猫が星見た

映画の感想

金の糸(Okros dzapi)

ジョージア旧市街地になる古い家で暮らす作家のエレネ。彼女の79歳の誕生日を家族は覚えていないが、かつての恋人アルチルから電話がかかってくる。

エレネの娘の姑ミランダは元政府高官。アルツハイマーのため一人暮らしができなくなり、エレネの家で同居することになるが・・・。

あまりにもふわっとした雰囲気なので、これは文化人が観る映画かな?と思ったんですが、途中からそうでもないかも?と思い始め、この第三次世界大戦中の現在においては意外とタイムリーな作品なんじゃないかと思いました。

ジョージアにはもちろんロシア側の人もいて、そちら側の人は今の世界は到底耐えられないのだなと痛感する作品。西側の思想の人間って良くも悪くも快楽的で柔軟性がありますけど、東側の人って頑固でかわいそうなくらい真面目なんだと、使命感を持って生きていたんだと思いますね。それで他者を傷つけようと、自分の信じる正しいことをすることが全てなんですよね。西側の世界になったこの世の中で取り残されて淘汰されるしかない、哀しいお話だと思いました。

監督の意図には反するかもしれませんが、私は主人公のエレネの前に進んでポジティブに生きようとする力よりも、消えてなくなってしまうミランダの人間としての哀しみに目がいってしまいました。

 

 

金の糸(字幕版)

金の糸(字幕版)

  • ナナ・ジョルジャゼ
Amazon

 

 

インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》(Raiders of the Lost Ark)

型破りな考古学者インディ・ジョーンズ博士のはじめての冒険

名作はいつまでも名作。ストーリー、美術、音楽、全てが一級品です。特にこの時代の美術とか衣装は本当に素晴らしいなとしみじみ思います。ちょっとちゃちいのがたまらなくいいんですよね。てか81年の作品なんですよね。凄すぎますよね。

一点難癖つけるとすると、子供の頃に吹替版をテレビでみただけだったのでその時はなんとも思いませんでしたが、今回アマプラで字幕版を鑑賞してみると、ハリソン・フォードの演技は初作だからかけっこう硬さを感じました、なんとなく。でもこの大学教授なのに脳筋バカみたいなシンプルさがいいような気もしますし・・・。

そして何より特筆すべきは115分、115分ですよ!やっぱり映画は2時間以内!素晴らしい作品です!

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(Tucker and Dale vs Evil)

幼馴染のタッカーとデイルは休暇をとり、コツコツ貯めたお金で購入した別荘を修繕して滞在する予定である。旅の途中で大学生の集団に会い、奥手のデイルは意を決してそのうちの一人に声をかけてみようとするが、顔面が強面のため、大学生たちに逃げられてしまう。大学生たちは、タッカーとデイルを山小屋の殺人鬼ではないかと勘違いして・・・

ホラーコメディです。スプラッタ要素が強いので、嫌いな人は注意です。

Amazonでは評価高いですが、はっきり言ってそこまでおもしろい?なお話です。私は1時間半が長く感じてしまいました。意味不明に大学生がポンポンえげつなく死ぬのが面白いのかな?これでもかこれでもかとバッドタイミングが重なるところが面白いポイントなんでしょうけど、私はそこまでノレない感じでした。

 

キングスマン(Kingsman: The Secret Service)

ロンドンにある高級スーツ店キングスマンはどこにも属さないスパイ集団のアジトだった。ボンドでもボーンでもない、新しいスパイ映画。

意外とおバカ要素の強いスパイアクション。

最初は面白そう、途中からなんか平凡だな〜、と思ってからの、ラストの威風堂々で「確信犯なおバカ映画」という評価となりました。ラストがなかなか心地よい馬鹿馬鹿しさだったので途中のだるい感じは許します。

主人公は不良少年エグジーなんでしょうが、見どころはコリン・ファースサミュエル・L・ジャクソンのイギリス VS アメリカ的な存在感に尽きます。この中年同士の余裕ある演技がいいんですよね。正直ストーリーは面白いと思わなかったし、アクションもそこまで興奮するものでもなかったんですけど笑、マイケル・ケインとかマーク・ストロングとか謎のスウェーデン王女の美尻など、脇にも力を入れているのでなんとか2時間超えできました。

