2007-05-26
死刑と宗教
光市の母子殺害で、まあ、死刑廃止論者の弁護団がまたわけのわからん理屈ほざいてるんですが、正直死刑廃止求めるんだったらまるっきり逆効果で、尚且つ法廷そのものを侮辱してるとしか思えないんですがね。
で、こんなエントリを見つけた。
死刑が「当たり前」じゃないってことは、もっと考えられていい
http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20070524/1179992762
しかし思うのは、こういう発言をする人たちは、アムネスティも EU 諸国もトルコも、みんな「被害者の気持ち」が理解できない「偽善」的で異常な人間の集団だと考えてるんだろうか、ということなんですよ。国の数からすると死刑を廃止した国のほうがずっと多いわけですけど(人口比でいけば逆かもしれませんが)、その国々は全部一様に頭がおかしい、とでも思ってるんだろうか。
えーと、俺の死刑に関する見方としては「消極的賛成」というか。日本の文化、宗教的風土を考えると死刑はやむを得ないと思うんですね。「死刑は文化」という気はさらさらねえんですが、死刑制度語るんでしたら、その国の治安、歴史、宗教については切り離すことができないと思うんで。
で、世界の死刑執行状況はどんな感じか、アムネスティの統計資料を見てみるとする。
http://homepage2.nifty.com/shihai/shiryou/abolitions&retentions.html
1. 全面的に廃止した国
アルバニア、アンドラ、アンゴラ、アルメニア、オーストラリア、オーストリア、アゼルバイジャン、ベルギー、ブータン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、カンボジア、カナダ、カボベルデ、コロンビア、コスタリカ、コートジボアール、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、ジブチ、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、フィンランド、フランス、グルジア、ドイツ、ギリシャ、ギニアビサウ、ハイチ、ホンジュラス、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、キリバス、リベリア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マケドニア(旧ユーゴスラビア)、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、メキシコ、ミクロネシア(連邦)、モルドバ、モナコ、モンテネグロ、モザンビーク、ナミビア、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ニウエ、ノルウェー、パラウ、パナマ、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サモア、サンマリノ、サントメプリンシペ、セネガル、セルビア、セーシェル、スロバキア共和国、スロベニア、ソロモン諸島、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、東チモール、トルコ、トルクメニスタン、ツバル、ウクライナ、英国、ウルグアイ、バヌアツ、バチカン市国、ベネズエラ
キリスト教の場合、基本的に個々人の宗教にたいするこだわりは物凄いというか。基本的に一神教の宗教はみなそういう傾向にあるのだが、人々の生活に宗教が占める割合はかなり大きい。
基本的にキリスト教は「神が裁く」という考えを持ってるので、人が人を裁く死刑制度ってのは宗教の定義からするとそぐわない。
あとはポリネシアあたりなんか特にその傾向が強いのですが、基本的に殺人等の凶悪犯罪が発生しないので死刑を規定する必要がないってのがあるんじゃないのだろうか。ブータン、ネパールあたりもそうかな。
東チモール、リベリアあたりは・・・国の司法制度がまともに機能してるかどうか疑問があるからなあ。
トルクメニスタンは・・・北朝鮮顔負けの独裁国家だからあんまり参考にならんような。
南アフリカについては・・・ヨハネスブルグがあの状況じゃなあ。てか、アパルトヘイト時代黒人に人権なかった国だから参考にならんような。
2. 通常犯罪のみ廃止した国
全て共通してるのは、過去に軍事政権があった国ですね。
3. 事実上の廃止国
(殺人のような通常の犯罪に対して死刑制度を存置しているが、過去10年間に執行がなされておらず、死刑執行をしない政策または確立した慣例を持っていると思われる国。死刑を適用しないという国際的な公約をしている国も含まれる。)
アルジェリア、ベニン、ブルネイ・ダルサラーム、ブルキナファソ、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、ガボン、ガンビア、ガーナ、グレナダ、ケニア、キルギスタン、マダガスカル、マラウィ、モルディブ、マリ、モーリタニア、モロッコ、ビルマ(ミャンマー)、ナウル、ニジェール、パプアニューギニア、ロシア、スリランカ、スリナム、スワジランド、トーゴ、トンガ、チュニジア、ザンビア
ここら辺は「事実上の廃止国=人権が守られてる」というのはかなり早計のような国が結構多い。
ミャンマーなんかモロに軍事政権だし、スワジランドは少女の人権くそくらえの変態王族が仕切ってる国だし、ロシアは表向き「死刑」にはしてないけど「病死」という名目で殺される国だし。
アフリカ圏が多いけど、ほとんどアフリカでも比較的治安のいい国だからなあ。
むしろ「死刑になるレベルの犯罪が出ていない」と考えるのがいいかと。
4. 存置国
