道橋近くの編集室屋上でトークイベント「古書より野球が大事だと思いたい〜夢のオールスターゲーム〜」がおこなわれた。ゲストは野球好きの古本屋、石神井書林、古書赤いドリル、青聲社の3人だった。赤いドリルの那須さんが、亜細亜大学のユニフォームを着ながら大学野球の面白さを熱く語っていた。小さな会場で、参加者も知り合いばかり、そのまま近くの居酒屋に流れて打ち上げをした。その帰り際、地下の居酒屋から地上へ出る階段の途中で、わたしは前を歩く内堀さんにカンチョーをしたらしい。ちょうどいい目の高さにケツがあったのか、酔って調子にのったわたしがいかにもやりそうなことだ。

ぼく、ムトーさんの描く字が好きなんです。北園克衛やボン書店のような装丁はもちろん好きだけれども、100号目になる目録の装丁はそれじゃない。破壊のためにはムトーさんが描く字が必要なんです、破壊、破壊を、と、わたしにカンチョーされた男が繰り返す。

打ち合わせから数週間後、クロッキー帳に数冊分たまった文字をキアズマ珈琲で手渡す。石神井書林、古書目録100号、2017.1、特集練馬区関町、小山清、太宰治、井伏鱒二、小沼丹、木山捷平、上林暁、庄野潤三、尾崎一雄他、村上一郎、内堀さんから頼まれていた文字は以上だ。数冊分の分量にまず唸り、次に1枚1枚ページを繰りながら食いつくように文字を見ていく。

「ムトーさん、小山清の本、読んだことありますか?」

ないです、と小さく答える。

「そういう人でないとね、こういう字は描けないんですよ。」

2017年1月15日、出来上がった目録が届く。100号目の特集は練馬区関町に住んでいた作家たちと村上一郎だ。特集は練馬区関町の作家のひとり「小山清・房子往復書簡」からはじまる。

「昭27年1月、亀井勝一郎宅にて小山清(40歳)と関房子(22歳)は見合いをした。その後、挙式(4月)迄の間に交わされた二人の往復書簡。」

見合いから結婚、夕張炭鉱、太宰治の尽力、庄野潤三からのラジオ原稿の依頼、2度の芥川賞候補、関町への引越し、木山捷平が自転車で運んでいった庭の植え木、脳血栓、失語症、妻の自殺、小山清の死、遺されたふたりの子ども。発行年順に掲載された書簡、葉書、著作に細かく書かれた注釈をたどっていくと、どんな人かも知らなかった小山清が目録のなかで立ち上がってくる。

1930年代に雑司ヶ谷にあった小さな出版社に光をあてた、内堀さんの著作『ボン書店の幻』を読んだときのことを思い出す。書名や本の状態、古書としての値段を1行にまとめた従来の古書目録とも、本の裏に値段を書きジャンル別に並べて売るのとも違う、練馬区関町で過ごした自身の子ども時代を絡めながら作家たちを紐解いていく、こうした古本の売りかたがあるものなのか。

古本屋を営む知人にそんな話をしていると、いまさらかよという顔をされる。

「石神井さんは、背表紙ばかり並べたような古書目録のなかで、本を面出しにした最初の人だよ。」

内堀さんからきた依頼のメールを読み返す。わたし自身が、石神井書林目録100号に絡めたたことによろこびながら。

「今年の夏、老父が亡くなりました。

父は普通のサラリーマンでしたが私が大学を除籍になり、古本屋をはじめたときも批判めいたことを言うことは一度もありませんでした。

その父が亡くなって、100号という区切りを迎えることにいくらかの感慨がありました。

いま、初心のようにこの目録を作っています。」

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石神井書林目録100号は都内2店舗、ポポタム、Titleで販売しています。

■ブックギャラリーポポタム

〒171−0021 東京都豊島区西池袋2−15−17

TEL. 03−5952−0114

営業時間、定休日は展示によって異なります

http://popotame.net/

■Title

〒167-0034 東京都杉並区桃井1-5-2

TEL. 03‐6884‐2894

営業時間:11:00 - 21:00

定休日:毎週水曜・第三火曜

http://www.title-books.com/


※1月26日追記

南池袋の古書往来座でも販売開始いたしました。

■古書往来座

東京都豊島区南池袋3-8-1-1F

TEL・FAX 03-5951-3939

営業時間:12時半ごろから22時

月曜日のみ18時まで