mrbq(松永 良平 blog Q)

2018-09-01 これから始まるふだんの話/ふだんインタビュー その2

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  画:黒木雅巳


ふだん、インタビュー2回目。ふだん以前の音楽活動や曲作りのことなど。


2000年代の大阪インディーの景色の一端もなんとなく浮かび上がる感じの話になったかも。


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──ふだん以前の音楽履歴をちょっと聞かせてもらえますか。


ふだん 今年35歳なんですけど、もともとは学生だった90年代半ばには弾き語りをしてました。そのときは、ゆずとか斉藤和義のコピーでしたけど。自分で曲を作ったのは、たぶん、FISHMANSとかCorneliusを聴き始めた高校生ぐらいからだったかな。でも、その頃の曲はインストやったんですよ。


──へえ。FISHMANS影響のギター・インストっていうと、当時でいう音響派みたいな?


ふだん そうですね。音響派、というか……。


森 おぐらくんと初めて僕が会ったんは新世界ブリッジのブッキングしてて、白い汽笛を組むことになるまっちゃんと一緒にブッキング・ライヴに出てくれて。そのときはポストロックっぽい、トータスとかシー&ケイクみたいな感じでしたね。


ふだん 大好きでしたね。


森 あのときもインストやったね。ドラムはチッツのTAKUTOくんで。スリーピースのバンドやったね。


ふだん 懐かしい……。21歳とかだったかな。まあ、何がやりたいのかよくわかってなかったですね。大学のサークルで、トータスとかモグワイとか教えてもらって聴いてた時期で。最初にライヴハウスでやったんは、ベアーズで、ノイズっぽいインストでした(笑)


──じゃあ、その時点ではまったく歌ってない?


ふだん 歌ってないです。のちのちですね。FISHMANSはずっと好きなんですけど、たまとかもめちゃめちゃ好きになった時期があって、その頃にアコギ持って歌い出して。


森 歌い出した頃の名義は「とかいもぐら」とかちゃう?


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ふだん そうやね。たまっぽいのを歌いたいと思って。で、その後にチッツのギターの草と、もうひとりとで、エレキ持って歌う感じのバンドをやったりしながら、気がついたらこうなってました。なんでああいう感じで歌い出したか、自分でも理由を思い出すのは難しいですね。たぶん、学生から社会人になったりして友達も変わったというのもあるだろうし。


──歌詞のペーソス感というか、日々の暮らしのなかでふと手を見る、みたいな感覚って、たまから来たものとはちょっと違いますよね。


ふだん そうですね。むしろFISHMANSからの影響かもしれない。でも、言い方は難しいですけど、ぼくはもしかしたら、もっと普通のやつが見てる景色を歌いたいのかな。ふだんという名前にしたのも、あんまり背伸びしたり、無理したくないなというのもあるし。


──とはいえ、ただ単に淡々としてるわけでもなくて、白い汽笛での「レゲエ」とかもそうですけど、ふつふつとしたものはそこにありますよね。わいわいと踊りまくるわけではないけど、確実にそこにもレゲエのひとつの聴き方があるなと思わせてくれる。そこがおもしろいですよね。


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森 ぼくが個人的に感じるのは、miceteethとかデタミネーションズとか、年上の世代のレゲエ、スカの影響はシンプルにるんちゃうかな。おぐらくんは好きやったよね。


ふだん そうや、忘れてた(笑)。でかいですね。


森 それは僕らにも言えることで、ブッシュ・オブ・ゴーストとか、ソウルファイヤーとか、そういう先人がいて、むちゃくちゃやしかっこよいことを自然にやってはって、それを見てたというのはあるかもしれません。それをおぐらくんは自分なりの解釈でやっていったというのを感じますね。


ふだん 本当にそういうバンドは大好きで、ライヴもめちゃめちゃ行ってて、影響はめちゃめちゃ受けています。


──ぼくが『CDジャーナル』の取材(「あたらしいローカルおんがく」2013年7月号)で森くん、HOPKENの杉本くんに話を聞きにきたとき、森くんが推薦してくれたバンドのひとつが白い汽笛だったんですよね。


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森 そうですね。最初に知り合ったときは、ブッキングする人と出てくれる人という関係というか、おない年とも思ってなかったし。


ふだん 確実に(森は)年上やと思ってました(笑)


森 チッツとかとも同時期に知り合ってはいたけど、お互いに人見知りもするし、交流ってほどではなかったね。


ふだん そうやね。白い汽笛始めるんが2010年ぐらいやから、その頃に一緒に遊び出したんかな。


森 ちょうどneco眠るも、いったん活動が止まる頃で、わりと大阪でやってる他のライヴとかにも遊びに行けるようになって。そのときに「大阪にも同世代のバンド、めちゃおった!」みたいに一気につながったんです。


──東京だと、ceroが片想いをmona recordsで見て感激して交流するようになるとか、そういう感じが、白い汽笛やneco眠るにもあった?


ふだん 少なからず、necoとかチッツには同年代としての意識があったと思いますね。


──もちろんバンドをやるときはバンドマンだけど、実生活では大学卒業後には普通に就職しているんですよね? そこは、フリーターやって音楽を主にする、みたいな方向への迷いはなく?


