神キャラゲー「メルクストーリア」のすすめ(&個人的おすすめストーリーまとめ)その3


 ……はい、前回から二か月くらい空いてしまいましたね。自分の好きなイベントストーリーについて語りたかったはずなのに、本題にたどり着く前に満足してしまい… そうこうしているうちにユガラボさんがほとんど同じ内容の布教記事をアップしまして(びっくりしました。自分が前回の記事を公開した4日後に… 完全な偶然です)、これもう自分の記事はお役御免なのでは…とも思いましたが、この記事の目的の一つは自分の感想の記録なので気にせず書いていきます。

http://yugalab.sakura.ne.jp/archives/15623
 ユガラボさんの記事。自分の記事よりストレートに魅力が伝わるようになっているのでぜひ一読を。そしてメルストを始めるのだ…!



 そしてもう一つタイミングの重なったものがありまして、それがこちら。

 ツイッターのメルスト公式アカウントのフォロワーが10万人を突破したということで、アプリ内での人気投票が開催されました。個人的にも記録として残しておきたいので、続けて結果についても貼っていきます。

http://mercstoria.happyelements.co.jp/archives/4093

 ユニットの投票はたびたび行われているのでそこまで珍しくはないんですけど、今回の目玉はそれ以外の3つですね。特に気になるのが歴代イベント部門。これについてはわかりやすいようテキストに起こしてみます。(11位以降はアプリ内で確認)



・歴代イベント部門
1位 空の国 (1周目)
2位 死者の国 (1周目)
3位 動物の国 (2周目)
4位 常夏の国 (2周目)
5位 魔法の国 (2周目)
6位 植物の国 (1周目)
7位 和の国 (2周目)
8位 お菓子の国 (2周目)
9位 妖精の国 (1周目)
10位 死者の国 (2周目)

11位 魔法の国 (1周目)
12位 少数民族の国 (1周目)
13位 雪の国 (1周目)
14位 機械の国 (1周目)
15位 恐竜の国 (1周目)
16位 機械の国 (2周目)
17位 動物の国 (1周目)
18位 科学の国 (1周目)
19位 お菓子の国 (1周目)
20位 王国 (1周目)



 へ、へえ〜…… いや、上位陣は納得です。なんかたまに攻略サイト掲示板とかでイベストの話が出るとこれらの国の話題出てきますもん。ツイッターでも空と死者は鉄板なんて誰か言ってたような。まあそれ以外も興味深い結果ですね。あれだけ実験的なことをした常夏2が上位にいるのはおもしろいです。難解な話だったのでユガラボさんのストーリー解説記事がかなり順位に貢献したんじゃないかと。まあそれを抜きにしても非常に印象的なストーリーでしたが。



 …とまあ、触れていくとキリがないのでこのくらいにして、本題である個人的おすすめイベントストーリーについて書いていきたいと思います。未プレイ者のためにそんな露骨に内容に触れないようにしたいところですが、カンのいい人はほんの欠片みたいな情報からでも察してしまうことがあるので、先におすすめイベントの名前だけ列挙しておきます。時系列順!



・動物の国 (1周目)
・常夏の国 (1周目)
・空の国 (1周目)
少数民族の国 (1周目)
・恐竜の国 (1周目)
・エレキの国 (2周目)
・恐竜の国 (2周目)
ギャグ枠: 雪の国 (1周目)



 はい、こんな感じ。ここで挙げたイベストはみんなどこかしら自分のフェチポイントに引っかかるところがありまして。。 逆にすごく完成度高いけど好みストライクではないな…というようなイベストもあります。例えばユガラボさんの方で挙がっていた和の国2ndなどは本当に誰が読んでも楽しめる内容になっていると思います。ただ自分のコアの部分には引っかかっていないのでここでは挙げていませんが。。
 なにが言いたいかというと、ここで挙げたイベントはあくまでぼくの好みに準拠してますよ、ということ。読んでほしい!という気持ちはめちゃくちゃあるのですが、特段万人向けというわけではありません。初心者の人は人気投票で上位のイベントを選んでおけばまあ無難だと思います。



