『12人の怒れる男』と『立証責任』
少し話題としてふるには古いネタだけれど日本で裁判員制度が実施された。ということで裁判員制度の裁判員の話し合いに焦点を当てた古典的名作『12人の怒れる男』を見た。
物語はいたってシンプルで、とある殺人事件の容疑者が有罪か無罪かを言い争うだけの映画である。冒頭とラストにチラッと裁判所が映るだけで、そのほかのシーンはすべてたった一つの狭い部屋に限定されているのも面白くて、90分程度の作品だがかなり内容の詰まった映画になっている。
ただ「裁判員制度の予習にどうぞ」といったキャッチコピーで店頭に並んでたりするけども、当然ながらアメリカと日本では制度が違うので「裁判員制度」の予習として使うのは少し疑問だ。『12人の怒れる男』では11人が有罪と判断した裁判をたった1人が無罪としたために始った話し合いというか口論がメインなんだけど、多数決が認められている日本の裁判*1では11対1だったら有罪が確定してしまうのでそもそも物語にならないのである(笑)
ただ、人を裁くということの責任や難しさ、冤罪などについて深く考えさせられる映画なので裁判員に選ばれたら是非見てほしい作品。
裁判員制度のシステム自体を知りたいならコッミクの「Q.E.D. 証明終了」27巻に収録されている『立証責任』が分かりやすくて面白い。当然ながら推理モノとしても傑作なので見て損は無いと思う。ただ絵が若干手抜きな気がしないでもないが…
Q.E.D.証明終了(27) (講談社コミックス月刊マガジン)
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*1:ただし裁判官の票が必ず1つは必要