Waitng On A Dream

無益な時間をやり過ごし、無事に仙台に帰ってきた。

ちょっと家を空けていたら前話題にした豆苗の再栽培は1回までだったらしく、根元にカビが生えていたらしい。これで我が家が豆苗に浸食されて、ということはなくなったので安心した。しかし何か寂しいので今日新たな豆苗を買ってきた。また栽培する。

しかしいつの間にか春っぽくなってきていた。風は強くて冷たいし、日陰に入れば寒いのだがそろそろ春の匂いがする。まだコートのライナーを外すには早いのだが、去年は落ち着いて感じることもできなかったことを感じられるのが嬉しい。去年はあっという間に全てが過ぎ去って行ってしまったからなあ・・・。

ただ、季節的には良い季節なのだが(幸いなことに私は花粉症にもそれほど苦しめられていないのだ)、なかなか気持ちの面では沈みがちである。それはつまり将来に対する漠然とした不安が一番頭をもたげてくるのがこの季節だからである。なんか自分が果たしてどこで何をしている人間なのかわからなくなってくるのである。周囲の世界では色々変化があるわけである、こと日本に於いては。私はどうやら新しい何かにわくわくする感じの、そういう実に世の中的、一般的に好ましい性質を持ち合わせていないので不安しかないのである。昔からである。春に始まる新しい生活とか新しい環境、全てが苦手だった。それが社会人になってからも続いているのだから大したものである。

まあ昔からそういう時はロックンロールに助けてもらったり、ずっといる友達とか家族のことを考えたりして乗り切ったものであるが、それもいまだにだから大したものである。Lee Ranaldoの「Between The Times And The Tides」を聴く。Sonic Youthが活動停止らしいが、是非ThurstonとKimにはEurythmicsを見習って何とか活動してもらいたいものだなあ、と勝手に願っているのだが。Lee Ranaldoのソロ作は結構多く出ているが、うたもののアルバムは初である。しかも、こんなに凄く良いアルバムだなんて考えてもいなかった!!Steve ShellyとかJim O'Rourke、Alan LichtにNels Cline、そしてBob Bertまでも、というそれだけでもわくわくするメンバーで作られたこのアルバムは強烈なまでのキャッチーさを兼ね添えた曲だらけで、こんなにぎゅっと良い曲ばかり揃った衒いのないロックンロールアルバムなんて最近なかったんじゃないか、と目から鱗が落ちること間違いなしの作品である。SYのアルバムでも彼の曲、彼のヴォーカルは渋いけどじわじわくるものだったのだが更にパワーアップしてここに収められているのである。Matthew SweetとかREMとか(意外に彼のヴォーカルがMichael Stipeに似てるような。彼のヴォーカルはSYでお馴染みだったはずなのに初めての印象だ)を想起させられる瞬間が連続してたたみかけてくる、こういうの好きだなあ、と忘れていた何かを誰もが思いだすことができる傑作。しかもアクースティックギター中心の美しいナンバーだったり、それこそ轟音ギターが唸りを挙げるSYでもおかしくない曲だったり、軽くサイケっぽかったり、スティールギターの響きが新鮮だったり、とさり気なくヴァラエティ豊かなところも半端にキャリアを積んできたわけではない彼の才能大爆発すぎて、本当に衝撃の1枚なのだった。