 …ということで、それぞれのイベントのラブポイントについて触れていこうかと思います。以下ネタバレ注意。







動物の国 (1周目)「夜明けの王と囚われの花嫁」

 一言でいうなら「変わらないものと変わるものの話」でしょうか。しょっぱなであれなんですけど、自分的にはこのイベントストーリーがメルスト最初の傑作だと思うんですね。なぜかというとこの話から社会や文化、共同体というものを扱い始めたから。いや今までも要素としてはあったと思いますが、ここまでストーリーの前面に出てきたことはありませんでした。またそれにあたってお話の背景や設定というものが今まで以上に緻密になっており、結果としてストーリー全体の完成度がぐっと上がったように思います。間違いなくストーリーの規模・完成度共に当時においてトップだったでしょう(個人的には一週目全体で見てもトップクラスだと思います)。

 このお話ではウルカとアルムという2つの対照的な村の交流が描かれます。どちらも王国と比べればまだ発展途上で、メルスト全体のストーリーの肝であるモンスターを癒す術――癒術も普及していません。モンスターとの共存の話をしてもありえねーみたいな反応が返ってくるだけです。しかしそんな2つの村にも差異があって、どちらかといえばウルカは革新的、アルムは伝統的です。で今回、そんなそれぞれの村の長の息子・娘が村同士の結束を強めるためという意味も込めてお見合いをすることになったのだけど――。





 自分が味わった作品で言えば、例えば乙嫁語りランドリオール花咲ける青少年などで見られたような、改めて考えてみるとこれでおもしろくならない訳がない、とでもいうような王道な設定ではあるんですけど、案の定のおもしろさでしたね。この設定のどこが優れているかというと、いろんな種類の葛藤が描けるというところだと思います。パッと思いつくだけでも王子・王女的な立場としての自分と本当の自分とか、結婚しなければならない人と自分が本当に好きな人とか、自国の文化と相手国の文化とかが挙がります。まあ作品によってメインとなるテーマは異なるでしょうけど、メルストの今回の話では前述したように「変わること」について主に語られます。


ハルシュトさま

 まあ細かい部分は実際に読んで堪能してもらうとして… このイベストの一番の魅力はハルシュトさまというキャラでしょう。ウルカ村の犬族の長子であり、外国の文化や技術を積極的に取り込むことで村をすごい勢いで発展させたすごい人なんですけど、これがもう素直に尊敬できる好人物で。。 ただ闇雲に発展を望んでいる訳ではなく、伝統に対して「伝統だから」と思考停止せずにきちんとその意味を捉えて残すべきものは残す、と言える人物なんですよね。ストーリー終盤であまりに革新的な案が出されたときにもそれはまだこの村には早すぎる、と言ってブレーキをかけたりしてますし。



ハルシュトさま名言集

 ここまでなんというか社会的な面から魅力を語ってきましたけど、このイベストの魅力として「ここまで社会的なものを押し出しておきながら最終的にラブストーリーとしてまとまる」というものもあるんですよね。というかストーリー上の「仕掛け」として一番大きいのがこの恋愛関係のものですね。具体的なことは書きませんけど序盤からうま〜く伏線が張り巡らせてあって、既プレイ者にももう一度読んでほしいくらいです。(! この描写は…)とハッとすることうけあいなので。

 話の終わり方もいいんですよね。。恋愛的な方面もそうですが、社会的な方面でも今後村はどんどん発展していくだろうということを感じさせる終わり方なんですよね。でなんとここで活躍するのがあのジャモさんという。文明にとって商人ってのはときに大きな発展をもたらす重要な存在なんですよね…


