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「高校無償化」措置を朝鮮学校に適用することを求める大学教員の要請書

2013-01-27

パブリックコメント(3)

 届いたコメントを新しい順に掲載します。


李 成基さん

 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下、高校無償化)施行規則の規定を改正することは、下村博文文部科学相の発言からも明らかなように、朝鮮学校をこの制度から合法的に排除するための人種差別的な行為であることが明白なため、改正を強く反対する。

 下村博文文部科学相は、「朝鮮学校については、拉致問題に進展がないこと、在日本朝鮮人総連合会と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、現時点では国民の理解が得られない」ことを理由として、朝鮮学校への高校無償化を適用しないと明言した。このような理由により朝鮮学校を高校無償化から除外することは、不当であり、人種差別である。

 高校無償化は、国際情勢や政治的事象、国民の理解以前に、学生に対して当然の権利として平等に適用されなければならない。日本政府は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)を順守しなければならない国際法上の義務を負っている。高校無償化の不平等な適用は、第2条および第13条に違反し、人種差別撤廃条約が禁止する、民族的な出身に基づく「人種差別」にあたると考えられる。

 そして、高校無償化は学生個人への就学支援であり、国際情勢や政治的事象と結びつけることは適当でない。高校無償化の適用が、生徒個々人が受けられる当然の権利であるということを、国民に理解が得られるよう、日本政府がしっかりと説明すべきである。

 高校無償化施行規則の規定改正を撤回し、速やかに高校無償化を対象となる全ての学生達へ適用することを、強く強く要求する。


佐野通夫さん

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に反対する。

そもそも、この省令は、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律に基づいて作られねばならない。

同法は、その(目的)で「第一条  この法律は、公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに、公立高等学校以外の高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとすることにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的とする」と定めている。第二条で「専修学校及び各種学校」について、「文部科学省令で定めるもの」という限定が付されているが、第一条の趣旨からして、その対象を限定的に制限することは許されないといえよう。

その意味では、現行のイ、ロ、ハに区分する必要もなく、すべてが現行ハ項の「高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」で十分なはずである(当該課程の主な就学者の年齢等を考慮すれば足りるので、当該外国の学校教育制度においての位置付け等は不要である)。

現に改正案に「※現時点で、(ハ)の規定に基づく指定を受けている外国人学校については、当分の間、就学支援金制度の対象とする旨の経過措置を設ける」と記されていることは、ハ項でなければ、同法に対処できないことを示しており、ハ項を削除することは、今後、設置されるであろう学校についても対処できなくなることを意味する。

イ、ロ、ハに区分することは不当であるとしても、ハ項によって、すべて対象とされうる状態であったので、この省令の正当性が保たれているとしたら、そのハ項の削除は許されないことである。


坂元ひろ子さん

 私は自身、昨年11月、文科省・政府への「高校無償化」制度の朝鮮学校への適用を求める要請行動に参加しました。それ以前にも3度、参加しています。文科省のかたがたは、そのたびに、政治的な理由で差別をするということを文科省では考えない、と言われ続けてきました。けれどもトップ・レベルの「政治判断」で遅れてしまっている、朝鮮高校への審査を継続している、といった説明をし続けてきました。そのあげくに、政権が変わって、下村博文文部科学大臣が「朝鮮学校については、拉致問題の進展がないこと、人事や財政面で朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、現時点の指定は国民の理解が得られないので、不指定の方向で検討」、「子どもには罪はなく民族差別をするわけではないが、拉致問題や国交回復という一定の問題が解決された後に考えるべき問題」との考えを示すに到りました。そのためだとしか思えないのが、このたびの省令改訂案((ハ)項削除案)です。

すると、政治的理由によって教育面で差別をする、ということに文科省は方針転換されたということでしょうか。それは、昨年、政府が国際人権規約の中等・高等教育の漸進的無償化条項の留保を撤回したことをも再度、撤回することをも意味するのでしょうか。「子どもには罪はなく」ということと、相反する処置としかみえません。「国民の理解が得られない」(私も国民なのですが)という理由で、たとえば学校教育での「体罰禁止」を認めず(体罰をよしとする国民や保護者も少なからずいるようです)、世界経済フォーラム発表の男女平等実現度が135カ国中、日本は101位に下がってきているという状況下にあっても(研究者の男女比においても突出していますが、最悪なのは政治家レベルでのそれです)なんら有効な策を講じることなく(男女平等実現を求めない国民も少なからずいます)、教育現場で国際人権規約に反し、人権蹂躙に至ろうとも、「国民の理解」・「政治問題」次第(恣意的な口実といわれてもやむをえないでしょうが)、という方針なのでしょうか。そんな文科省ならさっさと「仕分け事業」対象としていただくほかありません。