アフガニスタン、アンティグアバーブーダ、バハマ、バーレーン、バングラデシュ、バルバドス、ベラルーシ、ベリーズ、ボツワナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、中国、コモロ、コンゴ民主共和国、キューバ、ドミニカ、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、グアテマラ、ギニア、ガイアナ、インド、インドネシア、イラン、イラク、ジャマイカ、日本、ヨルダン、カザフスタン、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、クウェート、ラオス、レバノン、レソト、リビア、マレーシア、モンゴル、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、パレスチナ自治政府、カタール、ルワンダ、セントクリストファーネビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、ソマリア、スーダン、シリア、台湾、タジキスタン、タンザニア、タイ、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、アラブ首長国連邦、米国、ウズベキスタン、ベトナム、イエメン、ジンバブエ
ここら辺になると、イスラム圏が目立ちますね。
イスラム教については、イスラーム法の絡みで死刑があるのでそうなってるのかもしれませんが。
基本的に応報刑の考えだったら、殺人に対する応報刑は死刑しかねえわけで。
北朝鮮については、将軍様が粛清好きなんでさもありなんというか。
で、死刑存置国と廃止国の宗教分布を考えると、大きく分けてこんな感じになるかと。
アメリカについては、キリスト教圏でも、国自体は多民族、多宗教国家なので死刑制度があるんじゃないかと。
要するに、死刑制度についての考え方って、宗教の存在が大きいと思うんですね。
キリスト教の場合は、前述したように「人を裁くのは神だ」という考えと「神に恥じない良心」というものが植えつけられて育ってるのもあって、死刑制度と教義が馴染まない部分がある。
イスラム教の場合は、教義そのものに罪刑法定主義が規定されてて、その中に死刑も制定されてる上、教義にのっとって生きてる部分が強いからなあ。トルコなんかはあえて政教分離を進めてる国だけど、コーラン自体が法律として機能できちまってる感じなんで、だから死刑が存続してるのかと。
で、仏教圏については、キリスト教、イスラム教と違って輪廻転生という考えがあるからなあ。死も生の一部というか、みな生と死を繰り返してる考え故に(要するに生命は無限で、生というステージと、死というステージがあるって感じかな)死刑執行しても、感じ取り方がキリスト教圏と違うというか。
あとは、一神教と違い、わかりやすい精神的支柱になりづらいというか。なので個々の宗教的良心に期待しづらいし、輪廻転生という考えがベースだったら、死刑という罰与えなきゃ箍が外れるってのもあるんじゃないかと。
共産圏については、基本的に宗教そのものを否定してる部分があるからなあ。宗教による精神的支柱が作れないんで、法制度によってガチガチにするしかない感じかと。
だから、死刑廃止国の多さで、死刑廃止=グローバルスタンダードって考えるのはちと危険というか。
だって、死刑廃止って、コレ見る限り「キリスト教のグローバルスタンダード」なわけで。イスラム教圏や仏教圏のグローバルスタンダードじゃない。
日本についていえば、現行の法、社会風土で死刑廃止するのは正直無理があると思う。
その理由としては、死刑と無期懲役に、法解釈上で思いっきり差を感じてしまう奴が多いという状況もあるかと。
悪い意味でアメリカナイズ化されてる感じもある最近じゃ、「無期懲役も実際の運用では終身刑に近い」と言っても、刑法の「10年以上は云々」を突いて、無期刑は軽すぎるという意見出されても説得できる奴がいないだろうと。
あとは、確かに仏教国でも、ネパールやブータンみたいに死刑廃止してる国はあるが、少なくとも凶悪犯罪というフィールドに限定していえば、日本のほうがよっぽど件数多いだろ。あとは両方とも王国国家で日本と国の形態が違うしね。王国国家の場合、王様が一種の宗教っていう部分が強いからなあ。
なので、日本において死刑廃止論を進めていくとすれば、以下の観点からのアプローチが必要だろう。
・死刑宣告後、被害者遺族の希望によって減刑することができる仕組み。
最近は、「死刑もやむなし」という事件に死刑が宣告されるケースが多いが、昔の死刑囚の場合、法制度が貧弱だったため、冤罪の可能性もある人だっているし、死刑宣告後、物凄い勢いで罪を悔い、反省するケースも多い。
死刑宣告時のフォーマットとなった永山則夫なんかその典型だが。その人たちに対する救済措置は必要かなと。
・死刑宣告から執行までの時間を長くする。
まあ、死刑宣告後もとっとと処刑されたのは宅間守ぐらいなんだが、死刑宣告から執行の間までの精神的恐怖も懲罰の一環だと思うんで。
・無期懲役の法定最低仮釈放期間の延長
最低でも死刑廃止して無期懲役で済ませるんだったら、仮釈放の最低期間を有期刑の上限と同じにしないと説得力に欠けるというか。運用で実質無期懲役になってる部分もあるが、運用という解釈で納得できるほどファジーな世の中じゃなくなってきてるし。
・犯罪被害者に対する救済の優先
経済的、金銭的な面のフォロー、精神面のフォローも必要だろう。
いわゆる死刑反対論者の発言が説得力に欠けるのも、その辺のフォローすっとばして犯罪者の人権ばかり強調してるというわけわからん状況になってるからなあ。
あくまでも被害者の救済>犯罪者の人権の尊重ってのが筋なわけで。
要するに、道徳心を国挙げて養えってことになるんですが、リベラル系の人はそれに反対してる人が多いよな。
まあ、俺はリベラルでも保守でもなく、中道なんですが、その辺に関して言えば俺もちょっと反対というか。
まあ、これは極論ですが。ただ、法的拘束力なくして犯罪減らすといったら、犯罪の背景にあるものを排除してくしかねえわけで。
俺の意見だと、死刑存続国=人権後進国って考えは、あくまでもキリスト教のグローバルスタンダードなわけで、仏教圏、イスラム教圏ではまた解釈が違ってくるだろうなと。
その辺も加味して死刑論議しなきゃ話にならないというか。
- 127 http://search.yahoo.co.jp/search?p=死刑 宗教&ei=UTF-8&fr=top_v2&x=wrt
- 118 http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50840906.html
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- 91 http://blog.livedoor.jp/dankogai/
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