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ヨーグルトーン

2016-12-27

2016年よく聴いた音楽

| 21:03

1. Graham Kartna 「Ideation Deluxe」
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Blank 2 Nowhere | Graham Kartna

 今年一番聴いた作品は? と聞かれて真っ先に挙がる作品。とにかく聴いた。無粋を承知で書かせてもらえば、ここにはカンタベリーの美しくこんがらがったメロディーと聴き応えのある複雑な構成があり、ボーズ・オブ・カナダのゆらぐノスタルジーがあり、Maxoや芳川よしのの暴力的なまでの機能性と遊び心がある。比較的平易なリズムがとっつきやすさを担保しているが、それでも過剰な情報量に最初は胸やけするかもしれない。しかし、しばらく聴いていくうちに、この短い時間に詰め込まれたメロディーと展開の美しさに気付き、ため息を漏らすことだろう。少年時代の宝物のような、はたまた凝りに凝った工芸品のような、ふしぎな作品。








2. Frank Ocean 「blonde」
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 柔らかく、温かく、優しくリスナーに寄り添ってくれる。そんな作品。完成度、とか、新しさ、とか、時代性、とか、そういうよくわからないものは全部忘れて… ただ聴き手を優しく包み込んでくれる。今年最も多くの人を癒したであろう作品。








3. João Gilberto 「Águas de Março」
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 (自分は知らなかったが)言わずと知れたボサノヴァの名盤。自分の求めていた快感をもたらす形式が、極限まで洗練された状態で、1973年に既に存在していたことにただただ驚く。#1を初めて聴いたとき、(自分が求めていたものってこれだったんだ)という感動が自分を包んだことを覚えている。ただ、この方向性はここで行き止まりなのでは、という感覚もすごくあるのだ。なんにせよ、一度聴いてみてください。








4. 吉田省念 「黄金の館」
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  昨年のブライテスト・ホープが(実際新人であるかどうかはさておき)Courtney Barnettだとしたら、今年のそれは彼です。祝福せずにはいられない。
 他の同世代の新人同様、既にして老練な音楽を聴かせてくれます。どの曲も丁寧に編みこまれているのですが、常に風が通っているような、さわやかなフィーリングが感じられるのが魅力です。








5. Cass McCombs 「Mangy Love」
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 通算8作目となるらしい本作。過去にも彼の作品をベストに選んだことがありますが、今作では確実に成長が感じ取れます。↑の作品とは打って変わって重く、内にこもったような印象で、なかなか気軽に聴けなそうなんですけど、一度聴き始めるとすぐ曲の魅力に取りつかれ何度も聴いてしまいます。そう、とにかく楽曲が充実している。間違いなく現時点でのベストです。








6. The Clientele 「Suburban Light」
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、朝靄の如きリヴァーブに包まれたセピア色のアコースティック・ポップの数々が集められた、バンドの原点を示すアルバムとなっております。
Feltの子孫、The Clienteleの初期シングルコンピがリイシュー | Monchicon!

 ロンドンを拠点とするバンドの初期シングルをまとめたコンピレーション。自分も例にもれずReal Estateから遡ってたどり着いた人間ですが、なるほどこれは素晴らしい。あまりこの手のサウンドに触れていないのでうまく表現できないんですけど、エヴァーグリーンな感じです(伝われ)。基本はGalaxie 500で、そこに少しだけヨ・ラ・テンゴのフレーバーを混ぜたらこんな感じになるかな?








7. 戸張大輔 「ギター」
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 本当に最近知った作品なんですけど、こんな順位に入ってしまった。。 露骨にDIYなサウンドとどこかヘンテコな曲に初めは面食らってしまうのだけど、絶妙なタイミングで挟まれるびっくりするほどの名曲につられてつい最後まで聴いてしまって… これ、明らかな名曲以外の曲もだんだん馴染んできて、最終的にアルバム全体が好きになっちゃう黄金パターンですよ…。あ〜… てかこういうガチの名曲、作ろうと思って作ってるのかなあ。あ〜もう…








8. ミツメ 「A Long Day」
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 以前からタイトかつよく練られたアンサンブルでリスナーを中毒に陥れてきたミツメですが、今作ではその中毒性はそのままに、アルバムとしての流れ・構成といったものに磨きをかけてきました。それでも一般的なポップスよりはずっと(テンションの)振れ幅が小さいので、今作で初めて触れる、というような人にとっては少し掴みづらいかもしれません。
 勝手に思っていることですけど、今作においてはバンドの目論見は完璧に成功しているんじゃないかと思います。現時点での最高傑作ではないでしょうか。








9. Rodrigo Carazo 「Sabia suena」
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Oír e ir | Rodrigo Carazo

 あまり日本語の情報がありません。とりあえずこちらへ。(Oír e ir | Rodrigo Carazo
 一度かけ始めるとまるで時間の流れがゆっくりになってしまうかのような魔法のサウンド。既存の形式に囚われていない楽曲たちも魅力ですが、とにもかくにもこの清涼感あふれるサウンドですね。これだけでリストに挙げる価値があります。
 出会ったのが今年の秋頃だったのですが、一番このサウンドが映えるのが初夏だと思うので、しばらくは期待にうずうずしながら待とうかと思います。








