NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション
NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション
★★★★完全新作アンソロジー・シリーズ最新刊! ベテラン勢+新人特集。全10編。執筆陣:宮部みゆき、牧野修、北野勇作、斉藤直子、蘇部健一、樺山三英、松崎有理、高山羽根子、船戸一人、七佳弁京
前にこのシリーズ「NOVA 4」を読んだことがあったんだけど、このNOVA 6も面白かった。結構な勢いで出ているようなのだが、未読のものも少しずつ読んでいくつもり。
本格SF読みの人には少し物足りないかもしれないけれど、SFと奇想の間ぐらいのもやもや感が私にはちょうどいい感じ。
ちゃんと感想を書いておかないと、後から読んでもなんのこっちゃか思い出せないので、面白かった作品についてはちゃんと書いておこう。
(「ドラゴンタトゥーの女」を観たいなぁ!と思って、自分が書いた「ミレニアム」の感想を読んでみたら、あまりになーんも書いてなくて、どういう話だったのかどこが面白かったのか全く思い出せなかった…とほほ。)
・「白い恋人たち」斉藤直子
NOVA4に出ていたこの人の「ドリフター」がめっちゃ好みだったんだよなぁ!
ある日「僕」のクラスに、セーラー服の首から上を白いマスクですっぽり覆った女の子が転校してきた。
そういう人がいるということはテレビで見て知っていたけれど、まさか自分たちの住むこの田舎町には関係ないと思っていた僕。
彼女の忘れ物を届けにきた母親が美人だったこと、彼女のしぐさや声がかわいいこと、そしてなにより見えない部分への好奇心から、彼女はあっという間に学校のアイドルに。
地味な僕が彼女と親しくなるチャンスはゼロかと思ったけれど、抜群にセンスのある親友エイトのおかげで、なぜか付き合えることになった僕。
しかし自分への自信のなさからそれ以上彼女に近づくことができず…。
花粉症やインフルエンザ予防を理由にマスクをしている人がたくさんいる昨今。
10年前なら異様に思えたその光景にもすっかり慣れてしまった。
そういう中、風邪や予防ではなく、ただ落ち着くからという理由でマスクを手放せない若者も増えていると聞く。
だからこの物語にある、マスクで頭から首まですっぽり覆って日常生活を送る人たちというのも妙にリアルだ。
ちょっと異様だけど、等身大っていうのが、なんかいい。ちょっとクセになる。
・「十五年の孤独」 七佳弁京
これがデビュー作になるらしい。
宇宙に建てられた塔を目指し軌道エレベーターを人力で登ろうと試みる男の15年に渡る孤独な戦いを描いている。
ものすごく壮大で本格的な設定なのだが、描かれるのはひたすらエレベータを人力で登っていく男の視点なので、妙に視野が狭いというその対比が面白い。
それほど親しくもない友達や別れた彼女が定時通信の相手をつとめる、というのもなんだかちょっとばかばかしくて面白い。
・「超現実的な彼女 代書屋ミクラの初仕事」 松崎有理
代書屋として論文を書く男が片思いする花屋さんに近づこうとするけど、なかなか距離を縮められない。
これのどこがSFなのか?という疑問は残るけど、なんかものすごく好みだった。どこが…というのはうまくいえないんだけど、最後のサボテンの件とかちょっと良すぎてうるうる。
この作者の作品をもっと読んでみたいと思う。
・「保安官の明日」 宮部みゆき
宮部みゆきがSF?!と驚いたけど、そういえば「クロスファイアー」「龍は眠る」とか書いていたんだよなぁと気付く。
主人公である保安官がとてもフツウなだけに、世界観が謎でもやもやするのだが、最後まで読んで「うぉっ」と驚くという…。
ちゃんと謎をきちんと落とし前つけてくれるところが、さすが宮部みゆき!なのである。
やっぱりこの人の仕事は丁寧だね!(←何様?)
一一一一一(イチイチイチイチイチ)
- 作者: 福永信
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/11/12
- メディア: 単行本
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問が答を生み、答が問を生む。ひたすら繰り返される二人の会話は壮大な物語か、ただのムダ話か。最小単位であり最大単位でもある「一」が奏でる三一一以前の日常の輪廻転生。円城塔推薦。
一度目にしたら忘れられない奇抜なタイトル。
読書メーターの新着情報欄にこの本のタイトルが並んだ時、「え?なに?」と思わずクリック。
インパクトのあるタイトルを裏切らない摩訶不思議な内容であった。
物語は2人の会話だけで綴られる。
「そうなんだね?」「要するにこういうことだったのだろう?」「君は今こう思っているんだろう?」
独断的な問いかけに対し、聞かれた方は「そうですね」「そのとおり」「おそらくは」と肯定しかしない。
物語は6つ収められていて、それらが少しずつリンクしていて、正解が隠れているようないないような…何かが見えてくるようなやはり見えないままのような…意味があるようなないような…。
結局もやもやとよくわからないまま読み終わってしまったのであった。
正直こういうの得意ではないのだが、でも読みやすさと短さでどうにかセーフ、という感じ。
この問いと答えの間に時々ふと我にかえるように「なんだ、これ?」という言葉が入る。
これがとても気になる…。
…で、なんだ、これ?