「パイプライン開通と日露間のエネルギー貿易」(DW English、「ロシアの声」の記事):阿修羅♪

「パイプライン開通と日露間のエネルギー貿易」(DW English、「ロシアの声」の記事):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/253.html





(Russian oil pipeline to the Pacific goes into service: DW English)

http://www.dw.de/russian-oil-pipeline-to-the-pacific-goes-into-service/a-16479159





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ロシア



太平洋に延びるロシアの石油パイプラインが運転を始める






ロシアの東アジア石油パイプラインが正式に運転を始めた。このパイプラインは、ロシアが欧州市場からアジア市場に重点を移すことの反映だ。



火曜日、シベリアの都市・スコヴォロディノと太平洋の港・コズミノを結ぶ、延長4,740km(2,945マイル)の東シベリア−太平洋(ESPO)工区の完成に伴い、ウラジミール・プーチン露大統領はこのパイプラインの開通式典に参加したと、ロシアメディアは伝えた。



新たな工区の完成により、「ロシア極東諸地域のインフラ能力が著しく増加するだろう」と、テレビ回線を通じた演説でプーチン氏は語った。同大統領は、この式典を「意義深いイベントだ」と語った。



この250億ドル(約200億ユーロ)のパイプラインは、年間約3000万トンの石油を運ぶ。輸送量は年間5000万トンに引き上げられるよう、準備がされている。



ロシアは、原油などの価格をめぐってEUと係争中で、東の市場への供給量を増やすと脅迫的な声明を繰り返していた。



需要の多いアジア地域でESPOが米国企業と競争できるようになることを、ロシアは望んでいるが、パイプラインを満たし続けるだけの取得可能な石油が、シベリアの油田では十分に採れないのではないか、ということについての疑いの声がある。



去年、東シベリア産石油の最大の消費者は、日本・中国・米国だった。ロシア産石油は、フィリピン・韓国・インドネシアシンガポール・マレーシアにも輸出された。





dr/jm (AFP, dpa)







この話題についての映像・音声



新パイプラインによりロシアの石油輸出は増加へ





2012年12月26日







(投稿者より)



ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。

"Russian oil pipeline to the Pacific goes into service" 実際は試運転中で、「営業運転に入った」 "go into service" わけではないので、「運転を始めた」とぼかしましたが、ドイツ人の英語はぼかし切れないことがあります。他にも、誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



ドイツは対日関係よりも対露関係を重視していますので、パイプライン開通は対アジア関係の強化を目指すロシア経済にとって重要な意味を持つ、というのが、この記事の要諦ですが、これは日本にとっても大きな意味を持つことでしょう。



「ロシアの声」からは、記事を3本付しました。ドイチェ・ヴェレ報道の関連記事が上の記事です。日付は前後しますが、エネルギー資源を活用して日露関係を改善させたいという、ロシアの思いが分かります。









(ロシアの声・日本語サイト)

http://japanese.ruvr.ru/2012_12_25/roshia-paipu-rain-kaishi/





東シベリア-太平洋パイプライン第二期工事完成 試運転開始



タグ: 経済, 国内, 記事一覧





25.12.2012, 10:48





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Photo: RIA Novosti





プーチン大統領は「東シベリア-太平洋パイプライン-2(ESPO-2)」の開通式典にTVブリッジを通じて参加し「パイプラインの第二段階の試運転開始により、ロシア極東地域のインフラ整備の可能性を本質的に拡大できるだろう」と指摘した。



大統領は「パイプライン・システムが太平洋岸(日本海沿岸)に出口を持つことになる今回の第二期工事完了は、ロシア経済全体にとって重大な意義を持つ出来事だ」と述べ、さらに次のように続けた―



「今年ロシアから、日本や米国、韓国、シンガポール、台湾のパートナー達が石油を買った。国際市場に『東シベリア-太平洋』と呼ばれる新たな銘柄が出現したのだ。



なお東シベリア-太平洋石油パイプラインを通じて、ロシアは、アジア太平洋諸国ばかりでなく国内市場にも石油を供給する。





リア・ノーヴォスチ









(ロシアの声・日本語サイト)

http://japanese.ruvr.ru/2012_12_26/99256635/





ウラジオストックから液化天然ガス、日本は将来最大輸入国に



タグ: アジア・オセアニア, ガス, 経済, ウラジオストク, 日本関連, ガスプロム, 記事一覧, 国際





26.12.2012, 03:41





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© Коллаж: «Голос России»





将来、ウラジオストックに出来る巨大な液化天然ガス生産工場で日本は主要な購買国の一国となる。ガスプロムのヴィタリー・マルケロフ副会長は日本経済新聞からのインタビューに答え、こう語った。



ウラジオストックの工場は来年13年に建設を開始し、操業は17年の予定。マルケロフ副会長によれば日本向けの液化天然ガス供給に関する交渉は来年13年にも開始され、20年には日本は最高で生産量の65%を買い上げるようになる。



日本は世界でも屈指の液化天然ガス輸入国。11年の輸入量は8300トンを超えた。日本では福島第1原発事故以来、燃料需要が急激に上昇している。



タス通信









(ロシアの声・日本語サイト)

http://japanese.ruvr.ru/2012_12_10/97516505/





日ロのエネルギー協力 いままでとこれから



タグ:アジア・オセアニア, パイプライン, エネルギー安全保障, エネルギー資源, 東日本大震災, ガス, 石油, 経済, ウラジオストク, 日本関連, ガスプロム, 記事一覧, 国際





ヒロヨシ ヤスモト  10.12.2012, 15:23





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© Коллаж: «Голос России»