国籍にかかわらず、民族語による教育を受けたくて民族学校に通いたい、という納税者の子どもたちも少なくないのです。「子どもには罪はない」のはもう当然の当然として、朝鮮学校出身の学生を受け入れている国立大学の教員として、朝鮮学校(前述のように生徒の国籍はさまざまです)が朝鮮総連との関係で何かとりわけ教育上の障害になると思えたことは一度もありません。それどころか、教育面での多様性をもたらす点で寄与しています。文科省はどうやら教育の面での「グローバル化」を英語一辺倒教育化とはき違え、他方、多様性を極力、排除し、また自他ともに傷つけた戦争をめぐって被害者に到底受け入れられない歴史認識に固執しようとしていますが、それは人道的、国際的な一応の合意とも相容れないものです。このようなことをしているからこそ、国際的な場面で活躍しようとしても、その「国」民は恥ずかしい思いをさせられることになっているのです。

このほどの省令改訂には反対です。今回の方針を速やかに撤回し、国際人権規約に沿って、「高校無償化」制度の朝鮮学校への適用への決断をされるよう、強く強く求めます。


岡田 正則さん

 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に関する意見を申し述べます。

「パブリックコメントに対する意見」

 改正の内容は、上記法律2条1項5号の委任を受けてこれを具体化する同法施行規則1条1項2号の定める3つの類型のうち、(ハ)の類型を削除するものである。この改正は、次の3つの理由から違法であると解される。

 第一に、適法な委任立法であった従前の規定を、合理的理由なく(あるいは立法事実が存在しないにもかかわらず)適用対象を限定する点で、過剰な規制になる。改正後の規定は、同法の「高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与すること」という目的を没却する、委任の範囲を逸脱した規定になってしまうと解される。

 第二に、改正の概要の備考として、「現時点で、(ハ)の規定に基づく指定を受けている外国人学校については、当分の間、就学支援金制度の対象とする旨の経過措置を設ける」という方針が示されているが、この改正は、法令上の基準に適合するとされた地位を当該外国人学校から剥奪するものであり、不利益処分となる。法令上の基準に適合するとみなされる地位と恩恵的な経過措置による地位とは、法律上の地位としては本質的に異なる。この点は、後者の地位がいつでも政策的に剥奪されうるという不安定なものであることをみれば、明らかである。そして、この不利益処分は、合理的な理由を欠くものであるので、違法である。

 第三に、仮にこの改正が、朝鮮学校を狙い撃ちにした改正だとすれば、それは最高裁判所の判例に反する違法な改正だとみなされることになる。すなわち、最高裁判所第二小法廷平成16年12月24日判決・民集58巻9号2536頁は、一定の申請を了知した上でこれを阻止する効果をもつ条例を制定する場合、制定者は十分な協議を尽した上で申請者の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務を負うとし、この義務に違反して拒否処分をした場合には当該処分は違法となる旨を判示しているところ、この改正は上記最高裁判例のいう協議義務・配慮義務に反していることは明らかであるから、違法な改正だといわざるを得ないし、この改正後の規則に基づいて拒否処分を行った場合には、その処分も違法だと判断されることになる。現時点で、文部科学省は朝鮮学校に対する調査さえ行っていないとのことであるから、協議義務・配慮義務以前の、申請に対応する調査義務さえも果たしていない状況にある。そうすると、この改正は、最高裁判例に照らしてみても、違法な改正といわざるをえない。なお、行政手続法39条1項によれば、意見公募手続として、関連する資料をあらかじめ公示すべきものとされているところ、上記に関する資料がまったく公示されていない点で、本意見公募手続自体が手続法上違法だとも解される。

 以上のとおりであるから、文部科学省は、この改正案を撤回し、改正方針を内閣法制局等と慎重に検討し直すべきである。拙速な改正を慎むことをお勧めする。以上。


古屋 哲さん

省令案に反対です。

朝鮮高校の生徒にも、無償化制度は適用されるべきです。

教育の権利はすべての子どもたちに保障されるべきであり、朝鮮高校の生徒も例外であってはなりません。

審査は必要でしょうが、朝鮮高校についても他の学校同様、その教育内容のみを現在の高校無償化法の基準で審査し、判断すべきです。


吉田 絵理子さん

公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に関する意見

 2010年4月の無償化制度開始からすでに3年近くが経過したにもかかわらず、朝鮮学校だけが、拉致問題、砲撃事件など、生徒たちに何の関係もない理由でこれまで手続きを引き伸ばされてきました。