直感A 黄金律A

 これ以降のイベントストーリーの雛型として扱われたこともあったんじゃないかな?と思うほどにミクロ・マクロ共によくまとまった話でした。はじめにここでのチョイスはあくまで自分の好みに基づいてるという話をして、まあそれも事実ではあるんですけど、この動物1stについては自分の好みでもあり、また初心者向けでもあるなと思います。一週目のイベントから初心者向けのものを一つ選ぶとしたらこれと空の国で迷うことでしょう。まだ未読の人はとっとと読んで第1回キャラ人気投票で1位に輝いたというハルシュトさまの魅力とメルストの奥深さに悩殺されちゃってください。
 






常夏の国 (1周目)「碧翼の海賊と大海の雛鳥」

 うーん、動物1stの部分がくそ長かったですね。まあそれだけ思い入れが深かったということでもあるんですが、この調子でいくとまた記事のアップが延びるのでもうちょい軽くしていきます。
 このイベストに関しては個人的には好きなポイントがはっきりしていまして、といってもなんかすごく言葉にしにくい概念なんですけど… 無理やり端的に言えば、BUMP OF CHICKEN――臆病者の一撃、ならぬ未熟者の一撃でしょうか。
 夏らしく海を舞台として海賊と海軍がぶつかり合うというストーリーなんですけど、どちらの陣営にもひよっこのキャラがいまして、その彼らの成長というのが話の中心的なテーマとなっています。



雛鳥その1。悩んでいます。


雛鳥その2。かわいい。

 ぶっちゃけ傍から見ててちょっとイライラしてしまうくらい未熟なんですよ。自分が言うのもなんですけど、まだまだ考えが足りない(といってもはっきりとした答えがあるような話でもないんですけど)。でもそんな未熟な彼らだからこそ、最後のクライマックスのシーンでのやり取りが胸に響いたんですよね。。 ぶっちゃけて言うと、ニールくんですね。ゴルドスカウトでよく出てくる彼です。彼が明確な答えも持たないまま、ただ熱い思いだけでセオドアのエストレシアに対する弾劾に立ち向かったことが、不覚にも自分の心に響いてしまったんです。
 正直、他の人が自分と同じような体験ができるかどうかわかりません。一般的には10話、セオドアの最後の別れ際での告白シーンが全体のクライマックスになるんじゃないかと思います。でも、自分でも不思議なほどにあの一瞬が心に残ったんですよね…。クリティカルヒットの理由について多少考えてみたんですが、確実に言えるのはクライマックスに至るまでに自分がニールくんをかなり下に見ていたことです。いやぼく、自分の頭で考えずにただ盲目的にルールに従うみたいな振る舞いがあんま好きじゃなくて、ニールくんには若干その気が見られたんですよね(まあ改めて見てみると彼がそう考えるに至った経緯もちゃんと触れられてはいたんですけども)。なので自分の性向的にはどちらかというとセオドアくん寄りなはずなんですけど…でもだからこそ、あのシーンが衝撃的に映ったんでしょうね。

 ちゃんと俯瞰して見た場合なら、今回の話のテーマは「自由とルール(あるいは正義)」というようなものになると思います。ただ、こと自分に関して言えば、今回のテーマは「愛らしい未熟さ」となります。そうだよなー、たぶんこの胸に浮かんだものは「尊い」という感情なんだろうな…。理屈を無視した、感情のみよる反射的な行動って普段は苛立ちの種なんでしょうけど、たまに綺麗に見えたりするんですよね。。
 蛇足かもしれませんが、今回の話の見どころとしては上記以外にも未熟者二人の上司による百合もあります。まあこの関係性を百合と呼ぶのはちょっと強引すぎるかなとも思いますけど。。 …あれ、今回の話ってもしかしたら尊さの塊なのでは?