10. Maxo 「LEVEL MUSIC BEST ★ 」 & 「LEVEL MUSIC T」
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LEVEL MUSIC BEST ★ | Maxo
LEVEL MUSIC T | Maxo

 自分の作成するリストにおいてはもう常連さんなのですが、今回も入ってしまいました。過去にリリースされたレベルミュージックという一連の作品をいい感じにまとめ直したベスト版です。改めて聴くとこんなに神曲が。。
 またベストとは別にシリーズの新作として出された「T」の方も捨て曲なしの名作で、もう何度リピートしたかわかりません。「Golden Gauntlet」なんてあの効果音も相まって、もう、やばいです(語彙消失)。。








11. Steve Gunn 「Eyes On The Lines」
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 マタドールデビュー?ということで前作よりもポップ度が増した、非の打ちどころのない傑作となっています。自分が彼を知ったのは前作のこのレビュー(My Favourites–2014 Edition | Mariko Sakamoto's Blog←それ以外にも素晴らしいレビューが並んでいます。必読です。)だったんですが、今作が気に入ったらこちらもぜひ聴いてみてくださいね。
 Cassの新作はわりと広まってきているような気もするのですが、Steve Gunnのこの新作も同じくらい広まってほしいものです。「Conditions Wild」など、ここまでキャッチーなイントロを耳にしたのは久しぶりです。








12. House of Dad 「House of Dad」
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Bandcamp

 いろんな名義で良作をぼんぼん出してくるAndrew Wilsonの新作。おふざけが過ぎるところもあるけれど、温かみのある音が(そのおふざけも含めて)親愛を表現しているということに気付かせてくれる。傑作。








13. Gobby 「No Mercy Bad Poet」
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No Mercy Bad Poet | Gobby

 ううう、なんて言ったらいいのか。まだまだ消化できたとは言えない(前作もそうだ)んだけど、今年自分はこの作品をけっこうな頻度で聴いていて、また聴くたびにより良く感じてきている。で、この先もっとよく聴こえてくる予感があって、しかもその上限が見えない。とにかく変ですが、間違いなく(天才)の所業です。そう、そうなんだよな…








14. Domenique Dumont 「Comme ça」
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 昨年のRAのベストアルバム記事で取り上げられていて、そのあまりの無名ぶりが気になってアマゾンダウンロード購入したのですが、これがめちゃくちゃよかったのでした。ところどころで言われているようにBサイドが本当に素晴らしい。短いながらもエンディングは感動的です。最高のアフターアワーズのお供にぜひ。








15. Jan Jelinek 「Loop-finding-jazz-records」
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 クリック・ハウスの到達点と言っていいでしょう。シューゲイザーにおけるラヴレスのような、そのジャンルを語るならば必ず押さえておかなければならない、そんな作品です。いやまあジャンルの概要を掴むだけなら「Clicks & Cuts 2」で十分だと思いますが、その至った「深さ」を感じるためには、やはり触れておく必要があるかと思います。まあ難しいことを抜きにしても、ローテンションなBGMとして普通に優秀ですので…








16. yojikとwanda 「フィロカリア」 & 「Hey! Sa!」
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 青春ゾンビさんでの記事を見て手に取った本作。仕事でぎゅうぎゅう詰めになった生活に風穴を開けてくれるような珠玉のポップス集でした。「Romeo」は必聴。久々にボーカルの魅力に取りつかれた作品でもあります。また今年の「ナツ三部作」も大変よかったです。








17. Caetano Veloso 「A foreign sound」
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 極上、とはこの作品のためにある言葉ではないのか、とか思ってしまうような作品。最高にリラックスできる瞬間も、あまりのカッコよさにしびれる瞬間もあるけど、どこを切り取ってもその「豊かさ」が損なわれることはありません。「いい音楽」の見本のような作品。








18. はっぴいえんどはっぴいえんど
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 昨年もひっそりと挙げさせてもらいましたが、今年もう少し触れてみて、改めて傑作だと思い直しましたので…もっかい! ロック的なカッコよさでは一番ですね。#7「12月の雨の日」からエンディングまでの流れ、鳥肌が立つほどカッコいいです。こんなのファーストで作ってしまったら解散しちゃってもおかしくない…しかしこれ一枚でも確実にロック史に残っただろうなあ。改めて、すんごい作品でした。








19. Space Camp 1991 「Space Camp 1991」
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Space Camp 1991 | Memeless Collective

 誰かの子供時代の夢の中のBGMを思わせるアンビエント作品。The Caretaker、Stars of the lid、Julianna Barwickなんて名前群になにか感じるものがあったら聴いて損はないと思います。