国籍や民族にかかわりなく、誰もが高校段階の教育を受けることができるよう、学習権を保障することを目的とするこの制度から、朝鮮学校の生徒たちのみを排除することは、国連人種差別撤廃委員会がすでに2010年3月に懸念しているように、差別にほかなりません。

 朝鮮学校の生徒たちは拉致問題にまったく責任がありません。朝鮮学校排除を目的とする省令改訂は、憲法や国際人権法に明らかに違反しますが、それだけでなく、日本の社会をふるさととして働いて生きていこうとする青年たちの心を傷つけるものです。

省令を変えようとするやり方だけでなく、パブリックコメントというやり方自体も卑劣だと思いますが、日本の社会がよりましであるために、敢えて意見表明をする1人になることにしました。

朝鮮学校を無償化の対象からはずすことに断固反対します。


落合 知子さん

改正案に反対いたします。

 海外における日本語教育、日本における外国人児童生徒への教育問題を研究する者として、朝鮮学校への就学支援金の支給を直ちに現行の法定の手続きに従って行うべきと考えております。

 多くの教育学者は外国にルーツを持つ少数派の子どもたちへの母語支援、母文化に係る教育支援の重要性を指摘しています(例えば、ジム・カミンズ、J・バンクス、中島和子、梶田正巳など)。梶田(1997)は外国人の子どもへの教育対応の土台に「アイデンティティの支援」を挙げ、その重要性を指摘しています。外国にルーツを持つ子どもたちへのアイデンティティ支援を公立学校の枠の中で行えないのであれば、民族学校の存在は大変に重要であると考えます。特に日本の朝鮮学校の2言語によるイマ―ジョン教育は4世代にわたってその継承語の維持、バイリンガルの輩出に成功している稀有な例として考えられており(中島2010)、長きにわたる朝鮮・韓国学校の言語教育実践は世界に誇る言語資源として評価されてしかるべきではありませんか。

 また朝鮮学校への就学支援金不支給の理由が朝鮮学校に通う子供たちの先祖の出身国である北朝鮮と日本国政府の外交上の問題に求められていますが、外交上の問題は外交の場で解決すべきであり、日本国内で育ちゆくわれわれ社会の子どもたちの教育権を侵害することによって解決は図れないでしょうし、そのような試みは正義に反します。

 太平洋戦争中、日本からの移民の1世2世はアメリカにおいて財産を奪われ、強制収容所に入れられましたが、その後、補償と大統領による公式謝罪が行われました。またその後アメリカの教育の場で「日系人学習」という教育カリキュラムが実践されています。これは強制収容された日系人を「共感的に理解」することが学習目標としてあげられ、さらに戦後の謝罪と補償のプロセスを学習し、「アメリカが戦争中の不正義をただし謝罪と補償という民主的な対応をしたことを知り、」「(生徒に)どんなときでも、憲法・権利章典およびすべてのアメリカ人の市民的自由を擁護するための責任を共有していることを考えさせ、理解させる。」ことを目標としているのだといいます。

 私たちもまた、民族教育という児童の権利条約(注1)で規定された権利を侵害されようとしている朝鮮半島にルーツを持つ子どもたちの権利を擁護する責任を共有すると考えます。

 世論は折に触れ傾きますが、政治が世論に流されず、正義を貫くことを期待します。第2次世界大戦後、ブラジルで起きた日系移民の勝ち組負け組の争いによって多数の死者を出した事件を受け、ブラジルでは日系人を危険な移民とし、排斥の世論が巻き起こったといいます。その折日系人排斥決議がブラジル下院で討議され50対50で賛否同数となり、下院議長に判断がゆだねられました。議長は「ブラジルは多文化の国であり特定の移民を排斥しない」と揺れる世論を収めたといいます。この時議長による正義の主張がなかったら、現在のような日本とブラジルの友好関係は築けたでしょうか。

 日朝の未来にどのような未来が広がるか、その架け橋となる子どもたちを私たちの社会が健全に育てることにかかっています。朝鮮学校を排除、排斥することに強く反対いたします。新政権の最初の仕事がマイノリティの弾圧だったというメッセージを世界に向けて発しないように、この国を愛する1市民として強くお願いいたします。