空の国 (1周目)「飛べない天使と万祈の聖翼」

 投票で見事に一位に輝いた空の国です。自分自身、初めて読んだときにはふつうに感動してました。


お前は喧嘩売っとんのか。

 序盤から差別的な表現がばんばん出てきて、差別や勘違いが解消される話にめっぽう弱い自分は(空の国、"強い"な…)と思いながら読んでいたのですが、今回改めて読み直してみて、これ根本的には問題あんま解決してないな…?と思いました。まあそんな簡単に解決できる問題じゃないとは思いますが(そもそもメインキャラ以外は問題として見てないし…)。初回は感動が強すぎてあんま冷静に見れてなかったんでしょうね。まあメインキャラが抱えていた問題についてはきちんと解決しているんですけど。


話を聞け〜〜〜!

 ストーリーもどうまとめればいいものか… 主人公サイドから見れば、空の国に神の化身のようなものと捉えられその身を囚われてしまったメルクを助ける話になりますし、今回の(最新の)ユニット人気投票で一位だったオルトスくんサイドから見れば、空の国の民なのになぜか生えてこなかった翼を手に入れる話になります。…正直、ストーリーを簡潔にまとめることが自分にはできないんですけど、それでも全体を貫くテーマについてははっきりしていて、それが何かというと「神様ってほんとにいるの?」という問いです。



「................」

 うわ、自分で言語化しておきながら、なんじゃこのゲームは、と思いました。そんなんテーマに据えるゲームなんてあります? いやまあ探せばあるんでしょうけど…。
 ストーリーを読み直した際に、最初に頭に浮かんだのは今年の頭に観たマーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙 -サイレンス-」でした。あの映画のメルスト版、という表現が一番わかりやすく伝わるかなと(相手は限定されますが…)。しかしあそこまで重苦しい展開はないしラストもハッピーエンドで終わるので心配しなくても大丈夫です。

 ……正直に言います。自分には今回の話のテーマは大きすぎて扱うことができません。しかし幸いにもなにも考えずに読んでも楽しめるようになってますし、もっと言えばキャラがなに言ってるのかわからなくても雰囲気だけで感動できます、演出がしっかりしてるので(ここら辺は劇パト2も連想しますね(失礼))。
 そして、自分らしく即物的な視点で今回の話を見たとき、問題(別に問題という訳でもないのですが… 空の国の住民の宗教観に密接に結び付いた、翼のない者に対する差別意識のことです)解決の一番のカギとなりそうなものが今回のメインキャラの一人であるラヴィオルくんのユニットストーリーにありました。それが翼に対する医学的・生物学的なアプローチです。



病気とかだったらヤバいですもんね…

 神様からのいただきもの、という見方をいったん横に置いて、翼がどういうメカニズムで生えてきているのか、自分たちはどういう進化の系譜を辿ってきたのか、ということを研究するってことですね。たしかにそれらが解明され知識として住民に膾炙すれば差別や偏見もなくなりそうです。ただ、メタ的に見ればこういう謎って魅力としての側面もあるので、安易に解明させたりはしないと思いますが。実際現在開催されている空の国2ndでもちょっとだけ医学の話が出てきますけど、空の民の出自など深い部分に触れるには至らず、その扱いには普段より慎重な印象が感じられなくもなかったですし。まあちょ〜安易に考えれば、昔に動物の国から流れついた一族とかかなー、なんて思うのですが。


空の国2ndより。右のおじさん(ノウムさん)が医者で、彼の研究のおかげで危機が回避できたんですが…

 いやー、とりとめのない語りになりました。まあそんなに難しく考えなくても、オルトスくんと主人公の百合BL萌え〜みたいな感じで見てもふつうに楽しめると思います。ただイベストを読み終わってもまだ差別問題にもやもやしている人がいたならば、ラヴィオルくんのユニットストーリーがそのもやもや感を和らげてくれるかもしれませんよ、とは書いておきます。







 結局また長くなってしまいました。正直書いてて疲れたのでここでまた切りますね。。 次回で完結すると思います。来週の土日にアップできるかな〜?


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