20. Foodman 「Ez Minzoku」
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Ez Minzoku (2018 reissue) | Orange Milk Records

 ジャケット通りの奇妙なサウンドながら、どうしようもなく耳を引き付けてしまうポップさを備えた怪作。「Easy Ethnic」なんて訳されるように、どことなく京都感、というか詫び寂びを感じさせなくもない。ただこの音を面白く感じてしまうのはどうも世界共通らしい。








21. Oren Ambarchi 「Hubris」
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 今年一番のちゃかぽこアルバム。リカルド・ヴィラロボスの諸作と似たような楽しみ方をしています。ただ、日常的に聴けるかというとそうでもなく、というのも今作、エンディング(というよりPart 3)がものすごく強力でして…しかしそれがまた本作を傑作に押し上げているんですよね。初めて聴くときは覚悟して臨んだ方がいいですよ。








22. The Frogs 「Ocean Tide」
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 ジム・オルーク主催のレーベル、モイカイからの三枚目。フロッグスの1988年のファーストアルバムのリイシューです。短い中にアイデアを詰め込んだ、きらめくようなポップです。








23. Thomas Fehlmann 「Honigpumpe」
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 Kompaktより、極上のダブ・アンビエントアルバム。「A foreign sound」の電子音版とでも言いましょうか。「ベテラン」の一言で片づけることができないくらい豊富な引き出しを持っています。そして、隅々まで行きわたった音への配慮。まさに職人って感じです。








24. くるり琥珀色の街、上海蟹の朝」
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 また上手くまとめてきましたね…。過去のライブ音源をセットにしたり、売り方も巧くなって…。とはいえ、これだけの完成度のものを出されれば文句もありません。曲の並べ方が神がかっています。でもなんとなく複雑な気分。。ぐぬぬ。。








25. Plush 「More You Becomes You」
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 基本ピアノとボーカルのみの、歌ものアルバム。Drag Cityらしい、枯れた味わいの逸品です。







 
26. Body-san 「Shining the Money Ball」
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 1080pより、非常に高品質なベッドルーム・ハウス。バンドキャンプアプリを使い始めたころに出会い、休日など職場で(スマホで)よく聴いていました。








27. SEABAT 「SYNTHUS」
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SYNTHUS | BEER ON THE RUG

 TMTのレビューで「massage therapy」なんて紹介されるくらい機能的なアンビエント作品。meditationsさんで扱われていそうな作品No.1でもあります。一度流したらしばらくスピーカーの前から離れられません。








28. Traumprinz 「2 The Sky」
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 現在進行中で飛ぶ鳥を落とす勢いなTraumprinzの、2016年発表のEP。今作で彼のアンビエント方面へのアプローチは完成を見たのではないでしょうか。blondeほどではないかもしれませんが、今作に癒されたという人も多くいるはず。








29. Louis Cole 「Album 2」
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 身軽なフットワークでビート・ミュージックからクラシックまでを行き来する、Youtube世代によるポップアルバム。詳しくはこちらを。個人的に最も強く感じるのはゾンビーズです。








30. LSDXOXO 「FUCK, MARRY, KILL」
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 なぜか日常のスキマ時間によく流していました。ストレス解消でもしようとしてたのだろうか。。 ジャケットほど怖い世界ではなく、またなんとなく元気ハツラツでフレッシュなイメージ。「ANGEL DUST」という曲がお気に入り。








以下、次点。ログとして残します。
Lawlence 「UNTIL THEN, GOODBYE」
Califone 「Sometimes Good Weather Follows Bad People」
Deerhunter 「Rainwater Cassette Exchange」
CFCF 「The Colours of Life」
PERCIVAL PEMBROKE 「PEMBROKE AUTUMN/WINTER CATALOG」
HAPPLE 「Three to 2,1」
Harry Nilsson 「Nilsson Schmilsson」
Danielson 「Ships
Pinback 「Offcell」
Little Tempo 「Ron Riddim
Caetano Veloso 「Livro」
Soichi Terada 「Sounds From The Far East」
JONAS SÁ 「GIGOLÔ」
Mark Eitzel 「Caught in a Trap and I Can't Back Out 'Cause I Love You Too Much, Baby」
PRINS THOMAS 「III」
Sun City Girls 「Torch Of The Mystics」
Christopher Rau 「Asper Clouds」



 わーい、無事に作り終えました。去年ほど(自分にとって)新しい音楽は聴けていないんですが、30作も挙げられれば十分でしょう。いや、多ければいいというものではないですけど。
 にしても、全体に占める2016年作の多さよ。。 これでは先日のリストとそこまで変わらないじゃないですか。まあそれだけ2016年という年が充実してたということなんですけど。しかしこちらは自分の好みがより反映されているので、そこを加味して眺め、楽しんでいただければ…
 とにもかくにも、2016年もよい年でありました。

 2017年もいい音楽にたくさん出会えますように。