ふだん たぶん、最初の頃はあったんだと思います。どこで変わったんか、わかんないですけど。音楽はやりたいけど、生きるための手段ではないかなと。「表現したい」とか「ライヴしたい」「音源作りたい」という気持ちはあるけど、そこと「お金を稼ぎたい」という気持ちとはぜんぜん隔離してますね。結構、白い汽笛やってるときも、全員仕事を普通にしながらバンドもやっていて、そこでみんなの時間を合わせていくのが正直しんどい部分もあったんです。


──渋谷WWWで、おぐらくんだけ仕事の都合で東京に来れなくて、「衛星中継」的にスクリーンから演奏に参加したライヴもありましたよね(笑)。ぼくはあのとき初めて白い汽笛を見てるので。


ふだん マジですか! ありましたね(笑)。今ひとりになってそこが楽といえば楽なんですよ。生活の中で、できるペースでやっていきたいなと思っていて。


──ある意味、ふだんという名前にしたことで、バンド以上に伸び縮みが自由になるという考え方もありますもんね。


ふだん 名前は後付けですけど、そういう意味も含めて、よかったなと。


──曲作りの話をしましょうか。歌詞はどういうふうに思いつくんですか?


ふだん ワンフレーズがメロディと同時に出てくることが多いかもしれないです。ギターをポロポロっと弾いて出てきたフレーズを広げて伸ばしていく感じが多いですね。


──そのフレーズは何気ないものというより、曲の核になるような言葉だったり?


ふだん もちろんそうですね。具体的な言葉です。それがAメロやったり、Bメロやったり、サビやったりはいろいろですけど。そこから作っていく感じです。


──時間はかけるほうですか?


ふだん かなりかかります。特に最近は(笑)。昔は一晩でできるとかもあったんですけど、最近はちょっとないですね。でも、「つゆいり前」は結構すっとできたんですよ。最初から「エマさんに渡す」というコンセプトもあったし、イメージが湧いたというか。サビがパッとできて、Aメロをつけたのかな。


──白い汽笛時代はメンバーの存在で曲が変わっていくこともたくさんあったと思うんですけど、これからは、ふだんとしてどういうふうになっていくと思います? 組む人によって変わってゆく? それとも自分で固めてゆく?


ふだん 自分で作っていきます。音源作るときは、誰かと一緒にやるのもできたらいいなと思いますね。そういう曲はひとりのライヴではどうしようか、みたいな悩みもありますけど。もちろん、自分の曲は弾き語りでやれる前提はあるんですけど。


──そういう意味では、ひとりだけど、バンドでもあり、オーケストラでもやれる。


ふだん まあ、そうですね。バンドでできたらいいなという思いはあるんですけど。今回やったようなレゲエとかロックステディみたいな曲を作りたいモードなんで。うっしー(潮田雄一)とも「バンドせえへん?」って言ってたんです(笑)。でもまあ、東京にも(潮田とやりたい)ライバルはいるんで。


森 おぐらくんとうっしーと全然タイプ正反対なのに似てる部分があるのがちょっとおもしろくて。年も一緒やし。


ふだん 絶対交わらへんはずやったのに、たまたま会ってから気が合った。


森 おぐらくんの誰とでもリンクできる感じって、今回の7インチでもそうやけど、すごく楽しみやな。


──まさに、普段着のまま、音楽に入っていける。おしゃれしたり、厳しい目で見たりとかせず、ふらふらと、かつフラットな目線で。そういう目線で見ると、「あ、この人もおもしろい」とか、いろんな発見がある気がしますね。


森 もちろん、こんがりおんがくとしてもおぐらくんがやりたいペースでやっていくのを後押しできたらいいと思ってます。この7インチも、ぼくが「いい!」と思ったから「出そう!」って言ったし、「これは7インチやな」ってすぐ思ったし。


──アートワークも、いいですよね。


ふだん イラストは黒木雅巳くん。今回、ふだんとしての自分のアーティスト・デザインも黒木くんにしてもらって、すごくよかったです。


──そういえば、ふだんって、一応顔出ししないんですよね。何も知らずに聴いた人は「このバンド(人)、もう20年くらいやってる超ベテラン?」みたいに思う感じも滲み出てますよね。だけど、これがデビュー・シングルだという。


ふだん いいっすよね。35歳でデビューって。「かたちにしよう」って森くんが言ってくれたから、というのもあるし。


──白い汽笛時代のレパートリーも、ふだんで拡大してみるというのもできるだろうし。また別の“with ○○”もいいだろうし。


ふだん 自由度は一番ありますね。今の生活にほんまに合ってるというか。ありがたいです。


──〈ふだんまつり〉みたいなこともやってみたらいいんじゃないですか?


森 ね! 今回のレコ発もふだん、エマーソン北村、popoの3組でできたらいいなという話はしてるんですけどね。


──その3組のパッケージは最高だから、全国いろいろ行ってみてほしいですよ。ひそかに心が踊る祭り。


森 それ、やろう!


ふだん まあ、ゆっくり計画して、ゆっくりやれれば(笑)。いいのができたんで、みんなに聴いてほしいですね。


(おわり)


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ふだんとしては基本、顔出ししないということなので、これが取材中の写真。左端に見切れてるのが、ふだん氏。


近況やライヴ・スケジュールなどはこちらで。

今のところ、次のライヴ予定は発表されてないし、ふだんの音源を聴く方法は7インチを買うしかない。だけど、また近いうちにどこかでふらっと会うでしょ。


とりあえずそのうち「fudan」に飲みに行く約束はした。