梶田正巳他1997『外国人児童・生徒と共に学ぶ学校つくり』ナカニシヤ出版

中島和子2010『マルチリンガル教育への招待-言語資源としての外国人・日本人年少者』ひつじ書房

(注1)児童の権利条約第29条第1項C「児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること」、同条約第30条「種族的、宗教的若しくは言語的少数民族又は原住民である者が存在する国において、当該少数民族に属し又は原住民である児童は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」


辻 知幸さん

今回,高校無償化から朝鮮学校(だけではないのかもしれないが,実質はこれが目的と考えます。)を除くという案が出ています。

 信じられません。

 北朝鮮の蛮行は絶対に許してはいけないことではあります(同様に日本の以前の行為もですが…。)。

 だからといって,日本の高校課程に当たる生徒たちの未来を奪う権利はどこにもないのです。彼らのほとんどは,少なくない差別を受けながらも日本で生きていくのでしょう。この差別には,今回の措置も入ります。

 私は,日本が先進国とは絶対に考えませんが,中にはそうだと考える人もいるでしょう。しかし,今回の措置で日本が先進国とはだれも考えることはないでしょう。先進国という意味が,世界と日本では全然異なるものとなるのでしょうね。

 私は教育機関の末端で働いていますが,今回の措置はまったく納得がいきません。

 教育というものは政治と無関係とはいかないかもしれません。だからといって,今回の措置は行き過ぎです。

 少しでも彼らが未来を感じられるように要請します。


濱田 麻矢さん

省令の改悪に反対します。教育を受ける権利は国籍には関係ありません。また、学ぼうとする生徒たちは外交問題とは何の関係もありません。政府ぐるみが組織的な差別に加担することに絶対同意できません。


廣岡 浄進さん

 上記省令改定案に反対します。

 これは、報道されているように、朝鮮学校を狙い打ちして排除するための政策であると理解しています。巻き添えになって、朝鮮半島の南北分断を批判する立場から「本国」政府との関係を有さない、大阪府茨木市のコリア学園も、高校授業料補助金制度の対象外とされます。このことにも、反対します。そもそも在日朝鮮人は日本による朝鮮植民地支配の歴史を背負って二世三世四世と代を継いでいるのであり、日本政府は戦後その民族教育を保障すべきであったにもかかわらず、かえって弾圧してきたことが、まずもって問題であり、反省と政策転換が求められてきました。

 日本政府が加入している子どもの権利条約においても、子どもの生まれた地位にかかわらず権利が保障されるべきであり、とりわけマイノリティの子どもにおいては言語などその属する共同体の文化を尊重する教育が政府によって保障されねばならないと、うたわれています。その観点から、すでに、国連子どもの権利委員会は日本政府のこの処遇に憂慮を表明してきました。

 政府文部省は自主的な民族教育機関さえも否定してきましたが、地方行政において各種学校認可がなされ、少額ですが学校補助金も実現されてきました。

 さらに、大学進学にあたって、朝鮮学校が含まれる所の民族学校について、それまで大学入学資格検定試験の合格を要していたものを、各大学の入試要項に記載されている「高等学校卒業と同等程度以上の学力を有する」条項の適用を求める運動がなされました。小生も微力ながら関わりました。その結果、「本国政府」「国際バカロレア資格」などが一律認定される一方で朝鮮学校は個別大学の判断に委ねられたという不十分さをのこしてはいますが、大きく改善がなされました。

 今回の省令改定案はこの取組みを逆流させようとするもので、到底容認できません。政府による差別煽動に他なりませんし、実際に、この制度ができて以来、朝鮮学校への適用審査凍結という形で朝鮮学校排除がおこなわれると、小生の住まう大阪でも、その尻馬に乗って、それまでの地方自治体の補助金までも停止そして廃止という事態を招いています。つまり、新しい制度からの排除は、既存の制度からの排除までも、呼びこんでいるのです。

 近年の国際化において、在日朝鮮人が本名を名乗ることでスポーツ選手や芸能人あるいは知識人として多く活躍していることが知られ、日本社会であたりまえの状況となってきました。また韓流ブームなどの朝鮮半島との交流を支えてきたのも、民族教育をうけてきた在日朝鮮人であります。日本社会の多様性を可視化し肯定していくときに、彼らの果たしてきた役割たるや大なるものがあります。

 朝鮮人があたりまえに朝鮮人であることを認められ、かつ自ら肯定できる社会にしていくためには、政府が差別せず、のみならず差別をなくしていくための政策をとらねばなりません。

 ひとりの部落民として、そして部落問題の研究者として、最後に述べます。部落差別をはじめ、どんな差別も、孤立しては存在しません。それが日本社会において生起している以上、あらゆる差別がつながっています。

