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なにかあり/とくになし

「ナッシュビル」を見にいくことが

ようやく
ナッシュビル」を見にいくことが出来た。


輸入版のDVDは持っている。
それ以前にも
VHSもずいぶん探して手に入れていたのだが
残念ながら見る前にオシャカになってしまっていた。
(その一件については、こちらをご参照を)


というわけで
ストーリーはすでに承知のうえだが、
やっぱり
セリフの細かいところや
劇中で歌われる曲の歌詞など
あらためて発見が多かった。


字幕がオリジナル日本公開のままなのか
新たに監修されているのかは不明だが
きちんと配慮されて
不自然さを極力なくした、いい字幕だと思う。


ツマは
「カントリーの曲の歌詞がいい」
と褒めていた。
それもひとえに訳の力でしょう。


本編は
やっぱり何カ所か
どうしても泣いてしまう。


新宿武蔵野館での上映が終わっても
これから全国をまわるようだし(ぼくもあと一回は見たいし)
出来る限りネタばれはナシで書きたいので、
ぼくの泣くツボに関連したワードだけ列記しておく。


手話。
ゆで卵。
人生で一曲だけ書いたしょうもない曲。
病院。
ストリップ。
玄関。
集会。
だれか歌え。


役者で言えば
もう本当に素晴らしい
リリー・トムリンは別格としても
ネッド・ビーティ
バーバラ・バックスリー、
アレン・ガーフィールド
ロバート・ドキ、
そして
愛らしくてさびしい音痴娘を演じる
グエン・ウェルズが好き。


どうにもならない人生を
せつない運命に翻弄されながら
健気に
そして好き勝手に生きるひとたちの姿を見ながら、
偶然とは言え、
この映画が今日本で公開されることの意味を思った。


VHSにもLDにもDVDにもならず
日本では36年も事実上封印されてきたこの作品が
今はじめて見るひとの心のなかで
日本をおおう憂鬱や
見かけのにぎやかさと反応して
おぎゃあと泣く。


こういう映画を
だれか今こそ
日本でつくったりしないだろうか。


そのときのエンディングは
二階堂和美さんの歌う「めざめの歌」でいい。


アルトマンは語る。
「最低のことが起きた。
 それでも人生は続く」と。
(パンフレットより引用)


その言葉と
二階堂和美さんの歌う
「この世のすべてはどうにもならない」という歌詞と、
ナッシュビル」の
どうしようもなくかなしく
ばかばかしくて感動的な大団円が
ぼくのあたまのなかで
シンクロした。


それは
2011年の今
日本にいるぼくに舞い降りた願いにも似た妄想だ。


まさか
ナッシュビル」を見に行くことが
日本を見に行くことと重なるとは
思わなかった。


ところで
もうひとつ映画を見ながら
思い出したことがあるんだけど
その話はまた
すこしあとで書くことにする。