ジョージア旧市街地になる古い家で暮らす作家のエレネ。彼女の79歳の誕生日を家族は覚えていないが、かつての恋人アルチルから電話がかかってくる。
エレネの娘の姑ミランダは元政府高官。アルツハイマーのため一人暮らしができなくなり、エレネの家で同居することになるが・・・。
あまりにもふわっとした雰囲気なので、これは文化人が観る映画かな?と思ったんですが、途中からそうでもないかも?と思い始め、この第三次世界大戦中の現在においては意外とタイムリーな作品なんじゃないかと思いました。
ジョージアにはもちろんロシア側の人もいて、そちら側の人は今の世界は到底耐えられないのだなと痛感する作品。西側の思想の人間って良くも悪くも快楽的で柔軟性がありますけど、東側の人って頑固でかわいそうなくらい真面目なんだと、使命感を持って生きていたんだと思いますね。それで他者を傷つけようと、自分の信じる正しいことをすることが全てなんですよね。西側の世界になったこの世の中で取り残されて淘汰されるしかない、哀しいお話だと思いました。
監督の意図には反するかもしれませんが、私は主人公のエレネの前に進んでポジティブに生きようとする力よりも、消えてなくなってしまうミランダの人間としての哀しみに目がいってしまいました。