 朝鮮民主主義人民共和国の政権を仮想敵国として危機を煽り、朝鮮人の民族教育を弾圧する政策は、日本社会の底流にある人種差別をかきたてています。それは、内なる他者をあぶりだす動きとして、地震によって地殻が動くように、連動します。すでに、部落差別を煽動する雑誌報道までも出現していることは、周知の通りです。差別を許容する雰囲気が形成され、垣根、敷居が下がっているのです。その情況を、政府が先導しているのです。

 これは、世界人権宣言、国際人権規約、人種差別撤廃条約などの諸条約に照らしても、政府の責任に帰すべき問題です。かかる政策は、絶対に取ってはなりません。


匿名

 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則」第1条第1項第2号において定めている三つの類型のうち、(ハ)類型を削除する“改正”を行なうとして示されている、新たな省令案に対して、強く反対します。就学支援金制度の対象となる外国人学校を(イ)と(ロ)のみに限定することによってでは、たとえば朝鮮高級学校の場合、日本の高等学校の課程に相当する教育課程を有していながら、就学支援金の支給制度の対象から除外されてしまう、ということになるからです。この点を熟慮し本制度の趣旨に照らして偏りなく制度の実現を図ることが、何よりも大切だと考えます。


池田 恵理子さん

 朝鮮学校が高校無償化の対象から外されることに反対します。これは明らかな民族差別であり、重大な人権侵害です。人種差別撤廃条約や国際人権規約、子どもの権利条約にも反しています。下村文部科学相は「朝鮮学校への無償化適用に国民の理解が得られない」と言っていますが、これは多数決で決める類の問題でありません。日本社会に生きる子どもたちには平等に高等教育を保障すべきなのです。まして日本は朝鮮半島を植民地にした過去を顧みず、戦争責任も取ることなく現在に至っています。そのため国際社会では「戦争責任を果たせない国」として蔑まれてきました。このまま恥ずかしい国の国民でいたくありません。断固、撤回を求めます。


蔵原 清人さん

 省令改正案に反対する。

  理由

1) 日本に居住する青年が国籍や人種によらず等しく高等学校教育を受けることを保障するために、日本の学校制度によらない教育であるとしても就学支援金を支給することは当然である。

2)日本国は朝鮮民主主義人民共和国と現在国交を結んでいない状況であるが、当該国の国籍をもつ朝鮮人が日本国に居住していることは特別な歴史的経緯によることであり、国交を結んでいないことを理由に朝鮮高校生に対する就学支援金を支給を停止することは許されない。

3)日朝間に、日本人の拉致問題など懸案事項が存在することは明かであるが、それらと日本に居住するものに対する就学支援金の支給の是非とは別個の問題である。在日朝鮮人に対する就学支援金を支給することは若い世代の日本への信頼感、友好関係を高めることになり、両国間の関係改善に資するものである。就学支援金の支給を行わないことによって生じる日本に対する不信と失望を引き起こすべきではない。

4)児童の権利条約第18条第2項には、「締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するにあたりこれらの者に対して適当な援助を与えるもの」とあり、就学支援金はこの「適当な援助」に該当するものである。したがって、朝鮮高校生に対する就学支援金の支給は子どもの権利条約に照らして、日本国として国際的な義務を負っているというべきである。


小此木 喜美代さん

 朝鮮学校に高校無償化を適用することを要望します。その理由について的確に書かれた文が手元にありますので一部引用させていただきます。「朝鮮学校は地方自治体から各種学校の認可を受け、教育課程・内容を公開しており、大学受験資格もあり、高体連など学校教育会でも認められている学校である」「民族的少数者がその居住国で、自らの文化を継承し、言語を使用する権利は、日本も批准する自由権規約(第7条)や子どもの権利条約(第30条)において保障されており、日本はこれを遵守する法的義務がある」「北朝鮮の国家的犯罪と、日本で生まれ今を生きる在日朝鮮人の子供たちの教育は、何の関係もない」「国際法を遵守し、多文化共生社会をめざす世界の流れをきちんと受け止めるべき」朝鮮学校は地域に根ざし開かれており、行事の際には地域の方々はもちろん、地元の政治家の方々も足を運び交流を持ち続けています。生徒や先生には韓国籍や日本国籍の方たちもいます。自らの学校を親しみを込めて「ウリハッキョ」と呼び目を輝かせて学ぶ子どもたち−一日も早く「高校授業料無償化」が適用されることを強く望みます。数えきれないほどの卒業生たちは、かけがえのない市民として、今も昔も、日本社会を共に支えているのです。