ロシアは西ではなく東を重視する−このようなことが最近つとに言われ始めているが、それには国際情勢の大きな変化が背景にある。そしてそれはともすればロシアにとって死活問題にもなりかねない。西から東へと視野を移すだけでは解決できない重大な問題にロシアは直面しなくてはならないのだ。東京財団研究員である畔蒜泰助氏にVOR「ロシアの声」の安本浩祥記者がお話を伺った。







日本とロシアの間には領土問題が依然として立ちはだかっており、その解決は容易ではない。ただ畔蒜研究員はこれまでの十数年の流れも踏まえて、経済協力、特にエネルギー協力のための可能性が徐々にではあるが出てきつつあると指摘している。



−2009年の6月にはプーチン大統領が日本を訪問し、麻生首相との間で日ロ原子力協定を締結するという流れになりました。しかし例えばカザフスタンにおけるウラン権益についても、日ロの間で必ずしも利害が一致せず、対立もありました。



そしてやはり決定的だったのは、福島での原発事故です。それによって日本そのものの原子力政策が不透明になり、なかなかロシアとの関係も前に進めにくい状況が生まれました。



ですからこの10年の間で日ロ関係を大きく前進させるようなブレイクスルーはそれほどなかったわけです。領土問題それ自体は難しい問題ですが、そのほかの経済協力、特に戦略的意味合いをもったエネルギー分野での協力がなかなか思うようには進まなかったと言えるでしょう。



ただしその一方で、日ロ関係そのものを下支えするであろう戦略環境そのものは実は、この10年間で徐々に徐々に変わってきています。政策そのものにインパクトのあるようなアジェンダは、いくつか試みがありましたがうまくいきませんでした。ただ日ロ関係を下支えするようなファンダメンタルの部分がこの10年間でじわじわと変わってきているというのも事実だと思います。








そのような状況の下で、ロシアは西ではなく東へと舵を切りつつある。畔蒜氏はその背景に世界全体で大きく変化しているエネルギー事情があると指摘している。



−先ほど東シベリアの石油パイプラインの話をしましたが、これは最終的にロシア側が建設するという形で、現在太平洋にまで来ています。そして日本は石油をそれほど大きな量ではありませんが、定期的にロシアから調達しています。



もうひとつ重要なのはサハリン2プロジェクトからのLNGです。現在それは日本のガス消費量のうち約10%を占めています。そういった中で、日本のエネルギー政策におけるロシアの位置は徐々に高まってきています。



そこで昨年3月の福島での原発事故があり、その後日本にある原発の再稼動がなかなか思うように進まない中で、日本のLNG調達量が大幅に増えています。ですから世界最大の天然ガス埋蔵量をもつロシアとの協力の可能性が浮上してきたわけです。



最近では、2000年初頭にもあった話ですが、サハリンから日本にパイプラインを敷設するというような話も再び、特に日本国内では始まっています。これは最終的にロシアがどう受け止めるのかは別として、日本ではLNGとは別に、パイプラインを敷設してはどうかということが、具体的なフィージビリティ・スタディの準備も含めて議論が行われています。



ですから福島原発事故後の状況の中で、日本のエネルギー政策におけるロシアの位置づけが高まる可能性が出てきている、ということになります。



一方のロシアにとってですが、いままで最大のエネルギー輸出先というのはいうまでもなくヨーロッパだったわけです。しかしいま北米においてはシェールガスが大量に産出し始めており、もともと北米に輸出するはずだった中東、特にカタールのLNGが瞬時にして北米市場を失ってしまいました。そしてその分のLNGが大量にヨーロッパに入ってきています。



逆にロシアとしてはエネルギーマーケットにおけるヨーロッパへの過度の依存を分散化したい、多角化したい、というなかで、西ではなく東を向いているということになるわけです。特に福島での事故以降、LNGの輸入を増やす可能性のある日本に大いに注目していて、期待しているのです。



ここでエネルギーの分野においても日ロ双方の利害が一致してくる可能性が生まれていると言えるでしょう。



ちなみにもう一つ重要なマーケットであるはずの中国ですが、中国は実は非常に巧みなエネルギー外交を行っています。特に天然ガスに関してはトルクメニスタンから大量に輸入しているほか、カザフスタンからのパイプラインも近く完成します。あとはもちろん、オーストラリアや中東、アフリカなどからのLNG輸入も積極的に行っています。なおかつ中国には石炭もあります。








現在、日本とロシアのエネルギー協力においては、ウラジオストク近郊のLNGプラントが注目されているが、畔蒜研究員は次のように指摘している。



福島原発事故以降、日本が大きなLNG輸入国となり、ロシアにとっても大きなチャンスになっているという話をしましたが、その一方で日本のエネルギー当局者および日本企業もロシアだけにエネルギーを頼ろうと思っているわけではありません。



ガスの場合は石油と違って非常に大きな選択肢があり、オーストラリア、カタールはもちろん、今後確実にでてくるのは北米です。あるいはもう少し先で言えば東アフリカからも入ってきます。



特に北米のシェールガスに関しては、最近米国エネルギー省の委託を受けた研究機関によるレポートが出されており、米国内の価格上昇が伴うにせよ、ガスの輸出によって、国内価格上昇を上回る利益があるとの見方が示されました。つまり、米国が今後シェールガスの輸出に踏み切る可能性が極めて高まってきています。



LNGのほかにパイプラインプロジェクトというのが経済的にも、日ロ関係全体に与える戦略的インパクトという面においても、大きな起爆剤になるのではないかと思うわけです。






確かにパイプラインをめぐっては日ロの間で未だ具体的なコンセンサスは得られていない。ただ、ロシアに東を向かせた国際エネルギー事情の変化を見れば、日ロエネルギー協力が単なるセレモニーではなく、実際の戦略的利益をもたらすものとなる必要がある。それは日ロ関係全般においても、そろそろ思考回路を切り替えるべきタイミングに来たということかもしれない。