続編はどうかな?観るかな?コリン・ファースマイケル・ケインが出てたら観るかな。わからないです。

 

金の国 水の国

岩本ナオ原作漫画の映画化。隣り合う2つの国アルハミトとバイカリは長年戦争を繰り返し対立している。アルハミトは資源に乏しいが商業都市として発達し、バイカリは水が豊かだが貧しい。そんな中、両国の友好のために互いの国から嫁婿を送り婚姻が結ばれるが・・・

原作未読です。

つくづく最近の映画(漫画)って丸いですよね。無難というかなんというか、印象に残る部分がなくてうわべだけのおキレイな感じで私は全然感動しません。この作品は世間では評価いいみたいなので、私はもう映画老害となってしまっている自覚はあるのですが、いやいやこれはさすがに全然魅力ないですよと声を大にしていいたいです。

2時間ちゃんとあるのに、登場人物の心の動きとか、展開とかはすごくあっさり感じて、あれ?でも2時間もあるんだよな〜全然深さが物足りないんですけど、と思ってしまいました。主人公2人の恋愛模様もそうですし、左大臣がいきなりやる気出すところとか王様の改心とかね、絵本のように単純なんですよ。絵本の方が深い気もするんで、これは映画の作り手の能力の低さだと断言できます。創作にはイマジネーションが大事と思われがちで、近年の邦画はそれを重視しているような気がしますけど、それより職人的な部分の方が重要だと私は思いますね。緻密な考えの土台の上にイマジネーションがあることで素晴らしい作品ができると思っています。

観る側の勝手な願いですけど、もっと本気で映画を作ってほしい。ただ、この映画が高評価ということは、観る側の能力も低下の一途をたどっていますけど。

 

 

 

ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and the Philosopher's Stone)

全世界が知ってるあのハリー・ポッターのお話

テレビで初放映された時に1時間くらい観てどうしてもこの世界にハマれずに完走できなかった私です。でもやっぱり最後まで観とくかと思い今回勇気を振り絞ってアマプラで鑑賞。20年ぶり2度目。

正統派のファンタジーで正統派の児童文学です。驚くほど正統派。原作未読なのでどこまで忠実なのかは分かりませんが。公開当時は大人の方が夢中になっていたような気もしますが、やっぱりどう観ても内容は子供向けで、というか製作側は子供に楽しんでほしいという熱い想いで作っているなという感じがしました。私に平均的な家庭があって可愛い子供がいたら一緒に観たら楽しいだろうな〜と思う作品です。ただ私には子供はいませんし、優等生の映画が心底苦手なので、第二弾以降は観る気しないな〜ということです。すごく寒々しいこと申しますと、この映画は幸せな人たちのための映画だなと思いました。てかこの単純な話で2時間半は長いよ。

 

 

 

オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)

トルコ発フランス行き豪華列車オリエント急行。列車は大雪による脱線事故で立ち往生となる。その混乱の中で、一等席の乗客ラチェットが不可思議な刺殺体で発見される。偶然にもオリエント急行に乗り合わせたエルキュール・ポアロは、その謎を解きあかそうとするが・・・

ポアロです。ポアロに思い入れのない私の感想です。

つまらなくはない、でもなんかちょっとなーと思ってしまうのは、結末の部分があまりに叙情的すぎて個人的に好きじゃないからです。あと、結局なんのトリックもないっていう謎解きだからです。なので、原作がいまいちってことですかね笑。アガサファンに怒られそうですけど。本当にこれは好みかなと思います。個人的には一流の正義と一流の悪で対決してほしいんですよね、推理物は。あと謎解きの演出としては、常にスピードがありすぎて、観客が推理する暇がないのがイマイチでした。

アメリカ映画ですが、ちゃんとヨーロッパの香りがしているのが好感が持てました。役者も巧者ばかりなのがよかったと思います。