りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

バースデイ・ストーリーズ

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

★★★★

感想文を書くっていうの、すごーーく苦手なんだけどこうやってブログで残しておこうと思った一番の原因が記憶力の衰え。
昔から記憶力がなかったけれど、年のせいなのかアルコールにヤラれたのか、ここ数年はもう笑えないほど記憶が残らない。だからメモを残しておかないと、何度も同じ本を読んでしまいそうで怖いのだ。いやそのたびに初めてのつもりで読んで毎回感動できるなら、それはそれで幸せなことなのかもしれないけど、でもまだまだ自分が知らない面白い本が沢山ある!と思うと、できれば次々新しい本を読みたいなぁーと思うのだよ。せめて若いうちには。ってもう全然若くはないけどさ。はっはっは。
あとちょっと前まで多かったのが同じ本を何度も買ってしまうこと。「お、このタイトル面白そう」とか「前から読んでみたかったんだー」っていう想いだけで買って帰ってくるとすでにその本が本棚に積んである、ということがよくあって。最近はあんまり本を買わないようにしているからそういうことも少なくなったけど。

で、「バースデイ・ストーリーズ」。これは前に読んだことがあったんだけど、村上春樹翻訳ライブラリーで刊行されたので購入して、私にしたら珍しく再読してみたのだ。
いやこれがどれも印象的な物語のせいなのか、あるいはこれを読んだ時はわりと丁寧に読んでいたせいなのか、どの話もほとんど記憶に残っていたのだ。中にはタイトルだけで「ああ、こういう話だったよな」と思い出せる物語もあって、ちょっと感動。

当時、こうやって村上春樹が編纂したアンソロジーを読み漁っては、「これはイイ!」と思った作家をメモして残しておいて、他にこの作家の作品が翻訳されていないか?と探して読んでいた。ほとんどの作家が翻訳されていなかったのだが、それから何年かしてから村上春樹柴田元幸によって翻訳された作家が何人かいた。レベッカブラウンとかウィリアムトレヴァーとか。

また、もともと好きだった作家で、ここで紹介されて「おお。こんな短編も書くんだ?」と驚いた作家もいる。ラッセル・バンクスイーサン・ケイニンとか…。ラッセルバンクスは好きだったなぁ…。「大陸漂流」「この世を離れて」。最近何か新しい作品が翻訳されたりしているのだろうか。また読みたくなってきたなぁ。

この「バースデイ・ストーリーズ」に収められているラッセルバンクスの「ムーア人」。これ、本当に好きだ。苦くて甘いこの物語。すごくいい。
ウィリアム・トレヴァーの「ティモシーの誕生日」もとてもいい。何年たってもその情景がふと頭に蘇ってくるような作品だ。記憶力がスズメの涙ほどしかない私も、ひとの家のトイレに入る時ふとこの物語を思い出すときがあるのだ。
リンダ・セクソンの「皮膚のない皇帝」も、題名だけど「ああ、こういう物語だった」と思い出すことができる、印象深い作品。この人の翻訳本、他にも何か出ているのだろうか。

何よりうれしいのは、作品一つ一つに村上春樹の解説が書いてあることなんだなぁ…。一緒に大事に読んでいる気持ちになれるのがとてもうれしいのだ。あとがきに書いてある、誕生日のエピソードもとてもいい。
誕生日を題材にした小説を集めたアンソロジーだが、暗い物語が多いのもなかなか味わい深い。

****

で。自信満々でアップしたは良かったんだけど、あとで自分で検索したら2006年にもこの本を読んで感想を書いてたよ、よよよ…。なのに、積んでおいてようやく読んだ!と思って嬉々としてアップしてる私って…やっぱり記憶が希薄な女だ。