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なにかあり/とくになし

モリタイシを読む

ちょっと前の休日、
久しぶりに漫画喫茶に出向いた。


家賃の振込とか
その他もろもろの用事を済ませる”ついで”のつもり。
でも実は今回は
ちょっと目的もあって。


モリタイシを読む。


名字がモリで名前がタイシ。
モリタイシの描いた
いでじゅう!」を読む。
レンジマン」を読む。
それが目的。


いでじゅう!」こと
いでじゅう! 県立伊手高柔道部物語」については
「少年サンデー」連載当時のことを少しだけ覚えていた。


「少年サンデー」からぼくが少し離れてから始まった連載だったので
深く意識することはなかった作品。
荒唐無稽だが愛らしい変態キャラクターが活躍する
「サンデー」にありがちな
ほのぼの系ギャグ漫画ぐらいに考えていた。


ところがあるとき
たまたま漫喫でめくった「いでじゅう!」におどろかされた。
(主人公の)恋愛に関する
チマチマした心の行き違いを
ただごとでなく突き詰めて描く漫画になっていたのだ。


そしてビックリしたまま
あれよあれよと本編は
ぼくを煙に巻くように最終回を迎えてしまった。


ひょっとしてこの漫画
もっと好きになれたかもしれない。
あわててコミックを買いそろえるほどではなかったけれど
ぼくの中に“モリタイシ”の名前は残った。


のちに
あの終盤の急激な恋愛展開は
作者すら予想出来なかったというか
予定していたストーリーを
作者の思い入れが追い越してしまった結果なのだと知った。


そして
「サンデー」をすっかり読まなくなってしまったぼくは
連載の事実すら知らなかったのだが、
いでじゅう!」に続いて連載された「レンジマン」では
さらにその思い入れの病が悪化して
ストーリーが破綻。
事実上の打ち切りになってしまったということも知った。


ここでぼくが書いている”のちに”とは
モリタイシの新作
まねこい」(ゲッサン少年サンデーコミックス)を買ってからのこと。
だから実は、つい最近だ。


まねこい」には
まだ傑作の匂いはしない。
だが、
モリタイシならきっと何かが起こる。
作者が何かを起こすのではなく
作者と漫画の間で何かが起きてしまうはずだ。


漫画としてなら
もっとすぐれたおもしろい作品はいくらでもあるが、
作者と漫画の関係が続けていく中で動いていく
あやうさをはらんだ作品に出会う機会は
そんなに多くはない。


いでじゅう!」全13巻を
秋の陽射しでぽかぽかとした漫喫で読み終えて
ぼくはあらためてモリタイシのファンになった。


それから
問題の「レンジマン」はこの店にはなかった。
これはまた宿題にしよう。


ちなみに
まねこい」1巻のあとがき漫画で、
モリさんの友人として
福満しげゆきと思しき影絵が登場する。


僕の小規模な生活」に出て来てた帽子の漫画家は
モリタイシだったのか!