(335)時代の終わりに(19)人類が生き残るための気候変動という転轍

国連事務総長はボーンでの世界気候変動会議で、上のZDFニュースで観るように「私たちの時代は確かな危機が始まっている」と宣言した。
確かに危機が始まっていることは、下に載せたZDFがCOP23に合わせて制作した『気候が壊れるとき』を見れば確信できるだろう。
すなわち北極氷河の溶解は最早止められない事実であり、北極のすべての氷が溶け出すと、海面上昇が7メートルに達するという。
世界の大都市の3分2は海岸付近にあり、洪水などの大きな被害を受けてそれを身近に感じているマイアミは、遅かれ早かれ巨大台風襲来の大洪水によってインフラが機能しなくなるため、人が住めなくなると言い切っている。
それは、海岸付近の世界の大都市が将来人の住めなくなることを意味している。
そのような時代の到来を、人類が対処できる緩慢に遠い将来にするかは、いかにCO2排出量を削減できるかにかかっている。
しかしそのためには早急な石炭電力からの撤退が不可欠であり、エネルギー転換が進むドイツでさえ上の動画で見るように容易ではない。
既に私が載せた『ZDFが問うエネルギー転換での石炭回帰』を見れば、その困難さが理解してもらえるだろう(注1)。
すなわ圧倒的多数のドイツ市民やメルケルが石炭電力からの撤退を望んでも、本来積極的であるべき社会民主党SPDが産業とのパイプを通して、圧力から逆に守る側となってしまう構図が見えて来る。
そのような視点からボーンでの今回のCOP23を見れば、トランプのパリ協定離脱宣言にもかかわらず196カ国の連帯結束と言うより、具体的実現の先送り感は否めない。
しかも具体化を約束したポランドでのCOP24は、ポーランド自身司法とメディア支配で独裁化が進行しており、さらにトランプに追従して石炭電力推進を掲げていることから、暗雲が漂っていると感ぜずにはいられない。
また北朝鮮の長距離弾道ミサイルの完成が近づくことで核戦争危機が迫っており、さらにはパラダイスペーパーに見るように国民国家の危機が見えて来ている。
そのような出口なしの危機世界ではあるが、気候変動対処への世界の連帯結束こそ、人類が生き残るための転轍と言えよう。

(注1)https://www.youtube.com/watch?v=BRRjO1EpB6M&t=18s